プロジェクトの働き方改革
慢性的な超過残業と仕事に追い詰められて、自ら命を閉ざすことになってしまった悲しい出来事をきっかけに叫ばれることになった”働き方改革”。雇われる立場の人にとってみれば長時間労働規制によって過度な残業が抑えられ自分が守られる一方、誰にも一様に適用されることによって生じる弊害も目につき始めました。
人生の一時期においてもっと稼ぎたい、働きたいと本人が思ってもそれを抑えられてしまう。プロジェクトが佳境に入って踏ん張りどころ、という局面で今月はこれ以上残業できなくなったから仕事の完成を先延ばしせざるを得ない、または他人に引き継いでもらわざるを得ない。顧客との約束の板挟みにあって、約束を守るために残業をやったのに偽りの申告をするケースも起きているのではと思います。
プロジェクトのメンバにとってみれば良い時代になりました。プロジェクトが混乱しデスマーチに陥ることはあったとしても、個々のメンバのメンタルを含めた健康は以前より守られる方向になったのは間違いありません。
私自身も企業に勤めていた頃は、「生きるために仕事をしている」のではなく「仕事のために生きている」のではないかと思い悩む時期が続いたので、若かりし頃にこの様な環境に守られていれば、もっとワーク・ライフ・バランスを保てたでしょう。ただし、振り返れば残業時間を強制的に規制されるよりも、実際に働いた残業時間をすべて回収できた方が良かったというのが正直なところです。
人生の一時期に、チームで寝食を忘れて仕事に没頭し、新しいものを作り上げるという経験を、個人が望めば選択肢として持てる多様性はあって良いと思います。プロジェクトは期限が定められているものなので、その期限に向かって全力で突っ走るが、終わったらしっかりと長期休暇を取ってリフレッシュできる。その様なメリハリが確保されれば、人は頑張れるのではないでしょうか。一つのプロジェクトが終わっても、すぐ次のプロジェクトが待っているという状態を見直せれば、メンバのモチベーションはかなり違ってくるのではないかと思う次第です。
そうは言っても、現状は雇用者に満遍なく適用される制度なので、プロジェクトマネージャ(PM)や管理者、経営者の立場からは、いざという時に労働時間によって力ずくでゴールに突き進むという対策が取れず、計画的に作業時間を平準化しながら進めなければならないという難しさが加わりました。
つまり、プロジェクトにはプロジェクトとしての働き方改革が求められます。残業を前提とした計画でなく、残業はあくまで担当タスクが遅延した時の挽回手段の一つとしておく必要があります。誰かが残業しているから、お付き合いで無駄に残業する様な風潮は消し去らなければいけません。一つのタスクに必要以上に時間を費やすことも避ける必要があります。人には、計画した時間を使い切ってタスクを終わらせようとする傾向があります。こう言ったことを一つ一つ摘み取って、短時間でプロジェクトを仕上げる工夫が必要です。
これまで以上に計画をしっかりと練り上げ、混乱の予兆を早めに見つけ、先手を打って軌道修正していく管理が必要になります。使い古された”先手管理”を言葉だけでなく実際に徹底していかなければならないのです。
あなたの足元のプロジェクトでは、働き方の見直しはできているでしょうか。規制されているからではなく、自発的にメンバの働き方を変えようとしているでしょうか。
関連提言:その遅れは挽回できるのか
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