透明資産経営|なぜ、社員に感謝を求める社長ほど、感謝されなくなるのか?
こんにちは!企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。透明資産とは、業績に影響する「空気感」を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた透明資産経営は、お客様との絆が深まり、従業同士の信頼関係が築きあげられ、商品・サービスの独自性が強化されます。そして、持続的成長につながる経営の仕組です。
ー「これだけしてやっているのに」と、感じたことはありませんか
思い浮かべてみてください。社員のために、あれこれと、してきた、あなた自身のことを。
給料を払い、雇用を守り、環境を整え、社員の生活を、支えている。困ったときには、力になり、成長のために、機会も、与えてきた。──それなのに、社員は、その恩を、分かっていない。感謝の一つも、ない。当たり前のような顔をして、時に、不満さえ、口にする。「これだけ、してやっているのに」──そんな思いが、胸に、こみ上げてきたことは、ないでしょうか。
その気持ちは、人として、自然なものです。けれど、この連載を重ねてきた私は、あえて、お伝えしなければなりません。社員に、感謝を求める気持ちが、強くなるほど、皮肉にも、社員からの感謝は、遠ざかっていく。そして、感謝を求める、その空気こそが、組織を、ぎすぎすさせていくのです。この、感謝を求めるほど感謝されなくなる逆説こそ、今日、お話ししたいことです。
ー「感謝を求める空気」は、見返りを迫る、重い空気になる
なぜ、感謝を求めるほど、感謝されなくなるのか。
ここに、この連載だからこそお伝えしたい、感謝の性質があります。感謝とは、相手から、自然に、湧き上がってくるものであって、こちらから、求めた瞬間に、その純粋さを、失ってしまうものだ、ということです。
考えてみてください。社長が、「これだけ、してやっているのに」という思いを、抱いているとき、その気持ちは、態度や、言葉の端々に、にじみ出ます。恩着せがましさ、見返りを求める空気として。──社員は、その空気を、敏感に、感じ取ります。そして、こう思うのです。「この社長は、見返りを、求めている」「感謝を、強制されている」と。人は、感謝を、強いられると、かえって、感謝する気持ちを、失います。自然に湧くはずだった感謝が、義務や、負担に、変わってしまうからです。感謝を求める空気は、社員の心から、自然な感謝を、押し出してしまうのです。
普通の経営者なら、「これだけしてやったのだから、感謝されて、当然だ」と考えるでしょう。しかし、透明資産の視点では、感謝を求める空気ほど、組織を、冷たくするものは、ありません。なぜなら、その空気は、社長と社員の関係を、「与えた」「もらった」という、貸し借りの関係に、変えてしまうからです。貸し借りの空気の中に、温かい信頼は、育ちません。そして、感謝を求められた社員は、息苦しさを感じ、心を、閉ざしていく。感謝を求めるほど感謝されなくなるのは、その求める空気が、感謝の生まれる土壌である、温かい信頼関係そのものを、壊してしまうからなのです。逆に、見返りを求めず、与えることそのものを喜ぶ社長にこそ、社員は、自然と、感謝を寄せるのです。
ー感謝を求める空気が、組織に生む、3つの冷え
社長が、感謝を求める空気は、組織に、どんな冷えを生むのか。三つお伝えします。
ひとつ目の冷えは、「息苦しさ」です。常に、感謝を、期待され、恩を、着せられる。社員は、その空気の中で、息苦しさを、感じます。のびのびと、働けない。感謝の強制が、職場を、重く、窮屈な場所に、してしまうのです。
ふたつ目の冷えは、「貸し借りの、関係」です。感謝を求める空気は、社長と社員の関係を、「してやった」「してもらった」という、貸し借りに、変えます。損得の勘定が、間に、入り込む。温かい信頼ではなく、冷たい取引の空気が、二人の間に、流れ始めるのです。
みっつ目の冷えは、「不満の、増幅」です。感謝を求める社長は、社員が、感謝しないことに、不満を募らせます。その不満が、また、態度に、にじみ出る。すると、社員も、それに反発し、さらに、感謝しなくなる。感謝を求める空気が、社長と社員の、負の感情の連鎖を、生んでいくのです。
ー感謝が生まれるのは、見返りを求めない、与える空気
社長が、社員から感謝されるか、されないかを分けるのは、どれだけ社員のためにしてやったかではなく、見返りを求めず、与えることそのものを喜ぶ、空気があるかどうかです。
社員のためにすることに、見返りや、感謝を、求めていないか。「してやった」という恩着せがましさが、態度に、にじんでいないか。感謝されなくなるのは、感謝を求める空気が、その土壌である信頼関係を、壊しているサインです。見返りを求めず、与えることを喜ぶ空気の中でこそ、社員は、自然と、感謝を寄せるようになります。
ー感謝を求めるのをやめ、まず、自分が感謝する
では、経営者は、何を変えればいいのか。社員に、感謝を、教え込むことではありません。感謝を求めるのを、やめ、まず、自分が、社員に、感謝することです。
まず、「これだけ、してやっているのに」という気持ちを、手放す。見返りを求めず、社員のためにすること自体を、喜びとする。次に、社員に、感謝を求める代わりに、まず、社長であるあなたが、社員に、感謝を伝える。「いつも、ありがとう」「助かっている」と。感謝は、上から、流れ始めます。社長が感謝すれば、その空気が、組織に、広がっていく。──こうして自ら感謝し始めたあなたは、感謝を求めることでは決して得られなかった、社員からの自然な感謝が、返ってくる土壌を、育て始めているのです。感謝は、求めるものではなく、まず、与えるものなのです。
ーあなたは、社員に、感謝を求めていないでしょうか
最後に、お伝えしたいことがあります。社員から感謝される会社になるかどうかは、社長が、どれだけしてやったかではなく、感謝を求めず、まず、自分から感謝する空気を、持てるかどうかで、決まるということです。
思い返してみてください。あなたは、心のどこかで、社員に、感謝を、求めていないでしょうか。「これだけ、してやっているのに」という思いを、抱いていないでしょうか。そして、その気持ちが、態度に、にじみ出て、社員を、遠ざけていないでしょうか。もし、思い当たるなら、それが、感謝されなくなった理由かもしれません。
このコラムを読み終えたあなたは、次に「これだけしてやっているのに」と感じたその瞬間、ふと、気づくはずです。求めるほど、感謝は、遠ざかるのだ、と。そして、感謝を求める代わりに、まず、社員に「ありがとう」と伝える自分の姿が、もう浮かんでいるのではないでしょうか。感謝を求めるのをやめ、まず自分が感謝する。それが、自然な感謝が返ってくる空気を育てる、最も確実で、最も静かな一手なのです。
ー勝田耕司
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