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現状維持思考から抜け出すには

SPECIAL

社内独立店開コンサルタント

株式会社ストアブレインコンサルティング

代表取締役 

経営コンサルタント。アパレル、小売、飲食チェーン指導などに強みを持ち、店長再生から店舗最盛へとつなげていく独自の「社内独立店開」手法を指導する専門家。
自らは店舗を持たない「販売・運営」に特化した経営スタイルに、多くの異業種経営者、店長が注目。路面店から百貨店、都心型SC、郊外型ショッピングモール…など、多様なチャネルで成果を上げ、店舗の強みを引き出す天才と称されている。

「ネット通販には参入しないんですか?」

ある日のミーティング。食品製造小売業社長との会話で出た私のセリフです。今、小売店は取り扱う商品に関わらず、ネット通販への参入は必須項目の一つです。つまり、やるやらないの選択肢はありません。したがって「やる」しかないのですが、冒頭の社長は煮え切らない態度で「やらない理由」を延々と話し続け、やらないことの正当性をアピールします。 

これは私の経験上よくある事例の一つで、新しいことをやりたがらない社長は意外に多く見受けられます。いわゆる「現状維持バイアス」と呼ばれる状態です。変化や未知のものを避け、現状維持を望んでしまう心理のことです。 

一般の方ならまだしも、社長クラスでこれではちょっと‥なわけですが、前述の通り意外に多く、そんな社長の会社は当然の成り行きとして業績が良くありません。時代が変わっても自社は変わらないのですから、当たり前の結論です。 

人は基本的に変化を嫌う生き物です。ある程度の現状維持バイアスは致し方ない部分もあるかもしれません。ただ、気を付けなければならないことがあります。大半の社長がハマってしまう、現状維持バイアスを強化する罠があるのです。それが「成功体験の罠」と呼ばれるもので、読んで字の如く、過去の成功体験を引きずり、今では通用しないやり方を続けてしまうことです。 

「現状維持バイアス」と「成功体験の罠」がガッチリ両輪として機能すると、ほぼ確実に企業は衰退していきます(個人もですが)。この成功体験の罠のパワーは凄まじいものがあり、大企業でも「イノベーションのジレンマ」と呼ばれる現象に陥ります。わかりやすい例ではガラケーからスマートフォンへの変化、あるいはレンタルDVDから動画配信への変化が挙げられます。これらの変化に対応できなければ大企業でも駆逐されるのです。ちなみにイノベーションのジレンマについては、成功体験の罠だけではなく、さまざまな状況が絡みあいますがここでは割愛します。 

大企業ですら陥る罠です。中小企業はさもありなん。過去の成功体験ほど甘く心地いいものはありません。そこに寄りかかってしまうのはある意味仕方がないとも言えます。ただ、その麻薬的な成功体験に依存してしまうと、その後の治癒までに相当な時間がかかります。 

では、「現状維持バイアス」と「成功体験の罠」から抜け出すにはどうしたらよいでしょうか。私が思う一番の方法は、新たな人間関係を作ることです。つまり知らない人と会うということ。もっと言えば、自分の居心地の悪いコミュニティに入ること。これをあえて年間スケジュールに組み込むことです。 

異業種交流会でも、趣味の集まりでも、スポーツサークルでも、何でも構いません。自分の知らない人、つまり違う価値観の人と話すのは、現状維持バイアスや成功体験の罠から抜け出す一番の早道だと私は思います。 

経営者の皆さん。勝手知ったる仲間だけではなく、常に知らない人とのコミュニケーションを取るようにしましょう。固まった人間関係では、たちまち現状維持バイアスと成功体験の罠に陥り、自分が気づかないうちに衰退への道を突き進んでいるかもしれません。

 

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