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社長と考えの合わない社員がのさばる訳

SPECIAL

キラーサービス(特別対応の標準化)コンサルタント

株式会社キラーサービス研究所

代表取締役 

経営革新コンサルタント。イレギュラー対応を標準化することで、ライバル不在で儲かる、「特別ビジネス」をつくりあげる専門家。倒産状態に陥った企業の経営再建から、成長企業の新規事業立ち上げまで、様々なステージにある数多くの企業を支援。イレギュラー対応を仕組みで廻して独自の市場をつくりだす画期的手法に、多くの経営者から絶大な評価を集める注目のコンサルタント。

どうしても考え方の合わない社員がいる、との悩みを社長からお聞きすることがよくあります。そして、辞めてもらいたいが、仕事だけはできるので、すぐには辞められてはこまると。

昔から、社員には4つのタイプがいるとよく言われます。
 A:社長の考え方や価値観と合い、かつ仕事もできる
 B:社長の考え方や価値観と合うが、仕事はできない
 C:社長の考え方や価値観とは合わないが、仕事はできる
 D:社長の考え方や価値観と合わない、かつ仕事もできない

AとDについては議論するまでもないと思いますが、問題はBかCか、つまり「価値観重視」か「能力重視」かで悩まれている社長も多いと思います。

これについては「Bは辛抱強く仕事のやり方を教育すればいい。しかしCの考え方や価値観を変えるのは難しい。だからBを重用すべきだ。」とお考えになる社長は多いのではないでしょうか。

結論を言えば私も上記の考えに賛成ですが、問題はC、つまり仕事はできるが価値観の合わない社員をどう処遇すべきか。

これは私見になりますが、そのような社員にはなるべく早く会社を去ってもらうべきです。

会社は言うなれば一隻の船です。そして今のような変化が激しい時代を生きる中小企業は、荒波の大海を航海する小さな木造船のようなものです。社長の指し示す方角に向かって1ミリでも船を前に進めようと、社員がせっせとオールを手漕ぎしている状態。そのような中に、一人オールを反対に漕ぐ乗組員がいたら船はどうなってしまうでしょうか。

最近は「社員を大切にしよう」という考え方が随分と取り上げられていますが、それは社員が同じ目的に向かって共に戦う仲間だという前提があっての話しです。会社が守るべきはお客様であり、戦う相手はライバル会社であるという事実はなにをどう言おうが変わることはありません。その戦いの将たる社長の足を引っ張り、心を煩わせる社員をのさばらせておくことは、同胞たる他の社員を大切にしないということにもなります。

かの松下幸之助は、松下がまだ従業員30名の時代に、自分の想いや考え方をまとめたものを社員に見せ、それに「合う」か「合わない」か尋ねたところ、なんと28名が「合わない」と答えたそうです。そしてその28名の社員には最終的に全員に卒業してもらい、その後は考え方が合う人間だけを採用するようにしたとのこと。

いわば社長の想いや考え方が社員にとっての「踏み絵」になる訳ですが、ここで大事なことは、「社長が踏み絵として社員に突きつけるに値する想いや考え方を言語化し、社員に示せているか」ということです。

これは会社の数値目標や仕事のやり方といった戦術レベルの話しではもちろんなく、事業をどう進めるという戦略レベルの話しよりもさらに上、自分たちの存在意義や事業の目的というレベルでの考え方や価値観をしっかり伝えるということです。

この業界に我々はなぜ必要なのか?

数ある同業者の中で、なぜ我々でないとだめなのか?

この業界のどのような問題が見過ごせないのか?

なぜ我々はやり通す必要があるのか?

我々の「あきらめない理由」は何か?

このような、言わば自分たちの「あり方」や「覚悟」を示せているか。これができてはじめて社員をBだCだと判断できるものであり、また彼らに対して「この船に乗るのか乗らないのか」という決断を迫ることができるというものです。

またこういった社長のあり方や覚悟が、自社のUSP(独自の売り)となり、競合と本質的に差別化する要素となると私は考えます。

この「あり方の売り」としてのUSPが実際の事業の中身である商品やサービス、そしてそれを実現するための仕事のやり方・進め方のレベルにまで落とし込まれていれば、どうでしょうか。

C:社長の考え方や価値観とは合わないが、仕事はできる

この一文が途端に矛盾したものに感じるはずです。つまり、「仕事」の中に社長の考え方や価値観が落とし込まれているならば、考え方が合っていないのに「仕事ができる」ということにはならないはずなんです。

つまり、Cの文章における「仕事」というのは、言うなれば「作業」レベルの話しになっているということ。作業品質や作業効率という一部分を切り取って仕事ができるかどうかの評価基準としてしまっているということです。

社長が社員に対して普段口にする言葉が個々の社員の作業レベルの話しになってしまっているとどうなるか。社員が「自分の作業さえやっていればいい」という考えになってしまうのは当然の結果です。

そして、会社全体がそのような作業レベルに終始してしまっては、市場に対して新しい価値を提供することはできず、自社の立ち位置は下請け的なものとなり、「しんどい割に儲からない」という状態に陥ってしまいます。

事業をつくるには必ず上位概念からが鉄則です。自分たちの存在意義、事業の目的、そして他社とは一線を画す独自の強み。こういった社長の考え方、「夢」、そして「覚悟」、これを示してはじめて船が進むべき針路が決まり、社員の受け持つ「仕事」の定義も決まるというものです。

そして、そのような大義を持った仕事は、個々の社員がバラバラに作業をしているだけでは成り立ちませんから、必然的に組織的な取り組みや仕掛けレベルに昇華されるはずです。

御社は全社一丸となって目指すべき針路は定まっていますか?
 社員に踏み絵を迫るに足る「想い」を言語化できていますか?

 

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