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「タイパ向上」目的だけではもったいなさすぎる、企業のAI利活用

鈴木純二
SPECIAL

顧客接点強化による成長型IT導入コンサルタント

ベルケンシステムズ株式会社

代表取締役 

顧客接点の強化を軸に、業績に直結するIT導入を指導するスペシャリスト。世に無駄なIT投資が横行するのと一線を画し、顧客の利便性向上、新規取引先、深耕開拓、利用促進…などを主眼に置いた、実益のIT活用と投資戦略を、各会社ごとに組み立てることで定評。

鈴木純二

今年(2026年)も、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)による「DX動向2026」の調査結果が発表されました。その中に、気になるデータがありました。それはAI利活用に対して、何らかの効果があったと回答した人への追加質問「AI導入による具体的効果」への回答結果です。その中でこんな数字がありました。

「業務が効率化したり迅速化した」:91.6%

すごい数字ですね。大部分の企業がその時短効果を認めているにもかかわらず、企業の「攻めの姿勢」を示す指標にあたる以下の数字が、まったく振るわないのです。

「経営層等の意思決定が迅速化した」:8.8%
「顧客満足度が向上した」:4.5%
「売上や利益が向上した」:3.9%

……等々。

この調査結果について、皆さんはどう思われるでしょうか? 私は大いに疑問がありますし、そもそも発想の転換が必要なのではないかと思います。

これは、私の著書『アナログな会社を劇的に変える 中小企業のための会社を正しくデジタル化する方法』(日本実業出版社)でも冒頭に記載したことなのですが、企業のデジタル化のレベルは、以下の3段階に分類されます。

・レベル1「計算機段階」 メールや表計算アプリは使っているものの、それぞれをあたかも計算機や電卓のように単機能で使っているだけの段階。

・レベル2「社内合理化段階」 さまざまな仕組みは導入されているが、その導入目的が「作業の合理化」に留まっており、会社の業績を伸ばすという視点では「作業時間の削減」レベルに留まっている段階。

・レベル3「デジタル成長戦略段階」 デジタル化施策が商品やサービスと融合されており、経営指標にも影響を与えている段階。

言うまでもなく、企業はレベル3を目指すべきなのですが、問題なのはレベル2に留まっている会社の方々が満足してしまっている点です。これは企業規模を問わず、さまざまな会社で発生しています。そのような会社の社長や情報担当役員と話をしていると……

当社は基幹システムで全業務をペーパーレス化しているので、かなり進んでいる方だと思います

とか、

社員間の情報連携はすべてシステムで行われているので、かなりラクになりました

といった発言を聞きます。ところが、「そのようなシステムやデジタル化が、経営にどれだけの効果をもたらしているのか」という点に議論を向けていくと、たいていの場合は「そこまでの効果は期待していないし、そもそも無理だと思う」という答えが返ってきます。この半ば「消極的」とも言える感覚が、今回の調査結果の数字に如実に表れているのではないでしょうか。言い換えると、これこそが「本来のDXが、国内の企業でポピュラーにならない」理由なのです。

拙著にも本コラムにも書いてきましたが、AIを含むデジタル化の醍醐味は「工数削減」に留まりません。「人手でやっていたころと比べると、革命的なことができるようになる」という点にこそあります。例えば……

商品やサービスの使い方を、24時間いつでも説明できる機能がある
注文をデータで送信すると、即座に納期が回答される機能がある
「いつものアレをXX個」と言えば、商品名が自動的に推奨され、内示として連絡できる機能がある

といった具合です。これらは、今のようにAIを手軽に使えない時代から有効であることが、当社の過去の経験で実証されてきました。ただ、当時はこれらを実現するためにソフトウェアで機能を作り込まなければならず、お金も手間もかかったのです。しかし今はAIがあります。特別なソフトを作らなくとも、AIを使うことである程度のことまでは実現できる時代です。安く早くできるとなれば、試してみる価値は十分にありますね。

業種にもよるとは思いますが、このようなことができるようになると、とたんにお客さまの認識が変わり、市場競争力を高めることも夢ではなくなります。B2C企業においては、おそらく常識の範囲だと思いますが、特に大手の下請け作業をしているB2B中小企業にとっては、「このような話は検討したこともない」という方が多いことでしょう。しかし、大手取引先との関係性を少しでも対等なものに近づけるためにも、チャレンジする価値はあると思うのですが、いかがでしょうか?

AIもDXも、「タイパ目的」だけではあまりにももったいない、というものです。特にAIは、比較的安価に使い倒せる余地を残しています。ぜひ一度、「売上を増やすため」「商品価値を高めるため」といった戦略的な目的で、利用方法を検討してみてはいかがでしょうか? 必要に応じて、このような検討の壁打ちをさせていただくこともできますので、お気軽にお問い合わせください。

当社ベルケンシステムズ(株)では、業務可視化支援をはじめとする様々なコンサルティングサービスプランをご用意しております。ご興味があれば是非当社ホームページをご覧ください。

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