第540号 リーダーは言ってる事をコロコロ変えて、嫌われてもいいのか

「伊東さん、リーダーは言ってる事をコロコロ変えてもいいんでしょうか」
質問をいただきました。
私の返答は「はい」
なぜなら組織は時代に合わせた変化が必須だからです。
しかしここで更に
「そんなことをしたら社員やスタッフ達に嫌われます。」
「それでもいいのでしょうか?」
と問われますと、そうするべきではありません。
ここで「どっちだよ」となるところでしょうか。
しかし、私が店舗型のビジネスのリーダー達にお勧めしている方法は昔から変わりません。
それは
「リーダーは言ってる事をコロコロ変えてもいいが、嫌われてはいけない。」
今度は「そんなの無理だ」と突っ込まれるところでしょう。
しかし、本当に無理と言えるでしょうか。
今から約15年前ですが小売業界にこんな波がありました。
冷却マットが売れる。
当時は東日本大震災に伴う大規模な節電意識の高まりや、記録的な猛暑が続いていたという背景があったからでしょう。
各メーカーはその特需に気が付き、パクリ、派生品が世の中にどんどん投入されました。
各小売もこぞって販売合戦をはじめたわけですが、問題だったのは価格帯でした。
材質の都合上、どうしても3,000円〜にしなければ儲からなかったのです。
よって、普段からこれよりも安い価格帯で売上を上げているビジネスモデルを採用していた企業にとって、安易に手を出してしまうと、不良在庫を抱えてしまうというリスクがありました。
そこで当時社員だったA社長が在籍していた会社は「それでも売れ」と判断したのです。
大量に仕入れて、各店で売ろうとしたのですが、残念ながら全然売れませんでした。
「このままでは余計な在庫だらけになってしまう」
そうなってはいけないと、会社からはなんとしてでも売れという指示が出ていました。
しかし社員やスタッフ達の本音としては「こんなもの売れるわけがない」と皆消極的だったのです。
結局皆がとった行動は「頑張って売ります」といいつつも、ただ売り場に並べて「私達の力不足で売れませんでした」だったのです。
しかしA社長だけは違いました。
かつて店長だった社長はこの難題をどう解決すべきか?
採った方法は上手に陳列し、興味を示したお客様にだけお勧めするという方式です。
これが大当たり。瞬く間に冷却マットは売れて在庫はなくなっていきました。
なぜうまくいったのか、社長はこうおっしゃいました。
当時はみんな興味をしめしていたのですが、私が一番気にしていたのはお客様の心理です。
「欲しい。でもこの店でそんな高額の買い物をするのは恥ずかしい」
そんなお客様だけをターゲットに設定したらいいんじゃないか?
スタッフ達には「片っ端からお客様に一から説明して売れ」と強制したわけではありません。
「それ今大人気なんですよ」「ほんと? じゃあ買おうかな」そんな2ステップだけいいよと言ったんです。
みんなよくがんばってくれましたよ。
A社長の事例は「低価格帯の店舗で高額商品を売る」
これは一見、難しいことです。
誰もがそんなの無理だと尻尾を巻き、逃げ出します。
しかし工夫次第でそれは両立できるということです。
つまりリーダーがすべきこととは、
AかBかではなく、
「どうしたらAもBも両立できるか」
これが身に染みていますと、やがて
「もしかしてもっといい方法があるんじゃないか?」
今までの方法を否定し、再出発するという大鉈をブンブン降れるようになります。
これは文字では簡単に表現できましたが、実際にやるとなるととても大変です。
そのため
「やらないで済むなら」
「今の延長線でいいや」
といって、挑戦しないルートを選ぶリーダーも多いです。
ただ私は断言します。
今までの方法を否定し、再出発するという大鉈を降れないリーダーは業績を伸ばせません。
できるリーダーは言うことがコロコロ変わります。
しかし不思議な事に、社員やスタッフ達から嫌われることもありません。
なぜなら、それでも大変だけどリーダーについていきたいという形ができているからです。
貴方はいかがでしょうか。
AかBかという、限られたルートを選択していますか。
それともAもBもという両立のルートを模索していますか。
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