会社を変えようとすればするほど、うまくいかなくなる理由
「そうなんです。なんとかしようと思って、色々と言ってはみるのですが、結局何も変わらない。なんだか嫌になってきました」。
こんなふうにつぶやくのは、とある会社の正義感の強いマネージャー。自分の思いを滔々と伝えるのだが、相手は馬耳東風、ヌカにクギ状態で、一向に状況が変わらないことに、半ば諦めモードに入っているようです。
この手の話、組織に関わっている人なら一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
「会社のためを思って言っているのに」
「間違ったことは言っていないはずなのに」
それでも人は動かない。むしろ、言えば言うほど空気が重くなり、距離が広がっていく。そんな感覚です。
実はここに、組織づくりの難しさの本質があります。
人は「正しいこと」では動きません。もっと正確に言えば、「正しさを上から浴びせられると、反射的に身構える」のです。
変えよう、教えよう、分からせよう。その気持ち自体は、とても真っ当で、誠実です。問題は、その姿勢が相手からどう見えているか、という点にあります。
「変えてやろう」という視線は、本人が思っている以上に、相手には伝わってしまうものです。
皆さんも経験はないでしょうか。自分の行動に対して正論で指摘を受けた。素直に受け取るべきなのはわかっているけれど、どうしても感情は逆の方向に動いてしまう。
人は、自分が否定されていると感じた瞬間に、防御モードに入ります。話を聞かなくなる。表情が固くなる。とりあえず頷くけれど、行動は変えない。これが、組織の中でよく起きている「何も起こらない現象」の正体です。
では、どうすればいいのか。
ここで多くの人は、「伝え方を工夫しよう」「もっとロジカルに説明しよう」と考えます。もちろん、それが有効な場面もあります。でも、それでも動かないとしたら、ポイントはそこではありません。
本当に問い直すべきなのは、「相手を動かそうとしている自分の立ち位置」です。
組織を変えたいと思ったとき、私たちにできることは、実はひとつしかありません。それは、自分が先に変わることです。
自分の言動は、今の組織の前提と合っているだろうか。自分は「正しい側」に立ちすぎていないだろうか。相手が安心して本音を出せる余白を、自分はつくれているだろうか。そもそも自分は相手に信頼されているだろうか。
不思議なもので、こちらの立ち位置が変わると、相手の反応も少しずつ変わり始めます。教える人から、問いを投げる人へ。正解を示す人から、迷っている姿を見せる人へ。指示する人から、助ける人へ。そうした小さな変化が、組織の空気をゆっくりと緩めていきます。
組織は、誰か一人の正しさで動くものではありません。日常の関わり方の積み重ねで、少しずつ形を変えていくものです。
「なぜ、こんなに頑張っているのに、何も変わらないのだろう」
そう感じたときこそ、組織を変える最大のチャンスなのかもしれません。変えるべき対象が、本当に「相手」なのかどうか。一度、立ち止まって考えてみてもいいのではないでしょうか。
さて、あなたの周りでは、どうでしょうか。
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