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経営目標が人財の価値を決める

2020年5月19日 環境戦略 西田純 SPECIAL
SPECIAL

環境戦略コンサルタント

合同会社オフィス西田 チーフコンサルタント 西田純

環境戦略アドバイザー。数々の多国間環境条約や、国連が提唱する2030年のための持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)を参照しながら、サーキュラーエコノミーなど企業として取るべき環境戦略や、環境対策を通じた長期収益構造の改善などをアドバイスしている。

企業にとって、経営目標が持つ意味は小さくありません。経営者と社員が共有する経営目標は、企業行動に関わる全ての判断の拠り所となり、詰まるところその企業の栄枯盛衰を決定するカギにすらなるからです。

今、仮に経営者が「3年で利益100億を達成する」という経営目標を立てたとします。取締役会で承認を受けると同時に社内はこの目標達成に向けて一斉に走り出します。そうすると100億円という数字が社内で強烈に意識され始め、そのためにあらゆる経営資源が動員され、社員は知恵をフル回転させて目標達成へと進んで行きます。

ここに行動規範やコードといった歯止めがないと、「100億のためなら何をしても良い」的なリスクが残ってしまいます。歯止めは多すぎたり複雑すぎるとブレーキになってしまいますし、「経営目標のためなら」ということで多少の逸脱が黙認されるようになったりすると、却って逆効果になります。100億円達成が優先される中で、企業として超えてはいけない一線を越えるような事例も過去には繰り返し発生しています。

いわゆるモラルハザード現象ですが、そこには社内と社外を分けるカベによる「情報の非対称性」が色濃く表れています。「わからないなら良いだろう」という考え方は、最近特に求められるようになってきた透明性や説明責任といった概念とは真逆の要素です。

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では、もしもこの経営目標が「利益100億円」ではなく、もっと定性的なものになったらどう変わるでしょうか?たとえば、「持続可能な社会の実現」といったものに置き換わると思ってください。そうすると、社員は本気で「持続可能な社会の実現にうちの会社はどう貢献できるか」を考え出します。ビジネスですから当然利益は確保する必要がありますが、そのうえでどうやったら社会の持続性を高めうるのか?という課題に真剣に取り組むようになるのです。社会との連携協力は不可欠となり、社員たちはどうやったら社会に貢献しながらおカネを儲けられるのか?という点にアタマを使うようになります。

そういうマインドが育つことによって、自ずと透明性や説明責任も担保され、モラルハザード現象は極めて発生しにくくなるのです。

人財の質はどちらが高くなるか、もうお分かりだと思います。経済全体が成長している時代はいざ知らず、ゼロサム社会において経営目標として数字だけを追いかけると、どうしてもそこには無理が働きます。外向きの無理は会社の評判を貶め、内向きの無理は決して人を育てません。

人財のレベルを高めるためには、レベルの高い思想をこそ目標とすべきです。全責任を負って一人でそれを決めるのが社長の役目です。社員には、意識を高める刺激を与えたら後は信頼して任せる以外に対応する方法はありません。そうすることによってのみ、社員の人財力は向上するのですから。

 

環境ビジネスのためのグローバル戦略

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合同会社オフィス西田 チーフコンサルタント

西田純

執筆者のWebサイトはこちら  https://swbs.smrj.go.jp/

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