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上場したつもりになって(1)

SPECIAL

環境戦略コンサルタント

合同会社オフィス西田

チーフコンサルタント 

環境戦略アドバイザー。数々の多国間環境条約や、国連が提唱する2030年のための持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)を参照しながら、サーキュラーエコノミーなど企業として取るべき環境戦略や、環境対策を通じた長期収益構造の改善などをアドバイスしている。

いつに変わらず世の中では、多くの企業経営者が株式の上場を会社の成長を成功させたことの証と考えています。「いつかはわが社も」との熱意を胸に秘める若手経営者も少なくありません。ベンチャー企業で新興市場に上場しているところもあれば、大企業でも非上場の会社は珍しくありませんので、必ずしも上場することだけがゴールではないものの、やはり「株式上場」は経営者にとって心動かされるテーマです。

実際に上場するには、相応の準備と時間が必要となるため、一朝一夕に現実化する話ではありません。ただ、本気で「上場するぞ!」と決断してからの日々が忙しいだけで過ぎて行ってしまうと、上場そのものがゴールとなってしまい、悪くすると肝心要の上場後が上手く進まない、というようなことにもなりかねません。

たとえ上場が少し先の未来であったとしても、自社の株式が公開されている、というようなメンタルトレーニングをしておくことで自身のステップアップに心の準備をしておくことができます。メンタルトレーニングと言っても、ほんのちょっと視点を変えるだけで、日常的な経営の仕事と大きく変わるものではありません。財務的な側面からその視点を見てみましょう。

俗に、リスク・リターン・インパクトと言われますが、事業経営を通じて社会に提供できる3つの価値を、本稿では以下のように数値化してお伝えします。

  • 将来価値へのコミットメントによるリスクの最小化
  • 投資回収へのコミットメントによるリターンの追求
  • 非財務価値の提供によるインパクトの提供

 

今回は、将来価値へのコミットメントによるリスクの最小化を考えます。採用される指標はPrice Book-value Ratio (PBR)です。簿価(Book-value)に対して株価がどの水準にあるか、という数字ですが、この指標が1を割るということは本来「存在価値がない」「簿価以外(≒人)が得られるべき価値を毀損している」ということと同じであると言われています。予想される年収から導き出せる理論株価と実質簿価(時価)を比較して、「未来に向かって伸びてゆく」=1以上のPBRを実現できるだけの売り上げをキープすること、がそのためのハードルになります。

残念ながら日本の上場企業には、PBRが1を下回る会社もたくさん存在しています。そういう会社は、収益率は低くても確実な営業対応や長年の信頼で得た簿外価値の提供など、既存企業ならではの価値を市場に提供することで生き残っていたりするわけですが、今から上場を考える会社にとってそれが理想の姿である、ということはないはずです。しっかりと純資産以上の価値を社会に提供できる水準の仕組みを作り上げて社会に貢献することを目指してください。着実な経営で未来を開き、リスクの最小化に取り組む会社を当社は全力で応援します。

次回はリターンの追求とインパクトの提供について解説します。

 

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