親子経営企業の強みは長期的視点を持ち経営できること

今日は親子経営企業の強みを活かし、その真価を発揮すればどのようなことができるのかお話しする。第4話。
【親子経営の使命のひとつは繋ぐこと】
親子経営企業のミッションのひとつは経営を繋ぐことだ。欧米企業のファミリービジネスを思い描いてもらえればいい。映画「ゴッドファーザー」の世界では、ファミリーを維持することが何よりも大切なことになる。
その大切なファミリーを維持するためにファミリービジネスがある。彼らにとって、ファミリービジネスは彼らの生命線だ。何事があっても守らなければならないのが彼らのファミリービジネスだ。
よって、彼らにとって大事なことはファミリービジネスを継続し続けることになる。言い換えれば、ファミリービジネスのトップの使命は経営を繋ぐことだといえる。では、私がいう親子経営企業はどうだろう。
同じように、日本においても老舗企業では、欧米のファミリービジネスと似たようなマインドで経営されてきた感がある。日本の親子経営企業の場合は「お家」という言葉で表されるイメージだろうか。
代々続く老舗企業においては、いわゆる「お家」を守るために必要な家業として事業があったとも言えるかもしれない。「お店」は「お家」を守り支えるためにあったといえる。そんな老舗企業にとって最も重要なこととはなにだろうか。
それは、長期的展望に立って経営戦略を考える必要があるということだろう。これまで代々継続されてきた事業を、次の子供の代のみならず、孫の代まで見通したうえで経営戦略を立てなければならないということになる。
そのために必要なことは、時代の変化に機敏に対応することだ。前回も話した、「守る」「捨てる」「変える」を着実に確実に実行することで、老舗企業として生き残ることができる。時代の変化に機敏に対応し、長期的展望に立ち、経営戦略を立て、実行する。
親子経営企業が長期的視点を持ち経営ができる理由が、親子経営企業経営者の使命であるところの「経営を繋ぐ」ことにある所以である。ファミリービジネス、親子経営企業ともに、ファミリー、お家を守ることがモチベーションとなっている。
話は変わる。今の日本経済を好況とみるか、不況とみるか。経済指標やデータを見るとやや上向きだと言えるのかもしれない。私は1956年生まれなので、戦後の高度成長期に生まれ育った世代である。
私が30才で父親が経営する建設資材販売会社の代表取締役社長になったのが、1986年で、丁度いわゆるバブルが始まったとされるときであった。その後、そのバブルは1991年をもって終焉する。
私が産まれてから30年、日本は相対的に活気があり、日本全国津々浦々まで好況で世の中が賑わい沸騰していた感がある。そんな時代を肌で知っている私からすると、今の日本経済はどう見ても好況とは言えない。
一部産業が好況であるかもしれないが、中小企業全体は概ね不況といってもいいのではないかと思っている。相変わらず、中小企業の8割近くが赤字経営なのではと思っている。コロナ禍で傷んだ事業が回復せずにいる会社が多くあるとも思えている。
そのような経済状況の中、親子経営企業は経営を繋ぐというミッションを変わらずやらねばならない。実は、このような時にこそ長期的視点に立ち経営戦略を立てるという姿勢が親子経営企業を救うと考えている。
今の時代、長期的展望を持てば、今何をするべきかが自ずと見えてくる。子息の時代のみならず、孫の時代にまで事業を繋ごうというわけだ。決して無理に大きな投資をしようとするのではなく、まずは、常に手元資金を厚くしておこうとすることになる。
消極的だと言われるかもしれないが、次の世代に繋ぐことを目的とし、経営戦略を立て直すことも必要ではないだろうか。好不況が明らかでない不透明な今の時代、闇雲に進むのではなく、立ち止まり、耐え忍びながら生き残ることを最優先とする。
企業は常に成長発展を求められている。しかしながら、外部環境次第ではそれが困難と思われる時がある。無理をせず、長期的展望に立ち、計画的に成長発展を抑制することがあってもいいのではないか。
最近、そんなことを思ったりしている。
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