危機感を共有することのむつかしさ | 日本コンサルティング推進機構

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危機感を共有することのむつかしさ

SPECIAL

環境戦略コンサルタント

合同会社オフィス西田

チーフコンサルタント 

環境戦略アドバイザー。数々の多国間環境条約や、国連が提唱する2030年のための持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)を参照しながら、サーキュラーエコノミーなど企業として取るべき環境戦略や、環境対策を通じた長期収益構造の改善などをアドバイスしている。

ここ数週間、手こずっている支援先があります。とある中堅企業さんなのですが、数年前に新規事業で欧米も驚くような大ホームランをかっとばした実績のある企業です。地道な技術開発もそうですが、世間が舌を巻いたのは、まだそれほど注目されていなかったころからオープンイノベーションへの積極的な取り組みを続け、ついには大企業をも動かして自らのビジョンを実現させたことで、当時は大きな話題になりました。

それはさぞかし会社全体にも大きな影響を与えたに違いない、実際に支援業務をスタートさせるまで、私もそんな風に考えていました。しかし、実態は大きく異なっていたのです。

まず、事業構造と人員構成が以前のままだということ。先代から続けてきた伝統事業が今でも売り上げの大半を占め、社員の多くは伝統事業に従事しています。新規事業もそれなりの数字を上げてはいるものの、財務的にはまだまだ伝統事業に依存する比率が高いのです。

そうなると、長年にわたって企業文化を支配してきた伝統事業は強いわけです。「ウチは○○屋だ!」という認識が、ほぼほぼ昭和のころのまま、なのですが、その中にあって新規事業といえども同じ企業文化の頸木は免れない、という状態が現出されます。

新規事業の成功要因を客観視して、伝統事業についても改めるべきは改めなければならない場面ですが、それを自らなしとげた会社とは思えないほど、オープンイノベーションに対する社員たちの反応が鈍いのです。

新規事業の成功も、伝統事業が培った基礎や人財があったからこそである、他社の力は少しだけ借りたかもしれないが、それは大した成功要因とは言えない、そんな雰囲気が充満しています。

私はよく、「人は自ら見たいと思うモノしか見ない」と言われます。成功体験は、あっという間に自己肯定感を増幅させます。自己肯定感を持つことが、悪くすると危機感を共有するための大きな障壁となるのです。「成功しても変われない会社」は、いつまでたっても会談を上がれない会社とほぼ同義です。

「成功体験を客観視する」大きな会社でさえも難しい課題です。でも経営者たるもの、このハードルを越えられないようでは、先々がおぼつかないということを、今日は敢えて強く申し上げたいと思います。

 

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