透明資産経営|なぜ、研修しても社員が変わらないのか?
こんにちは!企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。
透明資産とは、業績に影響する「空気感」を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた透明資産経営は、お客様との絆が深まり、従業同士の信頼関係が築きあげられ、商品・サービスの独自性が強化されます。そして、持続的成長につながる経営の仕組です。
ー費用も時間もかけたのに、現場は元のまま
人を育てたいと願う経営者ほど、教育に投資します。外部の研修に社員を送り、講師を招き、マナーやリーダーシップ、接客や報連相を学ばせる。費用も、貴重な業務時間も割いて、社員の成長を後押しする。
研修の当日、社員は熱心にメモを取り、「勉強になりました」と前向きな顔で戻ってきます。社長も手応えを感じます。これで現場が変わるはずだ、と。
ところが、一週間も経つと、現場は何事もなかったかのように元に戻っています。学んだはずの言葉づかいも、報連相も、いつの間にか消えている。社長は落胆し、「あれだけ研修したのに」とため息をつく。そして「うちの社員は学ぶ気がない」と結論づけてしまう。
これは、多くの会社で繰り返されている、もったいない現実です。なぜ、研修しても社員は変わらないのか。原因は社員の意欲ではありません。研修で学んだ新しい行動を、職場の「空気」が押し戻しているからです。
ー人は「学んだこと」ではなく「空気」に従って動く
研修の場で、人は確かに新しい知識や行動を学びます。しかし、職場に戻った瞬間、人を支配するのは、研修で学んだ理屈ではなく、その場に流れている空気です。
たとえば、研修で「お客様にもっと積極的に声をかけよう」と学んだ社員がいるとします。意欲満々で職場に戻る。ところが現場には、「余計なことはするな」「言われたことだけやればいい」という空気が流れている。すると、最初の一、二度は試みても、周囲の冷たい反応や先輩の目線に、すぐに元の行動へ戻ってしまう。
人は、その場で最も安全な行動を、無意識に選びます。どれだけ正しいことを学んでも、それが職場の空気と食い違っていれば、空気の方が必ず勝ちます。研修は「個人」を変えようとしますが、人の行動を決めているのは「場の空気」だからです。つまり、空気を変えずに研修だけを重ねるのは、土を耕さずに種をまき続けるようなものなのです。
ー研修が根づかない「3つの理由」
なぜ、学びは職場で消えてしまうのか。研修が根づかない、三つの理由をお伝えします。
1つ目の理由は、「学んだ行動を支える空気がない」ことです。研修で前向きな姿勢を学んでも、職場が後ろ向きな空気なら、その姿勢は浮いてしまいます。挑戦を学んでも、挑戦が歓迎されない空気なら、誰も挑戦しません。学びは、それを受け止める空気があってはじめて根づきます。空気のない場所に落ちた種は、芽を出す前に枯れるのです。
2つ目の理由は、「社長自身が変わらない」ことです。社員に研修を受けさせる一方で、社長自身の言動が以前と変わらなければ、社員は冷静に見抜きます。「結局、変わるのは自分たちだけか」と。社員は、研修の内容よりも、社長の日々の振る舞いから空気を読みます。社長が学んだことを実践していなければ、研修は「現場だけに課された宿題」になり、形だけのものに終わります。
3つ目の理由は、「学んだ行動が評価につながらない」ことです。研修で学んだ良い行動を実践しても、何の評価もされず、むしろ余計な手間として扱われれば、社員は続ける意味を失います。人は、評価されたものを繰り返し、評価されないものをやめます。学びを定着させたいなら、その学びを実践した社員を、きちんと認める仕組みが欠かせません。
ー研修を活かすのは「行動」と「場」の空気
透明資産経営では、空気を「言葉」「関係性」「評価」「行動」「場」という五つの構造から設計します。研修の成果が消えるか根づくかを分けるのは、とりわけ行動の構造と場の空気です。
学んだことを日々の小さな習慣として続けられる行動の構造があるか。そして、その習慣を後押しする温かい場の空気があるか。研修は、いわば「きっかけ」にすぎません。きっかけを定着した習慣へ変えるのは、職場に流れる日常の空気です。だからこそ、研修に投資する前に、あるいは同時に、社員が学びを安心して実践できる空気を整えておくことが、何よりも重要なのです。
ー学びが根づく空気は、社長の姿勢からつくられる
では、経営者は何を変えればいいのか。研修の数を増やすことではありません。学びが根づく空気を、自らつくることです。
まず、社長自身が学び、変わる姿を見せる。社員に求めることを、まず自分が実践する。次に、研修で学んだ行動を実践した社員を、すぐにその場で認める。「やってくれてうれしい」と言葉にする。そして、学びを職場で振り返り、共有する小さな場をつくる。──こうした日々の積み重ねが、「ここでは学んだことを活かしていいのだ」という空気をつくり、研修の成果を現場に根づかせます。
ー人を変えるのは、研修ではなく空気
最後に、経営者にお伝えしたいことがあります。人は、研修によって変わるのではなく、毎日身を置く空気によって、少しずつ変わっていくということです。
今日、自社を振り返ってみてください。社員が学んできたことを、職場の空気は歓迎しているでしょうか。それとも、無言のうちに押し戻していないでしょうか。研修に投資する前に、まず学びが根づく空気を整える。それが、人を育てたいと願う経営者にとって、最も確実で、最も静かな一手なのです。
ー勝田耕司
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