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ビジネスは“みずから”の視点だけでは飛躍できない

SPECIAL

商品リニューアルコンサルタント

株式会社りぼんコンサルティング

代表取締役 

商品リニューアルに特化した専門コンサルタント。「商品リニューアルこそ、中小企業にとって真の経営戦略である」という信念のもと、商品の「蘇らせ」「再活性化」「新展開」…など、事業戦略にまで高める独自の手法に、多くの経営者から注目を集める第一人者。常にマーケティング目線によって描きだされるリニューアル戦略は、ユニークかつ唯一無二の価値を提供することで定評。1969 年生まれ、日本大学芸術学部文芸学科卒。

社長が指揮官となって商品リニューアルに取り組む中、プロジェクトチームの集中力が途切れることがあります。その原因はさまざまですが、多くが社長ご自身の問題です。社長もひとりの人間です。問題はさまざまですが、最近お会いした、ある社長の場合はご家族の介護の問題で悩んでおられました。

社長のお許しを得て書かせていただいております。数年前から80代のご両親が要介護状態です。社長ご自身はまだまだ働き盛りで奥様も有職。お子様たちは幼く、上が小学生です。施設入所をすすめられたそうですが、ご両親が強く「在宅介護」を希望。国の介護保険制度による複数のヘルパーさんとお手伝いさんを雇い回してきました。社長曰く「介護と子育てのダブルケアですし、コストがかかり私財を投じて介護している状況で、、、」と。

そして最近、お父様が家の中で転倒そして骨折。大ごとにはならなかったものの通院が必要で「とにかく家中がバタバタで、会社どころではなくて。プロジェクトの方もすべて部長に任せきりにしてまして、、、」と。商品リニューアルプロジェクトの話は横に置き、介護の話を深く聞けば、ケアマネージャーのひと言が社長を悩ませていました。

ケアマネージャーに相談するといつも「ご家族のご希望に寄り添って計画を作ってゆくのが私たちの仕事、答えはご家族の心の中にあるからとにかく話し合って」の一点張りだそうです。社長の気持ちとしては「答えが出せないんですよ、考えても考えても堂々巡りで途方にくれてます」と。少し痩せたお顔で訥々と話してくださいました。「コザキ先生、正直いまは指揮を執るどころじゃなくて」とお辛そうです。

今回は介護の問題でしたが、ほかにも「事業承継」や「後継者不足」など年々深刻で、社長の心をザワザワとさせる問題のひとつとなっています。わたくしの専門外ですが、例えば、社長の場合には在宅介護に強い在宅医療専門医を、後者の場合には事業承継に強い弁護士にお引き合わせするようお手伝いします。

わたくしがここでお伝えしたいことは「紹介できる人を知っている」ということではありません。そうではなくて、このような問題が生じた時、第三者のスペシャリストにつなぐ意味は、自分たちがどうしたいのかという「答えの深掘り」に時間を遣ってはならないと皮膚感覚で直感するからです。

一般的には「自分たちの中に答えがある」とか「自分たちがどうしたいか、自分たちのやりたいことが大事」とかで、問題を深掘りするよう指導されることがあります。マーケティングで言えば、SWOT分析やポジショニングマップなどのフレームワークの数々です。しかし、これはある視点がなければ、逆効果であることが多く、深堀りすればするほど迷走します。結果、時間を浪費し、悩んでいる間に事態が静かに悪化したり停滞するケースが多いのです。

ある視点とは「おのずからの視点」です。

わたくしたちは、360度ぐるりと自分の姿を見、自身の全容をつかむことができないように、自分のことが客観的にわかりません。したがって、自社あるいはご自身の問題に対して「自ら=みずからの視点」だけではぜったいに答えは出せないという原理原則があります。

広辞苑によれば「自ら」は「自ら=ミ(身)ツカラの転。カラはそれ自体の意味。自分自身」。だれもが知っている意味です。一方、非常に似た言葉で「自ずから=おのずから」という言葉があります。

「自ずから」は「己つ柄の意。柄(から)はそれ自身の在り方の意。もとからもっているもの、ありのままのもの。もとからもっているものの(在り方の)ままに」と説明しています。

自らには「在り方」を含んでいません。一方、自ずから=おのずからは、「在り方」から自然とそうなるもの、というニュアンスがあります。「在り方」とは「あるべき姿」であり、自分を超え、未来から逆算した別次元の視点です。

商品リニューアルの戦略策定においても、社長ご自身の問題においても、みずからの視点だけでは絶対に飛躍することはできません。自分たちの強み、自分たちの弱み、自分たちのやりたいこと、自分たちの好きなこと等々・・・自社にフォーカスした視点を深く掘ることは参考程度にし、むしろ「おのずからの視点」を持つことが肝要です。

視点をみずからから引き離し、お客様にとっておのずから喜ばれていることは何なのか。おのずからお客様の幸せに繋がっているのはどこなのか。企業としての「在り方」の逆算。下を向いて垂直に掘っていることをやめて、顔をあげましょう。視点をあげ、横に移動して新しい穴を掘ることです、考え直すことです。

前出の社長の後日談です。

社長は、地域医療に特化した在宅介護専門医に出会いました。新しいやり方をいくつか提示してもらい方向を定めることができました。「両親の気持ちもありますので、結果がどうなるかわかりません。ですが、もしうまくいかなかったら、別の考え方を医師と探ればいいんですよ」、そう別人のように晴れやかな表情です。結果、商品リニューアルプロジェクトの方も再起動し、一層力強くプロモーションが動き出しました。

課題や問題に対峙したとき、

穴を深く垂直に掘ってはいないでしょうか?

自社に自分に一点フォーカスされてませんか?

御社「みずからの視点」だけでビジネスを飛躍させようとはしていませんか?

そして、「おのずからの視点」を実装させる仕組みがありますでしょうか?

みずからの力だけではビジネスは飛躍できません。おのずからお客様が求めていることを直視すること。この真意をしっかりと理解することが、ビジネスを大きく飛躍させる一歩となるのです!

 

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