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リノベ的マンション竣工図考(2)

SPECIAL

住宅・工務店コンサルタント

株式会社 家づくりの玉手箱

代表取締役 

住宅・工務店コンサルタント 。規格住宅を高付加価値化させ、選ばれる工務店となる独自の展開手法「シンボルハウス戦略」を指導する第一人者。
営業マンとして自分が欲しいと思わない住まいをお客様にお勧めする仕事に疑問を持ち、ある工務店でどうしても家を建てたくて転職、鹿児島へ 。15年間で173棟の住まいづくりをすまい手目線で担当。そこから編み出された、選ばれる工務店となる具体戦略を、悩める中小住宅会社ごとに実務指導中。

マンション物件のリノベーション工事を計画する際、どの程度事前の情報が得られるかで提案の精度がかなり変わってきます。

というのも、どうしても事前情報に見えない部分や不確定要素が多ければ多いほど実現性の確実な『安全策』をとってしまうからです。『安全策』とは、どんなものでしょうか?

具体的に例を挙げると、

●床下のスペース確保のために床高さが高くなったり、室内での段差のある提案になったり
●配線・配管などのスペースの余裕を各所に取りすぎることで有効デッドスペースが増えてしまう
●結果として、取れたかもしれない細かな収納スペースの余地を失ってしまう

といったことが知らず知らずのうちに積み重なってしまいます。言い換えると、せっかくのリノベーション提案が(住まい手の皆さんがとても不満を持っている)新築のマンションプランに近いものになってしまうという事を意味しています。不確定要素があればあるほどに、設計や提案内容がどうしても消極的になってしまうのです。

そうならないためには、やはり『竣工図』の情報は正確かつ多いに越したことはありません。正確であることは理由を言うまでもありませんが、情報が多くあると何が良いのでしょうか?それは、ある情報に対して他の情報で裏付けが取れて、図面上の矛盾点や間違いに気づくことができやすくなるので良いのです。

↑【良い例】→ 部屋毎の『設計変更図』

 

このように施工中に変更のあった箇所を部屋毎に分けた『設計変更図』として付けてあるケースは古い物件では稀です。オプションメニュー対応などのあった比較的新しい物件に多いようです。

 

↑ 【非常に良い例】→ 床下の様子がわかる施工写真

 

↑ 【非常に良い例】→ 間仕切り壁の中の造りがわかる施工写真

 

↑ 【非常に良い例】→ 天井下地の造りがわかる施工写真

 

↑ 【非常に良い例】→ パイプスペースの中の配管接続がわかる施工写真

 

このような資料はまず無いと考えておいた方がいいと思います。
施行中に撮影したものはあったとしても、最終的に管理室に常時保管されているという事はあまり期待できないのです。

いちばん最初に関わった物件の管理室にはこのような施工写真集が保管してあって、管理人さんが見せて下さったのでとても助かりました。何しろ、解体しないと見えない部分がほぼ全部にわたって写真で確認できるのですから。これから頭をひねってリノベーション工事の計画をしようという者にとっては、これ程嬉しいことはありません。 そういう意味で、私の場合は大変ラッキーだったと言えると思います。

 

↑ パンフレット・広告用の間取図(というよりイラスト)

 

このようなパンフレットや広告に載っている間取図はよく間違っていたりします。壁の厚みや各所の寸法関係などはかなり適当だったりします。広告用の間取図は設計者の手を離れて広告業者さんのデザイナーさんが一部修正したり加工している場合もあるからです。
余談ですが、その中でも特に中古マンションの広告用間取図は危険です。(不動産屋さんがパンフレットのコピーを切り貼りしていたりしていて、中には部屋タイプが間違っていたり反転プランだったりすることもあります)

 

↑ 建物の軸組(骨組み)のサイズや中の鉄筋の配筋仕様をあらわす平面的な図(一般に伏図といい、柱・梁キープランと書かれていることもあります)

 

この種の図面は、上からみた平面的な図(伏図)と横から見た立面的な図(軸組図)というものもセットになっています。その両方を見る事で、立体的に建物の骨組みがどこでどのように組み合わされているのかがもれなく把握でき改めて再現することができます。

慣れた設計者はこれらの図面から鉄筋コンクリート部分を再現して、解体後のスケルトン(建物の構造体のみの状態で内装が一切ない状態)になった際の内寸を割り出してくれます。この寸法が理論上の解体後の内法寸法=占有部分の空間の寸法ということになります。占有部分は一般的なマンション管理規約で定められている、所有者がリノベーション工事を行える対象範囲です。

 

↑ 柱(垂直方向に立つ構造部材)のサイズ・配筋仕様の一覧表(部材リスト図と呼ばれます)

 

↑ 梁(水平方向にかかる構造部材)のサイズ・配筋仕様の一覧表(部材リスト図と呼ばれます)

 

こういった複雑できっちりしたCAD図面をみていると正しい情報のような印象を強く持ちがちですが、そうとも限らないところは今も昔もそうは変わりません。むしろ、図面の表情が均一であるCAD図面は直感的に間違いに気付きにくい側面があります。

特に最近では部材リストなどはその都度描くのではなく、共通化して複数の物件に利用していることも多いのです。現場で柱や梁サイズなどが若干変わっていたりすることも現実にはあります。こういった内容は販売上あまり影響がないので竣工図での修正がなされないことが多くなるのだと思います。

あなたの会社ではリノベーション計画を行う際、マンションの竣工図の情報が現場と相違しているかもしれないという前提を持ってい臨んでいますか?また、解体後にその相違を発見できるような視点で現場実測作業をされていますか?

 

家づくりの玉手箱では、 住まいとしての本質を変える『本物のマンションリノベーション』を事業化、『小なれど一流』を目指す向上心あふれる経営者を全面支援しています。
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