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社員を正す方法。不動産業H社:期限を切る癖を社員に付けさせたい。

SPECIAL

年商10億事業構築コンサルタント

株式会社ワイズサービス・コンサルティング

代表取締役 

指導暦18年、これまでに200社以上の実務コンサルティング実績を持つ経営コンサルタント。「10億円事業構築」に強みを持ち、直近5年では、導入後数年で年商数億が10億越えをした企業は20社以上と驚くべき成果を出している。

不動産業H社は、県内すべての地域に店舗を出すべき急いでいました。
来月は、2店舗のオープンを予定しています。

矢田は、いまの課題は何かを訊きました。
H社長は、「やりたいことは沢山あるのに、なかなか進まない。」と答えます。

その進まない状況を確認すると、一番の原因が解りました。
「期限を切らない」、そのために、すべてがずるずると遅れていたのです。

そして、H社長は、訊きました。
「どうやったら、社員に期限の癖付けができるのでしょうか?」

矢田は、お答えします。
「それは、無理ですね。」
間を置き、繰り返します。
「社員に期限を癖付けするのは無理なのです。」


人間の脳には癖があります。その癖を、理解することが必要です。
そして、その癖に対して仕掛けを施していきます。これを仕組みと言います。
その仕組みによって、こちらの意図した通りに、人を動かしていきます。

例えとして解りやすいものに、「色」があります。
人は、赤色を目にすると気分が上がるような「癖」があります。そして、青色を目にすると気分が落ち着きます。

この色の効果を、商品のパッケージ、店舗の看板、チラシ、そして、従業員のユニフォームに活用します。それは、こちらの意図した通りに、繰り返し、目にする人に効果を発揮してくれます。

給与制度も、人間の脳の癖を利用したものとなります。
成果報酬の割合を高くすれば、次の効果を得ることができます。「自分で勉強しよう」、「頑張ろう(怠けられない)」、そして、「他の人にノウハウを提供するのは控えめにしよう」となります。

当然、その効果には、個人差があります。また、地域や国によっても違います。
しかし、それ以上に、人間には、多くの共通点があります。まずは、その「共通点」をしっかり理解し、仕組みを施したいところです。

社長は、もっぱら「心理学者」となる必要があります。
顧客や社員の心をどのように動かしたいのか、その意図を設計します。そして、仕組みを作ります。その仕組みの改良を続けます。

そして、大きく展開することで大儲けをすることができます。また、社内においては、組織をつくり、より早い成長を実現することができます。人間の集合体である組織も、社長の施す仕掛けによりつくられるのです。


世の社長の中にも、この人間の持つ「癖」を理解することの得手不得手な人が存在します。
ある社長は、それをマーケティングや社内制度に活かし、どんどん自分の望む結果を得ています。その一方で、ある社長は、望みとは逆のことばかりを招いています。会社への不信感や社員のモチベーションダウンに見舞われています。人間の「癖」を理解するためには、共感力と想像力が必要になります。

また、「癖」に対しての仕組化にも、得手不得手があります。
人の感性を右脳で掴み、それを、ロジックな左脳で仕組化をすることになります。感性とロジックを繋ぐ力が必要になります。

いずれにせよ、すべての社長は、これらを身に付ける必要があります。
「社員の気持ちが解らない」と嘆いても仕方がありません。想像するしかないのです。「どこから手を付ければ良いか解らない」のであれば、「勉強するだけ」となります。

H社長は、「癖の理解」も「仕組化」も、両方を不得手とする経営者でした。
過去に組織で働いたことが無いために、「勤め人」という人達の思考が解らないのです。そして、どこか普通の人と違うところがあります。人の心に対する共感力が少し足りない面もあります。

これは、創業者に多い傾向と言えます。「人と違うことを楽しいと思う」、「組織にそぐわない」、だから、こうして自分で事業を行っているのです。

コンサルティング開始時、H社は、2店舗で社員数10名の規模でした。
H社長は、自社の事業モデルに手ごたえを感じていました。しかし、仕組化の進め方が解らずにいました。H社長は、多くの業務を社員に振れず、その多くを自分で抱える状態だったのです。そして、「社員を採用し、覚えた頃に退職」を繰り返しているのです。完全に疲れ切っていました。

この一年、一生懸命に取り組みました。その甲斐もあって、H社長は、事業を飛躍する道を、明確に描けるようになっていました。そして、来月の5店舗目の出店に繋げました。

しかし、それと同時に、自分の「不得手」も見えてきました。社員への仕事の振り方や、社員の巻き込み方が解らないのです。そして、それを管理できていません。

マニュアルづくりを依頼しても、進みません。「あれどうなった?」と訊いて、「すみません」の返事が返ってきます。すべてがその調子です。やりたいことが沢山あっても、進まないのです。

私は、「期限を切る」ことの重要性をお伝えしていました。
「期限を切る」ことで、初めて人間の脳は動くようにできています。「いつでも良いよ。できたら、知らせてね」では、脳は全く起動しません。
「15日の昼一番に打ち合わせをしましょう。」と依頼をすると、脳は起動します。そして、自分の行動を想像します。
その結果、「急ぎの仕事があるので、14日でもいいですか?」、「書面1枚でもいいですか?」と返ってくることになります。
「明確な期限」が「行動の想像」を呼び起こすのです。

それをH社長は、やるようになっていました。社員に指示をする時には、「〇日の〇時まで」と加えています。これにより、ずいぶんその指示は遂行されるようになったのです。

しかし、H社長が、それを忘れるとたちまち元に戻ってしまいます。期限を伝えない時に、社員が自ら期限を切ってくることもありません。

また、2名の管理者は、「期限を切って部下に指示すること」を全くしていないことが解りました。
これでは、すべての取組みが遅いことは当然の結果なのです。ここ最近の「抱えている案件は多いものの、それほど売上げが増えていない」要因もここにあったのです。

そこで、H社長は、矢田に相談をしました。
「どうやったら、社員に期限を癖付けできるのでしょうか?」

私は、「できない」と答えます。
「社員に期限を癖付けすることは、一生無理なのです。」
この答えに、H社長は驚いていました。

私は、言葉を続けます。
「社員をどうこうしようと考えてはいけません。ここでも、仕組みを考えるのです。」

忘れる、怠ける、間違える、のが人間です。
それに対するのは、「意識づけ」ではありません。「意識していないけど、そのようにさせる」という仕組みなのです。

  • 期限一つについても、社内の至る所に施すことになります。
  • 月例会議の資料には、期限を書く欄を設けます。
    そして、その次第に「司会者は、必ず期限を確認すること」と書いておきます。
  • 案件管理表の、「次の行動の予定日」の欄を設けます。入力が無いと、システムが進まないようにしたり、営業事務のスタッフから警告が出たりするようにします。
  • 業務基準書の中に、「上司からの指示に対して、自ら期限を切ること。」と入れます。
  • そして、新入社員に対し先輩社員が、それを説明します。その時間を訓練プログラムに組み込みます。
  • 「期限を切っているか」を人事評価表の一項目にいれます。そして、自己評価と上司評価をさせます。

このように、忘れることができないようにするのです。習慣付けるようにします。そして、組織全体の文化になるように、それを至る所に巡らせます。

間違っても、自分の直接的な行動でどうこうしようと考えてはいけません。
口で言う。身に付くまで粘り強く。
それこそが、愚の骨頂です。望むその日は、永遠に来ることはありません。

それを社長が言わなくなった瞬間に元の状態に戻ることになります。再び「期限を切らない」ために、すべてが遅い会社になります。世の中の多くの「遅い会社」と一緒になります。

人に対しては、仕組みなのです。
そして、組織全体を整えていきます。
その会社に入った社員は、全員がその通りになっていくのです。

社長が、これを体得した時に、会社は次のステージに進むことになります。
心理学者 兼 仕組みづくりのプロになってください。

 

 

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