上場したつもりになって(2) リターンとインパクトをどう考えるか | 日本コンサルティング推進機構

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上場したつもりになって(2) リターンとインパクトをどう考えるか

SPECIAL

環境戦略コンサルタント

合同会社オフィス西田

チーフコンサルタント 

環境戦略アドバイザー。数々の多国間環境条約や、国連が提唱する2030年のための持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)を参照しながら、サーキュラーエコノミーなど企業として取るべき環境戦略や、環境対策を通じた長期収益構造の改善などをアドバイスしている。

前回は、株価と簿価の関係において、将来評価である株価が簿価を上回る、つまり企業としての存在価値を市場から認めてもらえる経営を志向すべき、というお話をしました。いわば攻守の守についてのお話でしたが、今日はリターンとインパクトという視点から、攻守の攻についてお話ししたいと思います。まずはリターンについて。

企業はその発展段階において、急成長する時期もあればなかなか殻を破れない時期もあるので、一言でリターンといっても簡単ではないのですが、多くの経営者が「リターンの最大化」を希求しているのは事実です。他方でマクロ的にいえば日本の国内市場は人口減少や高齢化に加え、近年多発する災害の影響などもあって、長期的には縮小する傾向にあることも事実だろうと思います。

それを端的に表しているのが、ここしばらく低い数字のまま貼りついてしまった感もある貸出金利です。この時代、おカネを借りようと思えば歴史的に安い金利で調達することが可能になってきています。

得た資金により展開できる事業が収益を約束してくれる場合は問題ないのですが、長期的には縮小する市場にあって、その見通しが果たしていつまで続くものなのか。ここで提案したいのが「サステナブル成長率」という考え方です。これは、端的に言ってしまえば新規投資を内部留保の範囲内で考えてゆく、というもので、新規投資による成長率=内部留保率×資本利益率を基準として考えようというものです。

一言でいえば、借金を当てにせずに考えられる成長率、ということなのですが、上場前の急成長期に金融機関の力を当てにして規模の拡大を行うフェーズを経て、ある程度の基盤を作り上げたあとは「堅い経営」に焦点を当てるという方向転換を意味します。上場して資金繰り面の展開可能性が一気に開けると、つい「ここでもっと」と考えてしまうのが人情だろうと思います。でも、より大きな投資の回収にはより長い時間がかかります。上場したあとで時間的により大きなリスクを取ることを、マーケットはどう評価するのか?

攻めは攻めでも堅い攻め、地に足の着いた財務戦略を取ることで、まずは市場の信頼を手に入れることを考えましょう。そのうえで、再度積極策を取れる時期をさぐるべきです。そしてそのために有効なのが「インパクト」という視点です。

インパクトとは、事業を通じて市場に対して目に見える影響を及ぼすことを意味します。特に最近はCO2削減が言われていますが、企業によってはジェンダー問題への対応だったり、感染症対策だったりするかもしれません。

本業を通じてこうした社会課題の解決を志向する企業の動きは、市場からも必ず高い評価を得られるようになります。特に環境面のインパクトを企業評価にどう取り入れてゆくか、という視点については現在進行形で制度見直しが行われつつあるのです。

先週からお伝えしていることをまとめると、上場したあとの自社をイメージするために攻守の守ではPBRを意識したハードルの高いベースラインの設定、攻守の攻では堅い攻めと機を見て動くインパクトへの意識を持つこと。メンタルトレーニング的にこのような視点を養っておくことで、成長軌道はより確かなものになります。高みを目指す経営者を、当社は全力で応援します。

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