透明資産経営|なぜ、問題を起こさない社員を評価する会社は、停滞するのか?
こんにちは!企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。透明資産とは、業績に影響する「空気感」を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた透明資産経営は、お客様との絆が深まり、従業同士の信頼関係が築きあげられ、商品・サービスの独自性が強化されます。そして、持続的成長につながる経営の仕組です。
ーあなたの会社で、評価されるのは、どんな社員でしょうか
思い浮かべてみてください。あなたの会社で、「あの人は、優秀だ」「安心して、任せられる」と、評価されている社員の顔を。
その人は、どんな社員でしょうか。ミスをせず、言われたことを、そつなくこなし、問題を起こさない。──もし、あなたの会社で、高く評価されているのが、こうした「問題を起こさない社員」ばかりだとしたら、少し、立ち止まって、考えてみてください。ミスのなさ、無難さ。それは、確かに、安心できる、良い資質です。けれど、その「問題を起こさないこと」だけを、評価し続けると、会社に、思わぬことが、起こり始めます。
「問題を起こさない社員」が評価される会社では、社員が、揃って、問題を起こさないこと、つまり、何もしないこと、挑戦しないことを、目指すようになる。そして、誰も、リスクを取らず、新しいことをせず、会社全体が、静かに、停滞していく。この、無難さを評価することが招く停滞こそ、今日、お話ししたいことです。
ー「問題を起こさない」の裏には、「挑戦していない」が隠れている
なぜ、問題を起こさない社員を評価すると、会社が停滞するのか。
ここに、この連載だからこそお伝えしたい、評価の落とし穴があります。「問題を起こさない」ということの裏には、しばしば、「挑戦していない」「リスクを取っていない」という事実が、隠れている、ということです。
考えてみてください。人が、問題やミスを起こすのは、多くの場合、新しいことに、挑戦したときです。やったことのないことに、踏み出せば、うまくいかないことも、ある。摩擦も、生まれる。──逆に、まったく問題を起こさない人は、確実にできることだけを、無難に、こなしている、という場合が、少なくありません。挑戦しなければ、失敗もしない。リスクを取らなければ、問題も起きない。つまり、「問題を起こさない」という評価は、「無難に、挑戦を避けている」という姿を、優秀さと、取り違えている可能性が、あるのです。
普通の経営者なら、「ミスがなく、問題を起こさない社員は、優秀だ」と考えるでしょう。しかし、透明資産の視点では、何を評価するかは、社員の行動を、そして組織の空気を、決定づける、最も重要なものです。「問題を起こさないこと」を評価する空気は、社員に、「挑戦せず、無難にしていることが、得だ」と、教えます。すると、社員は、こぞって、リスクを避け、新しいことに、手を出さなくなる。挑戦して、問題を起こした人が、評価を下げ、何もせず、無難にしていた人が、評価される。この空気の中で、組織から、挑戦が消え、成長が、止まる。問題を起こさない社員を評価する会社が停滞するのは、その評価が、挑戦しない空気を、育ててしまうからなのです。
ー無難さを評価する空気が、組織から奪う、3つのもの
「問題を起こさないこと」を評価する空気は、組織から、何を奪うのか。三つお伝えします。
ひとつ目に奪われるのは、「挑戦する意欲」です。挑戦して問題を起こせば、評価が下がる。何もしなければ、評価される。この空気の中で、社員は、挑戦する意欲を、失います。リスクを取ることが、割に合わないからです。挑戦のない組織は、伸びしろを、失っていきます。
ふたつ目に奪われるのは、「本当に頑張る人の、やる気」です。新しいことに挑み、ときに失敗しながらも、前へ進もうとする、本当に価値ある人。その人が、「問題を起こした」と、評価を下げられ、無難にしていた人より、低く扱われる。この不公平が、最も頑張る人の、やる気を、そいでいくのです。
みっつ目に奪われるのは、「組織の、活力」です。誰もが、無難を目指し、リスクを避ける組織は、活力を、失います。新しいことが、何も生まれない。波風の立たない、静かな職場。それは、平穏なのではなく、停滞している。無難さを評価する空気が、組織を、静かな停滞へと、導くのです。
ー成長を生むのは、挑戦を評価する空気
組織が、成長するか、停滞するかを分けるのは、ミスの少なさではなく、挑戦を、たとえ失敗を伴っても、評価する空気があるかどうかです。
無難さだけでなく、挑戦したこと、リスクを取ったことを、評価できているか。挑戦して起きた問題を、罰するのではなく、成長の証として、受け止める空気があるか。組織が停滞するのは、問題を起こさない無難さばかりを評価し、挑戦を、評価できていないサインです。挑戦を評価する空気を育ててはじめて、組織は、停滞を抜け出し、成長へと、動き出します。
ー「何をしなかったか」ではなく、「何に挑んだか」を見る
では、経営者は、何を変えればいいのか。ミスを、許容することだけではありません。評価の目を、「何をしなかったか」から、「何に挑んだか」へと、変えることです。
まず、社員を評価するとき、「問題を起こさなかったか」だけでなく、「どんな挑戦をしたか」を、見る。無難にこなした人だけでなく、挑戦した人を、正当に、評価する。次に、挑戦して起きた失敗を、責めるのではなく、「挑戦した証だ」と、受け止める。挑戦のコストを、組織で、引き受ける。そして、リスクを取って、前へ進もうとする人を、はっきりと、称える。──こうして挑戦を評価し始めたあなたは、無難を目指す停滞の空気を、挑戦を目指す成長の空気へと、変え始めているのです。
ーあなたが評価しているのは、挑戦でしょうか、無難でしょうか
最後に、お伝えしたいことがあります。組織が成長するか、停滞するかは、社員が、どれだけミスをしないかではなく、会社が、挑戦を評価する空気を、持てているかどうかで、決まるということです。
思い返してみてください。あなたの会社で、高く評価されているのは、どんな社員でしょうか。無難に、問題を起こさない社員でしょうか。それとも、ときに失敗しながらも、新しいことに挑む社員でしょうか。もし、前者ばかりが評価されていると気づいたなら、それが、組織が停滞していた理由かもしれません。
このコラムを読み終えたあなたは、次に社員を評価するその瞬間、ふと、問い直すはずです。この評価は、無難さを、称えていないだろうか。挑戦を、見落としていないだろうか、と。そして、「何に挑んだか」に、目を向ける自分の姿が、もう浮かんでいるのではないでしょうか。無難さではなく、挑戦を評価する空気をつくる。それが、組織の停滞を破る、最も確実で、最も静かな一手なのです。
ー勝田耕司
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