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学習性無力感

SPECIAL

社内独立店開コンサルタント

株式会社ストアブレインコンサルティング

代表取締役 

経営コンサルタント。アパレル、小売、飲食チェーン指導などに強みを持ち、店長再生から店舗最盛へとつなげていく独自の「社内独立店開」手法を指導する専門家。
自らは店舗を持たない「販売・運営」に特化した経営スタイルに、多くの異業種経営者、店長が注目。路面店から百貨店、都心型SC、郊外型ショッピングモール…など、多様なチャネルで成果を上げ、店舗の強みを引き出す天才と称されている。

社長の大半が「話好き」なことは今さら言うまでもないと思います。とにかく自分の言いたいことや関心のあることを、のべつ幕なしにしゃべり倒す人が私の体感で9割以上です。

だからといって、社長が話すこと自体が悪いことではありません。社長には自身の、あるいは会社のビジョンやミッション、置かれた状況などを社員や利害関係者に伝えるという大切な役割があります。この点、積極的な情報開示のために社長が話すことはむしろ「いいこと」とも言えるでしょう。

ただし、です。何事もバランスが大事です。直感的な判断で猪突猛進に突き進むタイプの社長は、話すことも一方的で相手の話をまったく聞いていないことが多々あります。特に自社の社員の話は聞いていないどころか、真っ向から否定することも多いのではないでしょうか。

確かにそれぐらいの熱い想いや勢い、強引さがなければ事業を成功、さらには成長させ、継続していくことは難しいでしょう。しかしその社長からの「一方通行」が会社の首を絞めるのも事実です。周りからすれば、「この人には何を言っても変わらない」状況が何回も続けば、どんなにマズいことがあっても何も言わないし、言いたくもなくなります。殺伐とした社内環境の中、無気力な社員がただ作業を繰り返し、辞める気力すら失くしている…という怖い状況になってしまう恐れもあります。

「学習性無力感」という言葉をご存知でしょうか。1967年、アメリカの心理学者マーチン・セリグマンらによって行われた一つの実験から導き出され、名付けられた言葉です。実験の詳細は省きますが、不快な刺激(電気ショック)を止めることができない状況に置かれたイヌは「自分の力ではどうすることもできない」と考えるようになります。そこから意欲を失い、最終的には無気力になり、電気ショックを回避することをあきらめてしまいます。この無気力を学習してしまった状態を「学習性無力感」と呼びます。

上記の実験は人に対しても行われており(さすがに電気ショックではありませんが)、同様の結果となっています。つまり、人でも動物でも自分でコントロールできない状況になった場合、意欲を無くし何も言わなくなり、結果、その状況を回避するような行動をする気力もなくなり、現状に甘んじる(あきらめる)状態になってしまうのです。要は「やってもムダ」という心理状態ですね。

「学習性無力感」は肉体的、精神的にもダメージを与えると言います。実験的には、免疫の低下、腫瘍の出現や悪化、うつなどの影響が表れているとのこと。当然「学習性無力感」だけが疾患の原因ではないと思われますが、自分でコントロールできない状態が続くと、誰であっても心身の不調を招く一因となり得るのは私の経験上でも感じられるところです。

さて、社長の皆さんいかがでしょうか。人の話、聞いていますか? もしあまり聞いていないな…と言う方は、まずは社員の方々の話を聞いてあげて下さい。学習性無力感という言葉を出さずとも、話を聞くだけで社員の満足度は間違いなく向上します。ご自身の話を最初は2割抑えて、その分社員の話を聞く時間にしましょう。今よりもさらに会社の状態をよくする第一歩になります。

 

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