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アフターコロナ、職人型社長では限界が・・・―マネジメント力をつけるか否かが事業の成否を決める―

SPECIAL

地方メディアの高度有効活用コンサルタント

株式会社メディアコネクション

代表取締役 

広告分野における地方メディアの高度有効活用を専門とするコンサルタント。東京在住中のマーケティングビジネス経営の経験と地方企業への経営革新支援ノウハウの融合させた、独自の「儲かるための広告戦略」を開発。自らも成功実践事例として、地方メディアを舞台に展開。

私の仕事は、このコンサルティングにしても会計事務所のトップとしても、お相手するクライアントさんは、ほぼ中小企業ということになります。まあ、ほとんどが戦後、小さな商売から始められた事業です。今では法人として運営されていますが、もとは個人レベルから起業された方が多いのです。当然、2代目3代目の時代を迎えている企業もあり、経済が激動期の昨今、みなさん苦労して経営にあたっておられます。

さて、その起業経験者に共通していえることですが、最初は何もかも自分でやったということです。

仕入や製造、営業販売、帳簿、人の管理、金策・・・こういったすべての分野をほぼ一人で賄ってこられたのではないでしょうか。もちろん、奥さんのサポートも大きかったと思いますが、いずれにしても、人を雇うこともできず、あれこれ自分たちだけでやらざるを得なかったのが、商売を始めた当初の台所事情だったと思います。特に、製造業など特殊な技術や専門性を必要とする仕事の場合、社長はもともと職人肌の人が多いと思います。にもかかわらず、前述のように、様々な分野の仕事をやらざるを得なかったことでしょう。

この点は、私たち税理士も同様です。開業当初は、何もかも自分でやらなければならないので、伝票の整理や入力といった作業的な仕事も含めて、すべて自らこなすことになります。しかし、顧客の数が増えてくると、さすがに作業的な仕事は、パートやようやく雇えるようになった社員などに振るようになってきます。ただ、中にはその作業的な仕事の処理スピードが異常に速い人などもいて、そんなタイプの税理士さんは、職人的にそういった作業的な部分を続ける人もいるのです。

さて、そうやって仕事を頑張っていて、事務所の評判も良ければだんだんとお客さんの数は増えてきます。そうなっても、所長さんは前述の作業的な仕事を続けるのでしょうか。

おそらくどこかでは、自分の手から離して、完全に従業員に任せなければならないときがくるだろうと思います。

それがちゃんとできるかどうかが、次のステージに進めるか否かの別れ目になるのです。

これは、他の職業においても同様です。職人的な仕事のやり方ではいずれ限界がきます。

自分の手掛けている仕事を家業からいっぱしの事業レベルまで持っていくには、どこかで職人的な仕事のやり方から脱皮しなければなりません。

つまり、マネジメントができるようにならなければ、一定の事業規模には到達できないのです。

一方、職人的なタイプとは違って、すべてに目配りのできる事業主もいます。営業も総務も経理も人事もある程度こなせるオールラウンドプレーヤーという人です。このタイプは、すべての事業活動を自分で決済しなければ気がすみません。

いわゆるワンマンタイプの経営者です。

このタイプはもちろん、人に仕事を振り分けるのですが、最後全部自分で決済しなければ気がすまないので、結局すべてを自分で見ているのと同じことになります。

若くてトップの判断力や決済能力が旺盛なうちはいいのですが、どんなトップもやがて力は衰えてきます。すべてに目を通すといっても、ほころびが出てくるのです。

職人タイプとワンマンタイプ、経営のスタイルとしては真逆のようですが、両者には共通しているところがあります。

それはマネジメント力が働いていないというところです。

マネジメントというのは、人を的確に動かして初めて機能するものです。職人タイプであれば、事業のある分野を他人に任せっぱなしという点において、ワンマンタイプはすべての分野を信頼して任せられないという点において、人を的確に動かしているとはいえません。つまり、マネジメントが有効に働いていない、ということになるのです。

ここで考えなければならないことが2通りあります。

それは、職人タイプとワンマンタイプとでは、有効なマネジメントへのアプローチの仕方が異なるということです。

職人タイプの場合、組織をあまり大きくしない、ということであれば、職業としては成り立ちます。腕さえよければ食っていくのに特に困るということはないでしょう。その規模でいいというのであれば、人生それでもいいのではないでしょうか。

または、自分は職人的な立場に徹してマネジメントはそれが得意な誰かに任す、という方法も取ることができます。

かつてのホンダにおける本田宗一郎と藤沢武夫のコンビがそうだったように、或いはソニーにおける盛田昭夫と井深大のコンビがそうだったように、技術系と営業系、或いは技術系と総務系といったように役割分担するのも一つの手です。いずれも大企業に成長発展して行く際に、お互いの力が必要だったのでしょう。

奥さんをそのポジションにおいている人も多いのですが、これには必ずしも賛成できません。奥さんが、それに相応しいタイプの人であればいいのですが、そうでない場合はいずれ限界がきます。

そういう意味では、片腕探しも経営者の大きな仕事の一つと私は考えているのです。

ワンマンタイプの場合、「割り切り」が必要です。そもそも、100点満点のチェックなどできるはずもないのですから、70点か80点できればそれでよし、と線を引かなければ、いつまでも内向きの仕事から解放されません。

私は、経営者は50%以上、いや本来ならば70から80%くらいは外向けの仕事に徹するべきと考えていますので、自分のポジションを会社全体の中でそういうところにもって行くべきです。

「俺がちゃんと見なければ、あいつらは何もできないんだから・・・」と思っているうちは、部下たちは本当に何もできません。どこかで任せないと、彼らは本当にできるようにはならないのです。

初めこのコラムを書く際に、「事業としての組織を大きくするためには、職人気質の社長では難しい。」と、分かりやすさを強調するために「職人」というキーワードを使いましだが、組織作りに対して問題が多いのはむしろワンマンタイプの社長かも知れない、と途中で気がついて、両者に触れることにしました。

多くの人間を雇用して、事業を「家業」ではなく「企業」としてのレベルまで発展させたい、と考えているのであれば、マネジメント力は必須です。

経営者としての自分の役割とポジションをはっきりさせ、人を的確に使いこなし、自分は自分の仕事に邁進しなければなりません。

社長の仕事は大きく分けて2つあります。

それは、内に向けて行なうマネジメントと外に向けて提供する自社のアピールです。

そのどちらも社長でなければできません。

うちに向けてのマネジメントは、社員が外に向けて存分に働けるようにするためのバックアップ業務ですので、外に向けての自社アピールも含んでいます。しかしながら、社長が行なう自社アピールは、普通社員に助けてもらうことはできません。社長にのみ振られた独自の役割なのです。

大企業であれば、マーケティング部門とか、広報部門とか、広告宣伝部門とか、対外的な専門のセクションがありますが、中小企業の場合は、ここの役割はほぼ社長専任の仕事になります。ただ、このことを自覚し、その仕事に専念している経営者は少ないといえましょう。

改めて申し上げますが、内に向かってのマネジメントは、仕事を役割ごとに、適切にスタッフに振ることができますし、またそうしなければなりません。

しかしながら、中小企業が外に向かって有効な情報を発信するのは社長の役割であり、それが最も適切な人選になるのです。

何故ならば、社長は会社の顔であり、社員とは圧倒的に人脈の広さと厚みが違います。

つまり、最も外に対する影響力が強く、効率がいいのです。

内に向かってワンマンタイプの経営者であれば、そこを直ちに切り替えるべきです。社内に対してワンマンなどやっている余裕はありません。そんな暇があったら、どんどん情報発信をして、自ら外に自社をアピールすべきなのです。

また自分が職人気質でそういうことがどうしても苦手だという人は、マネジメントを信頼のおける誰かに任せるべきです。自分の手掛ける仕事が、余人をもって代えがたい、と思うのならばなおさらです。マネジメントができる人に売り込んでもらわなければ、その技術や専門性が、宝の持ち腐れでもったいない話になります。

いずれにしても、外に向かってのマネジメント、即ち私が専門とし、いつも申し上げているところの「情報発信(アウトプット)」は、極めてベーシックな業務であり、常に企業の重要なテーマであり続けるのです。

ただ、ここに気づき、それを手がけている経営者が、極めて少数であることには驚かされます。業績が伸び悩んでいる中小企業の、その不振の大きな原因がここにあると申し上げても過言ではありません。

社長が、こういった自らの役割をはっきりさせ、一刻も早く「割り切り」と「覚悟」をもって明日から自分の事業に向き合われることを望みます。

 

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