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場数を踏んだ社員から見下されないためには

SPECIAL

環境戦略コンサルタント

合同会社オフィス西田

チーフコンサルタント 

環境戦略アドバイザー。数々の多国間環境条約や、国連が提唱する2030年のための持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)を参照しながら、サーキュラーエコノミーなど企業として取るべき環境戦略や、環境対策を通じた長期収益構造の改善などをアドバイスしている。

コロナウィルス感染症の影響で、休業を余儀なくされたり、テレワークで在宅勤務をしている事例が増えています。他方で物流や交通、多くの環境ビジネスをはじめとする社会インフラを支える事業体では現場を止めるわけには行かないので、感染防止に気を使ったうえで通常と変わらない操業を継続しています。

動いている現場では、日々さまざまな出来事が起こります。いつも使っている給食業者が休業に入ったり、逆に食堂がテイクアウト営業のみになったため、職場で弁当を食べる人が増えて休憩室が「三密」になる恐れが出たり、そのためのシフト調整で機械の稼働スケジュールが変わったり。

営業面でも顧客のテレワークに対応したり、支払いの調整や、いつもはしない役所への届け出に対応したりする経験を経て、社員たちは場数を踏んで成長してゆきます。社長なしでも仕事が回る職場はある意味で理想形ですが、同時に社員達がさまざまな課題を見つける機会でもあるため、どう対応するかを予め決めておかないと社内に問題のタネを抱え込むことになる恐れがあります。

自律的に仕事を回す仕組みを作るのは良いとして、発見された課題をしっかりとフォローできる体制を取っていないと、PDCAが上手く回らないだけでなく、社員達の間に不満を溜める原因になったり、最終的には社長としての器を見切られたりすることにもなりかねないのです。

いささか難しいのは、フォローすべき課題の内容が多岐にわたることです。経営トップとして注意すべき視点は次の三つだと整理できます。

① 仕事に関わる課題 毎日の業務で守るべきルールの変更や、社員の職務権限では対応しきれないもの。社員の報告をヒアリングして的確な対応をスピーディに取ることが求められます。企業規模によっては、上位の管理職に権限を委嘱する場合もあるでしょう。その場合でも仕事について社内で何が起きているか、社長が関心を持ち続けることは重要です。

② 職場に関わる課題 職場内の対人関係やコミュニケーション、あるいは安全衛生や福利厚生にかかわるもの。まず社員自らの課題対応をモニタリングし、必要に応じて対応を取ることが求められます。

③ 長期の方向性に関わる課題 社会的な課題や新たな成長機会への関心、会社の将来につながるもの。この部分はどうしても経営者が担わなくてはなりません。

社員たちは社長の事を実によく見ています。自分たちが自律的に回す仕事について、社長がどれだけ自分事として関心を持ってくれているか、自分たちの課題への対応をどうフォローしてくれるか、そして自分たちが納得できる将来ビジョンを示してくれているか。

ここで肝心なのは、①~③のどれ一つ欠けても会社に対する社員の欲求は満たされないということです。社長も一目置く社内のエースが根深い問題意識を抱いていたり、それとなく将来の独立を匂わせるような話をしたりするという事例は枚挙にいとまがありません。話を聞いてみると、自身の身の上に関わる場合を除けば、ほぼ間違いなく①~③のいずれかあるいは二つ以上に起因します。

三つの視点を具体的な施策へと落とし込み、会社としてPDCAをしっかり回せるようにすること、それさえできていれば社員が場数を踏むことは間違いなく会社の経験値として蓄積されて行きます。そしてそうすることでこそ経営者は、自信を持って社員と対峙できるのです。

 

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