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不公平感を放置すると

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環境戦略コンサルタント

合同会社オフィス西田

チーフコンサルタント 

環境戦略アドバイザー。数々の多国間環境条約や、国連が提唱する2030年のための持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)を参照しながら、サーキュラーエコノミーなど企業として取るべき環境戦略や、環境対策を通じた長期収益構造の改善などをアドバイスしている。

 かつて高度成長の頃、①終身雇用、②年功序列、③労使協調が日本的経営の特徴であるという分析がなされた時代がありました。

経済が右肩上がりの時代、さらに企業は人財の確保を最優先としてこれらの施策を活用していたことが覗えます。何より社員を辞めさせないこと。そのための追加コストを企業が負担できた時代だといえるでしょう。社員旅行や飲み会も頻繁に催され、社員からすると会社とは一心同体の時代が長く続きました。

時代は変わり、高度成長時代はとうに歴史の一部となったはずですが、社会にはその当時のイメージがまだ残っているせいか、新人採用はいまだに「新卒一括」方式(①と②を満足させるためには最適な方法)ですし、年末・年度末などには送別会でもらったと思しき花束(①達成の象徴)を抱えたシニアビジネスマンを街で目にすることも珍しくはありません。

他方で会社に対する満足度のアンケート結果などを見ると、たとえばアメリカのエデルマン社が実施した世界的な調査において、日本人は「世界で最も自分の働く会社を信用していない」という結果が出ていたりします(28ヶ国中で最下位)。この結果を裏付けるように若年層向けの転職市場も整備されており、実際に転職はごく当たり前になってきています。

経営について言えば、経営理念・ビジョン・ミッションの重要性はさまざまな場面で強調されており、ある程度活力のある企業では経営のリーダーシップについてはかなり取り組まれてきているのですが、それでも「自分の働く会社を信用していない」とはどういうことなのでしょうか?

実際にエンゲージメントテストを実施すると、「社内で誰かが賞賛された時、適切であると感じる」や、「目標達成に他部署は協力的である」などの質問に低い得点が現れることがあります。これはつまり、割り切れない不公平感や疎外感、孤独感を会社が解決してくれていないという不満の表れだと見ることができます。

社会全般には長期雇用を是とする考え方がまだ残っていて、経営も前を向いたリーダーシップを取ってはいるが、日常の社内ではときに不公平だったり疎外されたりする場面もある。そこでよりよい環境を求めて転職を考え、実際に行動する若者が昔に比べると増えている。2020年の日本における雇用状況を眺めると、そんな仮説が成り立つのです。

ではどうすれば良いのか?経営は、前を向くための経営理念・ビジョン・ミッションの提示に加え、評価・報酬の可視化や目標達成のために社内が協力しあえるための仕組みづくりまで責任を持って対応することが求められていると理解すべきなのです。

どんなに素晴らしいブランドの服でも、シミがついた状態で着たいと思う人がいないのと同じように、どんなに素晴らしい経営理念の会社でも、ときに不公平感や疎外感が漂う職場に長くいたいと考える若手は多くありません。経営者として人財確保を望まれるなら、そこまで手当てすることを必須と考えるべきなのです。

 

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