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第75号:利益循環型エンジェル税制認定企業が永続不滅のファミリービジネス群を築く!

SPECIAL

ファミリービジネスコンサルタント

MKUコンサルティング

代表取締役 

グループ経営の最適化により、オーナー経営を永続的なファミリービジネスに変える専門家。
 上場・非上場の企業グループオーナーの側近として、20年以上にわたり、企業グループの設計と経営、事業会社の経営、事業会社の創業、M&A、PMI、事業会社の事業承継、事業会社の撤退を手がけてきた。
 現在は、「オーナー社長のための骨太な事業成長を実現するグループ経営の最適化」についてのコンサルティングを行っている。
1969年生まれ、慶應義塾大学商学部卒。兵庫県立大学院経営研究科卒(MBA)。

第75号:利益循環型エンジェル税制認定企業が永続不滅のファミリービジネス群を築く!

この度、焼き肉チェーン運営会社の元代表が、エンジェル税制を悪用し、
所得税約3億6,700万円を脱税した疑いで逮捕されるという事件が起こりました。

 

報道によりますと、元代表は、知人が経営する会社へ投資し、
その投資資金の一部を、自らが関係する会社へキックバックさせていた疑いが持たれています。

 

逮捕前の調べに対しては、

「制度を利用して節税しただけ」

と説明し、容疑を否認していたとされています。

 

現段階では、あくまでも容疑であり、有罪が確定した事件ではありません。

 

しかし、今回の事件が報道されているような構造であったとすれば、
私は、最も根本的な問題は、投資資金は何のために会社へ入るのかという原理原則が、
完全に忘れられていたことにあると思います。

 

投資資金は、会社を通過するために、投資された訳ではありません。

 

投資家から会社に資金が入り、研究開発、商品開発、市場開拓、雇用などへと使われ、
会社の中に新しい経営資源を残すためのお金です。

 

投資家から受け取った資金を、別契約を通じて投資家側へ戻したとされる今回の事件のケースでは、
エンジェル税制認定企業自体に何が残るのでしょうか?

 

商品が残るのでしょうか?

技術が残るのでしょうか?

研究データが残るのでしょうか?

雇用が残るのでしょうか?

御客様に提供する新たな価値が残るのでしょうか?

何も残りません。

 

残るものがあるとすれば、税制上の恩恵を受けた投資家の悪銭と、
国の政策とエンジェル税制における効果にブレーキがかかるという結果だけです。

 

このような資金の動きを、
私は、「資本の短絡」と呼ぶべきだと考えます。

 

電気回路では、本来通るべき経路を通らず、近道をして電流が流れることを「短絡」といいます。

 

短絡が起きれば、電気は仕事をしません。

機械を動かしません。

照明をつけません。

熱を生み、設備を壊し、場合によっては火災を起こします。

 

投資資金も同じです。

本来は、

投資

研究開発

商品・サービス

顧客価値

売上・利益

企業価値向上

という経路を通らなければなりません。

 

ところが、キックバック型の投資では、

投資

税制優遇

資金還流

という最短経路を通ります。

 

資金は、ただ通過するだけで、
企業活動の中で付加価値を生み出しません。

研究開発資産を生みません。

地域の付加価値も高めません。

それどころか、制度全体の機能不全を促すのです。

 

前回のコラムでは、プレシード・シード特例等の一定の区分において、

試験研究費等の対出資金額比率が30%を超える見込みを記載した事業計画が求められることをお伝えしました。

 

この30%超という数字を、もう一度考えてみてください。

 

投資を受けた企業には、その資金を、新しい価値を生み出す研究開発や市場開拓へ振り向けることが期待されています。

 

制度区分によって要件は異なりますので、
すべてのエンジェル税制認定企業に対して毎年一律に累積投資額の30%超を使い続ける義務があるわけではありません。

 

しかし、国が投資額と試験研究費等の関係を確認する仕組みを設けていること自体、

「集めた資本を、研究開発活動へ循環させてください」

という制度の方向性を示しています。

 

投資資金を会社に入れた直後から、その一部を投資家へ戻す計画を立てているのであれば、本来研究開発に向けられるべき資金は当然減ります。

定めた研究開発計画を遂行する力も失われます。

 

資金を通過させるだけで、その一部を投資家に戻ってくるのであれば、
同時に十分な研究開発資産を積み上げることなど、本来、両立するはずがありません。

 

だからこそ、制度の本旨を真面目に考えれば、

「試験研究費に充てるはずの投資資金を通過させるだけ」という発想自体が出てこないのです。

お金を通過させるだけでは、地域経済を発展に導く創造的事業活動など生まれません。

こんな無意味な活動に国が報いるはずがないのです。

私は、エンジェル税制による税制上の恩恵を、

自らが事業で得た利益の一部を、次の企業、次の技術、次の雇用へ還元した投資家に対する、国からの報いと考えています。

 

一人のオーナー社長が、大きな利益を得るまでには、数多くの方々の支えがあります。

 

御客様が、商品やサービスを購入し。

社員が、日々の仕事を支え。

取引先が、製品、原料、サービスを供給し。

投資家や金融機関が、必要な資金を支えてくれ。

地域社会が、企業活動を受け入れ。

教育、道路、通信、法律、治安など、国と地域の社会基盤が企業経営を支えています。


こうした全ての経済活動に、付加価値は乗っています。
オーナー社長が得た利益は、各々のプレイヤーが付加価値を求めて活動した結果であって、

オーナー社長一人の力だけで生まれたものではありません。

 

社会との関係の中で生まれたものです。

 

だからこそ、オーナー社長が事業で得た利益の一部を、次の起業家へ投資する。

投資を受けた起業家が、その資金を研究開発へ使う。

新しい商品、技術、サービス、雇用を生み出す。

御客様の生活が豊かになる。

地域に新しい売上、所得、利益、納税が生まれる。

投資先企業が成長すれば、投資家も適正なリターンを得る。

 

そして、その利益を、さらに次の企業へ投資する。

 

私は、この循環を、

「利益循環型エンジェル投資」と呼んでいます。

 

利益循環型エンジェル投資は、次の流れで完成します。

 

オーナー社長が事業で利益を得る

利益の一部をエンジェル企業へ投資する

エンジェル企業が研究開発資産を積み上げる

新しい商品・サービス・雇用が生まれる

地域と日本の付加価値が増える

企業価値が高まる

投資家が適正なリターンを得る

その利益が、さらに次の研究開発へ投資される

 

この循環が何度も繰り返されれば、投資家の富だけでなく、起業家、御客様、社員、地域社会、日本経済が豊かになります。

 

これこそが、

・投資家よし

・起業家よし

・日本国民よし

という「三方よし」のエンジェル税制です。

 

一方、資金通過型投資は、どうでしょうか?

 

投資家は税制上の恩恵を受けるかもしれません。

投資資金の一部も戻ってくるかもしれません。

しかし、エンジェル起業家の会社には、十分な成長資金が残りません。

研究開発も進みません。

雇用も生まれません。

御客様へ提供する価値も生まれません。

地域と日本の経済にも、成果は残りません。

これは、三方よしではありません。

 

投資家と一部の関係者だけが得をしようとする、

「身内だけよし」です。

 

身内だけよしの制度利用は、必ず社会から淘汰されます。

 

ここで、誤解していただきたくないことがあります。

投資家が、投資によって利益を得ることは、決して悪いことではありません。

利益を期待できなければ、継続的な投資は生まれません。

 

投資家は、事業が失敗するリスクを負い、その対価として、企業が成長した際にリターンを受け取ります。

 

適正な出口には、

・株式上場

・M&A

・第三者への株式譲渡

・配当

・法令と財務状況に即した自己株式取得

・創業者等による株式取得

などが考えられます。

 

これらは、会社の事業が成長し、企業価値が高まった結果として実現するものです。

 

一方、「投資したお金が自らに戻ってきます」

「(焼肉屋のケースのように)関係会社に戻ってきます」

「税金が減るので実質的な負担はありません」

という提案は、創造的事業活動の結果として得るリターンではありません。

 

最初から投資資金を自分へ戻すことを目的とした資本の短絡です。

 

エンジェル投資家は、この二つを絶対に混同してはいけません。

税制優遇とは、それ以上の経済的成果に対する報いだからです。

では、資本の短絡を防ぎ、利益循環型エンジェル投資を実現するためには、どうすればよいのでしょうか?

 

投資家は、次の五点を確認する必要があります。

①投資資金の具体的な使途

②研究開発によって生まれる成果物

③投資家の関係会社への取引の必要性

④投資家や関係者へ資金が戻る契約の有無

⑤企業成長を前提とした適正な出口の設計

 

一方、エンジェル起業家は、次の五点を守る必要があります。

①投資家から預かった資金を成長のために使う

②研究開発計画と実績を数字で管理する

③投資家と関係する会社との取引を公正な条件で行う

④投資家へ定期的に事業進捗を説明する

⑤税務署や都道府県等へ説明できない契約を絶対に結ばない

 

正しいエンジェル企業は、何も恐れる必要はありません。

 

エンジェル税制認定企業に与えられた使命は、創造的事業活動なのです。

だから、投資家から受けた出資は創造的事業活動に使う前提で事業計画をつくる。

エンジェル税制認定企業は、投資かから受けた出資を武器に、新たな試験研究に挑戦する存在であり続ける。

 

こうした当たり前の経営を貫けばよいのです。

 

大事なことなので、もう一度お伝えします。

 

節税で終わる投資は、資金通過だけで終わる投資は、エンジェル投資ではありません。

 

投資された資金が研究開発資産へ変わり、御客様の喜び、地域の雇用、日本の付加価値へ変わって初めて、真のエンジェル投資になるのです。

 

今回までの三回のコラムでは、エンジェル税制の信頼を守るために必要な三つの原理原則として、

 

①国家の意図を考える「制度想像力」を持つこと

②投資資金を研究開発資産へ変える覚悟を持つこと

③利益と資本を、次の技術、雇用、挑戦へ循環させること

 

について、お伝えさせていただきました。

 

この三つを守れば、エンジェル税制は、単なる節税制度ではなく、地域と日本の未来を明るくする「三方よし」の制度として、必ず社会へ定着していくと考えます。

 

なお、利益循環型エンジェル投資、株式会社maximumの取り組み、
エンジェル税制を活用した永続不滅のファミリービジネス構築について詳しく知りたい方は、株式会社maximumまでお問い合わせください。

https://www.mku-consulting.com/maximuminc/

 

一人でも多くのオーナー社長が、自らが得た出資を次の研究開発、次の雇用、次の挑戦へ正しく循環させ、
地域経済と日本を豊かにする永続不滅のファミリービジネスを築かれますよう。

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