社員を導く社長が知っておくべき「人間の本性」

  キラーサービス(特別対応の標準化) 中川洋一 SPECIAL
中川洋一 SPECIAL

キラーサービス(特別対応の標準化)コンサルティング

株式会社キラーサービス研究所 代表取締役 中川洋一

経営革新コンサルタント。特別対応を標準化することで企業に大きな収益をもたらす専門家として高い支持を得ている。これまで、倒産状態に陥った企業の経営再建から、成長企業の新規事業立ち上げまで、様々なステージにある数多くの企業の成長支援を手掛けた実績を持つ。氏が関わった企業からは、「価格競争から脱却できた!」、「圧倒的に選ばれるようになった」、「顧客に感謝され、社員の士気も上がった!」など、絶大な信頼を獲得している。

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昨夜、新大阪から東京に戻る新幹線の車中で、コーヒーが飲みたいと車内販売が来るのを待っていましたが、販売員の女性の歩くスピードがあまりにも高速で2度とも声をかけられず、結局コーヒーは断念してしまいました。

彼女の仕事の本来の目的は、直接的な表現で言うと「車内販売で売上を上げること」であり、より抽象度を上げると「乗客に快適な時間を過ごしていただくためのお手伝い」ということになるはずですが、それが理解できていないと、単に「ワゴンを押すこと」が目的化してしまい、結果、誰にも止められない高速早歩きとなってしまうわけです。

これとよく似たことが、現実的には多くの企業で起こっています。つまり、仕事の本来の目的が見失われ、自分たちの仕事(日常業務)をこなすことが目的化してしまう現象です。

なぜこうなってしまうのか。それは、企業の目的を社員が「自分事」と思えていないからです。

まず当然ながら、企業の目的は「外」を向いたもの、つまり社会に対して働きかけるものでなければなりません。そうでないと、お金を払ってくれる人、つまり「顧客」を創造できないからです。「企業の目的はそれぞれの企業の外にある。」とドラッカーが言っている通りです。

一方で、企業を構成するのは「人」ですが、人というのは生まれてから死ぬまでずっと、本能の影響を受けています。そして人間の本能とは何かというと、只々「自分の欲求を満たす」ということなのです。

哲学者ドゥルーズが『人間の本能は「欲望機械」である。』と喝破した通り、もし何の制約もない世界があるとしたら、人間は自分のことしか考えず、自分の欲を満たすことしかしない。人間の本能に「利他の精神」なんてものはないんです。これが人の本性です。

これには反発したくなる人もいらっしゃるかもしれません。人がそんな自分勝手な存在だったら、この世界はめちゃくちゃになるじゃないかと。その通りです。だからそうならないように、世の中には様々なルールがあるんです。

過去の投稿やセミナーでもお伝えしていますが、私たちの住んでいるこの世界は100%「言葉」でできています。私たちは言葉のフィルターを通してしか物事を認知することができません。そして「欲望機械」である私たちを縛る様々なルール、これも言葉でできています。

法律、道徳的規範、倫理観念、常識…すべて言葉で作られたものです。誰が作ったか?それは権力です。時の権力が人の勝手な欲望を抑え世の中を統治するために、言葉によって人を導いているということです。

この構図は当然企業の中においても当てはまります。

つい「内」を向いてしまう社員の意識を「外」に向けさせ、彼らのやりたいことと会社がやるべきこと(=企業の目的)とをリンクさせる。そのためにはやはり、「言葉で導く」ことが必要です。

企業、そして事業の目的

その目的を果たすためのUSP(独自の売り)

そのUSPを実現・強化するためのチームや社員の役割

その役割を果たすための行動や心構え…

そういったことがしっかり明文化され、共有され、そして常にリマインドされる。そのように言葉でしっかり彼らの意識を高め、同じ方向に導いていかないと、社員はすぐにバラバラの方を向いてしまうものです。

人は本来自分のことしか考えない生き物だと言いましたが、言葉の世界に生きている我々は、その言葉によって自らの欲望の純度を高めていくことができます。つまり、「人の役に立てるような自分になりたい」、「社会に貢献できる自分になりたい」というように自分の欲望を昇華させる。これが利他の精神、「人の喜び我が喜び」ということです。

経営者がどこまで「言葉」にこだわるかで経営の質は大きく変わります。事実、「人を動かせる質の高い言葉を仕入れたい」と、半年間計6回の読書会に100万円払って通う経営者もいると聞きます。政治家も同様です。政治家のここ一番のスピーチ、たとえば安倍首相の「汚染水は完全にコントロールされている」という台詞などはスピーチライターが書いたものです。

経営者が社員に対して常に「売上だ!売上を上げろ!」と伝えるか、「お客様を助けるためにもっとこの商品を広めていこう!」と伝えるかでも、社員の受け止め方は全然違ってきます。前者は経営者の都合、後者は自分たちの使命ということです。

もちろん、発言だけが大事なのではありません。自分たちのやるべきことをちゃんと言語化して紙に落とし、それを仕組みとして廻しているか。それができているかどうかで会社のパフォーマンスは大きく変わってきます。また、仕組みも言葉でできていますから、結局言葉をどう使うか、言葉とどう向き合うかで経営は決まると言っても過言ではありません。

自分たちがやるべきことの言語化と、それによる社員の意識レベルの向上を実践していきましょう。

 


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中川洋一

キラーサービス(特別対応の標準化)コンサルティング

株式会社キラーサービス研究所代表取締役

中川洋一

執筆者のWebサイトはこちら http://ksli.co.jp/

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