透明資産経営|なぜ、社長だけが危機感を持っている会社は、変われないのか?
こんにちは!企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。透明資産とは、業績に影響する「空気感」を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた透明資産経営は、お客様との絆が深まり、従業同士の信頼関係が築きあげられ、商品・サービスの独自性が強化されます。そして、持続的成長につながる経営の仕組です。
ー社長のあなただけが、焦っていないでしょうか
思い浮かべてみてください。会社の先行きに、危機感を抱いて、なんとかしなければと、焦っている、あなた自身の姿を。
このままでは、まずい。時代が、変わっている。手を打たなければ、じり貧になる。──あなたは、夜も眠れないほど、危機感を、募らせている。だから、社員に、訴える。「もっと、危機感を持て」「このままでは、大変なことになる」と。ところが、社員たちの反応は、どこか、他人事です。うなずいてはいるけれど、目に、切迫感がない。相変わらず、いつも通りの、ペースで働いている。
あなたは、いら立ちます。「なぜ、この危機感が、伝わらないのか」「なぜ、自分だけが、焦っているのか」と。──社長だけが、危機感を持ち、社員が、ついてこない。この、温度差のある会社は、いくら社長が焦っても、変わることが、できません。そして、その温度差の正体こそ、今日、お話ししたいことです。
ー「危機感を持て」と言うほど、社員は、危機感から遠ざかる
なぜ、社長だけが危機感を持ち、社員に、伝わらないのか。
ここに、この連載だからこそお伝えしたい、逆説があります。「危機感を持て」と、上から、危機感を、押しつけるほど、社員は、かえって、危機感を、自分事として、持てなくなる、ということです。
考えてみてください。危機感とは、本来、「自分にも、関わることだ」「自分が、なんとかしなければ」という、当事者としての、意識です。ところが、社長が、一方的に、「危機だ、危機だ」と、煽ると、社員は、どう感じるでしょうか。「また、社長が、騒いでいる」「危機だと言うなら、社長が、なんとかするだろう」──危機を、社長の問題として、切り離してしまうのです。押しつけられた危機感は、恐怖や、プレッシャーにはなっても、当事者意識には、なりません。むしろ、煽られるほど、社員は、心を、閉ざし、危機を、遠ざけてしまうのです。
普通の経営者なら、「危機感を、共有すれば、社員も、動くはずだ」と考えるでしょう。しかし、透明資産の視点では、危機感が組織に広がるかどうかは、社長がどれだけ煽るかではなく、社員が、「自分も、この会社の当事者だ」と、感じられる空気があるかどうかで、決まります。当事者意識のない社員に、危機感だけを、注入しようとしても、それは、恐怖として、跳ね返されるだけです。社長だけが危機感を持つ会社が変われないのは、社員が、当事者になれる空気を欠いたまま、危機感だけを、押しつけているからなのです。
ー社長だけが焦る空気が、生む、3つの停滞
社長だけが、危機感を持つ空気は、組織に、どんな停滞を生むのか。三つお伝えします。
ひとつ目の停滞は、「危機の、丸投げ」です。社員は、危機を、社長の問題として、丸投げします。「社長が、なんとかするだろう」と。当事者意識がないから、自分から、動こうとは、しません。危機感が、社長一人に、集中し、社員は、傍観者になるのです。
ふたつ目の停滞は、「恐怖による、萎縮」です。危機を、煽られ続けた社員は、恐怖を、感じます。しかし、恐怖は、前向きな行動ではなく、萎縮を、生みます。「失敗したら、まずい」と、身を、固くする。危機を煽る空気が、かえって、社員を、動けなくするのです。
みっつ目の停滞は、「社長への、白け」です。社長が、危機を、繰り返し、煽ると、社員は、次第に、白けていきます。「またか」と。狼少年のように、危機の訴えが、聞き流されるようになる。本当に、危機のときですら、社員が、動かなくなるのです。
ー組織が変わるのは、社員が当事者になれる空気から
組織が、変われるか、変われないかを分けるのは、社長の危機感の強さではなく、社員が、「自分も、この会社の当事者だ」と、感じられる空気があるかどうかです。
社員が、会社の未来を、自分事として、考えられる空気があるか。危機を、社長一人のものではなく、みんなのものとして、分かち合える空気があるか。社長だけが焦るのは、社員が当事者になれる空気が、欠けているサインです。社員が当事者になれる空気を育ててはじめて、危機感は、組織全体に、広がり、会社は、変わり始めます。
ー危機を煽るのをやめ、当事者にする
では、経営者は、何を変えればいいのか。危機感を、より強く、煽ることではありません。社員を、会社の当事者に、することです。
まず、危機を、一方的に、煽るのを、やめる。代わりに、会社の状況を、包み隠さず、正直に、共有する。「一緒に、考えてほしい」と、社員を、巻き込む。次に、社員の意見を、求め、会社の未来づくりに、参加してもらう。当事者は、参加から、生まれます。そして、社員一人ひとりが、会社の未来に、影響を与えられると、実感できるようにする。──こうして社員を当事者にし始めたあなたは、社長一人の焦りを、組織全体の、変わる力へと、変え始めているのです。
ーその危機感は、あなた一人のものに、なっていませんか
最後に、お伝えしたいことがあります。会社が変われるかどうかは、社長がどれだけ危機感を持つかではなく、その危機感を、社員が、自分事として、分かち合える空気が、あるかどうかで、決まるということです。
思い返してみてください。あなたは、社員に、「危機感を持て」と、訴えていないでしょうか。その訴えは、社員を、当事者にするどころか、危機を、あなた一人のものに、してしまっていないでしょうか。もし、社長だけが焦っていると感じるなら、それは、社員を、当事者にする空気を、つくるべき合図です。
このコラムを読み終えたあなたは、次に「危機感を持て」と言いたくなったその瞬間、ふと、こらえるはずです。煽る代わりに、当事者にしよう、と。そして、社員に状況を正直に語り、「一緒に考えてほしい」と、頭を下げる自分の姿が、もう浮かんでいるのではないでしょうか。危機を煽るのではなく、社員を当事者にする空気をつくる。それが、社長一人の焦りを、組織の変わる力に変える、最も確実で、最も静かな一手なのです。
ー勝田耕司
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