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新しい事業のはじめ方

SPECIAL

商品リニューアルコンサルタント

りぼんコンサルティング

代表 

商品リニューアルに特化した専門コンサルタント。「商品リニューアルこそ、中小企業にとって真の経営戦略である」という信念のもと、商品の「蘇らせ」「再活性化」「新展開」…など、事業戦略にまで高める独自の手法に、多くの経営者から注目を集める第一人者。常にマーケティング目線によって描きだされるリニューアル戦略は、ユニークかつ唯一無二の価値を提供することで定評。1969 年生まれ、日本大学芸術学部文芸学科卒。

「コザキ先生、今、ちょっと頭抱えています。実は自社の方向性がわからなくなってしまって・・・」というのは、関東近郊の印刷産業関連会社のF社長です。数年の前にセミナーに参加してくださったのち、先日スポットでご連絡をいただきました。

F社長の言葉は続きます。「“景気回復”の文字が踊りはじめていますが、ご承知のようにウチの業界は淘汰の一途です。同業他社では本業の他に“パン屋”のフランチェイズ契約をしたり、事業転換するところも増えてきて。それはそれでいいのですが・・・」と。

F社長がザワザワしてしまったのは、従業員の発言がきっかけです。パン屋をはじめた他社の様子を見聞きした社員に対して、「うちもやるか、パン屋! 」と冗談のつもりで言ったところ、社員の多くが真面目に受け止め、「会社で腐っているよりも、パンを焼いたほうがいい」と。F社長にとっては、思いもよらない展開だったそうです。「まったく自社ビジネスと共通項が見出せないし、自社の進む方向が曇ってしまって・・・」ということです。

このコラムで「新型コロナウィルス」という言葉を出したのが、2020年2月18日の第158話です。コロナ禍の記事は本日で72回目です。この一年半でお伝えし続けていることは一貫しています。疫病前であろうと、疫病後であろうと、自社のポジションをどう取るか。どう創っていくか、ということに尽きます。自社の「存在意義」を問うています。

高度経済成長のルールでは、大きく儲けるためには「大量生産」で「安い」商品をたくさんつくることです。価値観は「だれからも嫌われない」「はみ出していない」「出る杭にならない」「みんなと同じ」であることが、たくさん売れるための暗黙の了解でした。

ですから前職の大手洋菓子メーカーでは300店舗以上をチェックして「お店(店長)が勝手なことをするのを許してはいけない。どこに行ってもブランドイメージ、クオリティを保つことを徹底する」ことを教えられました。お店の「個性」はいらない。ブランドイメージを保ちつづけ、「たくさんの人、大衆に嫌われてはいけない」と指導されました。

しかし一転して、コロナ禍。ビジネスが困る状況になってはじめて時代が変わっていたことに気づかされました。みんなと「いっしょ」「同調」していく価値観は廃れました。「商品やサービス」において、お客様は「自由」を求めました。「いろいろ」「それぞれ」「わたしだけの」「イッテンもの」を楽しみたいという価値観が深まりました。

2020年の疫病が、それまでの高度経済成長時代の「ルール」を踏み越えました。そして、生活者が地球に住めなくなる危機感を「自分ごと」と感じたのが、この一年半です。「巣ごもり」時間によって、生活者自身が「知らないことを検索する」時間を得たのです。

冒頭の質問に戻ります。大きく稼ぎたい、大きく儲けたい。ゆえに食パンブームに乗っかって新事業展開する。大きく稼ぎ繁栄すること。それなくして従業員、家族、仲間を守ることはできません。しかし、御社がその新しい事業をやったとして、お客様がそれを「欲しいと思うか」。この逆算がぜったいに必要不可欠です。

お客様の目で考える。これは商売の大原則です。「お客様がぜったいに欲しくなる世界でたったひとつ、唯一無二の食パンを提供する」ということであれば、ユニークではありませんか。おもしろい挑戦だと考えています。唯一無二の食パンを体験を経験したいものです!

敢えて書きます。「バカ」で「どアホウ」なネーミング、狂気をはらんだコンセプトが注目されています。身近なところでは「マリトッツォ」。一年前から注目を集めていたイタリアのスイーツパンです。今、ようやくセブンイレブンの棚にも新商品として並びはじめました。

マリトッツォは見た目は生クリームいっぱいすぎのバーガーです。パン生地に生クリームを挟んでいます。そもそもはイタリア・ローマの名物菓子で、朝食としてカプチーノと一緒に食べるそうです。

マリトッツォの特長であり人気の秘密はバカみたいにつまった「生クリーム」です。パン生地でサンドされている生クリームは「あふれんばかりのたっぷり感」。これでもかというほどの「クリームの異常なボリューム感」です。今までのスイーツの常識で考えれば、バカじゃないか、という量です。パン生地と生クリームという昔からある材料でリニューアルした懐かしくて新しい、罪悪感だらけの“スイーツパン”です。

バカみたいな、狂おしいほどの、どアホウで、悪魔・呪術的、・・・かつてはネガだった言葉たちが、いまや褒め言葉になっています。個性、自分主義、多様性、こうした言葉も、すでにポジティブワードに反転しています。

コロナ禍を経て、お客様の価値観の方が、企業の世界観よりスピーディに変わっています。お客様は本来自由だからです。企業体が自社の都合でしがみつく「体面」「プライド」「歴史」「同調」とは無縁の世界で生きているからです。

自社都合のビジネスならやめた方がいい。理由はお客様が求めていないからです。お客様に向き合って向き合って向き合う。むずかしいことではありません。今すぐにできることです。まずは自社の社員に向き合うことです。ご自身の家族に向き合うことでもあります。そして、ご自身に向き合うことなのです。社長ご自身も、ひとりの地球人であり、生活者であり、お客様なのですから。

時代がどんな時代であっても、有史以来わたしたち人間はそんなに変わってはいません。新しい時代の気分をまといながら、都度気分が変わり、行動が変わる。その繰り返しです。

あなたの新しいビジネスは、お客様、今を生きる生活者をどこまで想像していますか?  その食パンはお客様に新しい喜びを提供することができますか?  その買い物はお客様を幸せにしますか? そのお店でネットショップで、お客様がうれしくなりますか? YESと即答できないのであれば、それはなぜ? 自社の存在する意味は何なのか? 意味があるのか無いのか。それが言えるようになるまで、社長ご自身が自分に問い続けることが必要です。負けないで進んでいきましょう。

 

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