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ビジネス価値とパラダイム

  環境戦略 西田純 SPECIAL
西田純 SPECIAL

環境戦略コンサルタント

合同会社オフィス西田 チーフコンサルタント 西田純

環境戦略アドバイザー。数々の多国間環境条約や、国連が提唱する2030年のための持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)を参照しながら、サーキュラーエコノミーなど企業として取るべき環境戦略や、環境対策を通じた長期収益構造の改善などをアドバイスしている。

環境ビジネスについて考えるとき、よく言われるのが都市伝説とも化している俗信が、思わぬ形でビジネスの妨げになったり、反対にビジネスチャンスへの気運を盛り上げたりもするという話です。以前は割り箸を忌避する都市伝説が出たりしたことがありました。最近でも、高い省エネ効果が評価され、蛍光灯はどんどんLEDに取って代わられています。果たしてこの変化は、ほんとうに環境的に良いもの、なのでしょうか?

たとえば、スーパーのレジ袋はいまや有料が当たり前、という時代になりました。不思議なことに、コンビニやドラッグストア、ホームセンターなどでは同様の動きがあまり見られません。書店や、衣料品店などでも相変わらず商品をポリ袋に入れるのが当たり前、になっています。ファストフード店でもプラスチック製のストローを一部で取りやめたり、紙などの材料に切り替える動きがでているようですが、店内のトレーがプラスチックから木材に切り替わったという話はあまり聞きません。

これらはいずれも、とある側面にだけ目を奪われていることの象徴的な現象だと思うのですが、たとえばLEDにはヒ素が含まれていて、廃棄後の取り扱いが必ずしも易しくないことに注目する議論はあまり耳にしません。それに比べると、蛍光灯には確かに水銀が使われているのですが、日本ではほぼ100%を安全にリサイクルする技術が確立されていて、適正に処理される限りにおいて環境負荷を心配する必要がない製品なのです。確かにLEDの省エネ効果は高いので、今後ビジネス的に対応すべきは廃棄後の適正処理と、可能な範囲でのリサイクルへの取り組みだろうと思われます。 

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こういった、さまざまなパラダイムがさまざまな形で都市伝説化していて、環境ビジネスも影響を受けないとは言えない要素があります。以前には大気汚染に関するニュース番組の誤報(?)により、葉物野菜が大きな影響を受けたという事件もありました。

レジ袋やストローについては、ちょっと考えるとプラスチック汚染対策としてはいかにも不十分なことが判ります。実際のところ、日本の廃棄物処理インフラは全国的に充実しているので、むやみに使用を止めるよりも、きちんと分別して廃棄物処理のルートに乗せたほうが合理的である、との意見も耳にします。それではどうしてこのような対応が取られているのでしょうか? 

スーパーやファストフード店については、環境対策というよりもイメージ戦略という側面のほうが強いのではないかと思います。だからこそ、独自に始められて訴求性の強いテーマが選ばれているということですね。 

でも、これもまたビジネス機会の一つであることに変わりはありません。それが環境保全に向けたものなのか、あるいは企業イメージを高めるためのものなのかについては、個別事案ごとにだいぶ異なるので、少し難しいところがあるかもしれません。網羅的な施策であるかそうでないかの違いはあっても、それが明らかに環境負荷を低減させるものである限り、ビジネスのネタとしての価値を追求することには相応の意義があるのです。

 

環境ビジネスのためのグローバル戦略
西田純

環境戦略コンサルタント

合同会社オフィス西田チーフコンサルタント

西田純

執筆者のWebサイトはこちら https://swbs.smrj.go.jp/

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