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確かめることの重要性

SPECIAL

循環経済ビジネスコンサルタント

合同会社オフィス西田

チーフコンサルタント 

循環経済ビジネスコンサルタント。カーボンニュートラル、SDGs、サステナビリティ、サーキュラーエコノミー、社会的インパクト評価などへの対応を通じた現状打破と成長のための対案の構築と実践(オルタナティブ経営)を指導する。主な実績は、増客、技術開発、人財獲得、海外展開に関する戦略の構築と実現など。

 「西田先生、ぜひそれでお願いします。」

 

 先日、とあるクライアント企業の会議室で社長からもらった一言です。なんの飾りコトバもないのですが、当方からの説明と提案をじっくり聞いていた社長がシンプルに返してくれました。

 

 仕事柄、私はさまざまな企業の経営課題について考え、提案を行う機会があります。その際には当然ながら、できる限り丁寧に現状を観察し、情報を集め、仮説を組み立てます。業界動向を調べ、競合他社の動きを分析し、経営者や現場担当者から話を聞きながら、「こうすればより良くなるのではないか」という道筋を描いてゆくわけです。

 

 しかし、どれだけ時間をかけて考えたとしても、人間である以上、思い込みを完全になくすことはできません。

 

 私たちは普段、相手に対して「たぶんこう考えているだろう」「おそらくこういう意図に違いない」という捉え方をしています。もちろん、それで大きな問題にならないことの方が多いでしょう。むしろ、そうした推測を一切行わなければ、日常のコミュニケーションは成り立たないのかもしれません。

 

 けれども、ビジネスにおいて重要な意思決定を伴う場面では、「たぶん」を「確かに」に変える作業が必要になります。

 

 私はコンサルタントとして提案をまとめる際、できるだけ客観的な視点を持つよう心掛けています。しかし、それでも前例や経験則が無意識のうちに視界を狭めていることがあります。

 

 以前うまくいった方法だから今回も有効だろう。この業界ならこう考えるはずだ。経営者はきっとこの方向を望んでいるだろう。

 

 そのような考え方は、一見すると合理的です。しかし、その「だろう」が積み重なると、本当に見なければならないものを見落としてしまうことがあります。だからこそ最後は、直接確かめることが大切なのです。

 

 実際、現場で経営者と向き合っていると、事前の予想とはまったく違う反応をいただくことがあります。こちらが重要だと思っていた点よりも、別の部分に強い関心を示されることもありますし、逆に「そんなところまで考えてくれていたのですか」と評価していただけることもあります。

 

 提案書や資料は、あくまでもコミュニケーションのための道具です。本当に価値が生まれるのは、それを介して相手と対話し、お互いの認識をすり合わせる瞬間ではないでしょうか。

 

 興味深いことに、提案に対して数多くの注文や修正依頼が出る場合には、別の見方もできます。もちろん細かな調整は必要です。しかし、大きな方向性そのものに対して次々と注文が付くのであれば、それは提案側の作り込みがまだ十分ではなかった可能性があります。

 

 相手が何を望み、何を大切にし、どこに不安を感じているのか。その理解が不足していた結果として、多くの修正が必要になることもあるのです。

 

 逆に言えば、相手の考え方や価値観を十分に理解したうえで提案ができれば、説明は驚くほどスムーズに進みます。冒頭の社長からいただいた「ぜひそれでお願いします」という一言も、決して偶然ではありません。提案内容だけが評価されたのではなく、それまで重ねてきた対話や観察、そして確認の積み重ねがあったからこそ生まれた言葉だったのだと思います。

 

 ビジネスの世界では、スピードが重視されます。素早い判断や迅速な行動は確かに重要です。しかしその一方で、急ぐあまり確認を怠ると、後になって大きな手戻りが発生することも少なくありません。

 

 「たぶんそうだろう」で進めるのか。「確かにそうだ」と確認して進めるのか。その違いは、時間が経つほど大きな差となって現れます。相手を理解しようと努めること。自分の仮説を検証すること。そして、納得がいくまで対話を続けること。

 

 それらは遠回りに見えるかもしれませんが、実は最も確実な近道なのではないでしょうか。徹底的に考え抜いた提案も、やはり直接確かめるに越したことはありません。その繰り返しで強固な信頼関係を築いてゆくことこそ、商売の王道なのだと思います。

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