オンラインで優れたコンサルティングを活用する!

課題感欠如社長の言う「DX?何をしたら良いのか解らない」

鈴木純二
SPECIAL

顧客接点強化による成長型IT導入コンサルタント

ベルケンシステムズ株式会社

代表取締役 

顧客接点の強化を軸に、業績に直結するIT導入を指導するスペシャリスト。世に無駄なIT投資が横行するのと一線を画し、顧客の利便性向上、新規取引先、深耕開拓、利用促進…などを主眼に置いた、実益のIT活用と投資戦略を、各会社ごとに組み立てることで定評。

鈴木純二

最近本気で頭に血が上ったことがありました。それはいつものように小規模企業の社長からのお問い合わせに答えていた時のことです。それはこんなやりとりから始まりました。

社長:今日はDX化について色々お教え頂きたいと思っています

私:最近そのようなご相談が多いんですよ。どのようなお話からしましょうか?

社長:何からはじめれば良いのか解らないので、そのあたりから…。

私:わかりました。では、御社の商品やサービスと営業体制、それに社内業務に関する強み弱みなど、雑ぱくで良いのでご説明頂けますか?

社長:まず・・・(説明が延々と続く)・・・(続いて現場視察)・・・

私:だいたい把握できました。では、社長は今説明頂いた状況をどのように変革したいのですか?DX等関係無くで構いませんので、ありたい姿や夢をお話頂けますか?

社長:(無言)それがわからなくて・・・

私:DX化へのアプローチはいくつかありますが、代表的には「ありたい姿を実現するDX」、そしてもう一つが「今まで全く不可能だと思っていたことを実現するDX」です。これらが描けない場合は、DX人材を投入したり社員にデジタル教育を施すなどして、改革ネタを探してゆくアプローチになりますが、その場合小規模企業には荷が重い。なので、ありたい姿や不可能を可能にすることを優先するべきなんです。いかがでしょうか?なかなか説明できないことを明確化するお手伝いはしますので、何かヒントをください。

社長:(無言)難しいですね。実態はご説明した通りでして。。。

いつもは比較的気が長い私ですが、このような話の場合は結構簡単に頭に血が上ります。社長なのですから、現状をどう変革させたいのか?どのようなことが壁になっているのか?多少なりとも話ができるべきですね。なのに、この社長からは何も意見らしいことが出てこない。経営課題を言ってください、とお願いしても「ご覧になった通りで・・・」という言葉しか出てこなかったのです。社長からの説明や現場視察の結果、この会社の状況は、大手からの2次請け仕事のみで今までやってきたこと、に尽きるので、少しでも1次請けできるように、保有する技術力を磨き上げることと、お客さまとの密なコミュニケーションの実現だと私は考えていました。しかし、社長からは意見や希望が全く出てこない。これでは従業員も夢が持てずに気の毒です。

なぜ、この社長はこのような思考停止状態に陥っているのでしょうか?この社長はDX化以前に、もはや経営を諦めてしまっているとしか思えません。ただ、社長の立場に立ってみると、長年2次請け仕事だけしかやってこなかったので夢も希望もしぼんでいるのかもしれません。いえ、私がそのような立場に10年も置かれたら、同じ様な思考停止に陥ることだってあり得るのだとも思います。

そこで、少し進め方を変えて、社長に「では、社員の夢を聞きましょう。社員の方でいつも文句を言っている人はいませんか?そのような社員が複数いるのであれば、その人達を集めて経営改革検討をしてみましょう。社外のコンサルに丸投げするのは、それでもダメだったときのことにしましょう。」と提案しました。現場を拝見した際、社員の方々の礼儀正しさやコミュニケーションをとろうとする姿勢を垣間見ることができたので、そこに期待が持てると判断したからです。

こうやって急遽集められた2名の社員に話しを聞いてみると、おそるおそる色々としゃべりはじめました。「当社の金属加工技術はNCやロボットには難しい微細で微妙な加工を実現している。製品が製品(少し特殊な形状をしている)なのでこれはなかなか他社にはできないはず。」とか「(一次請けの)お客さまからはコストダウン交渉は来るが、当社の技術に完全依存しているので他社に乗り換えることはできないはず」といった実に頼もしい話が出てきました。いいじゃないですか!これを突破口として改革案をデジタル化も含めて検討していけば、DXプランになりますよね。

社長は一人でなんとかしようとしていた、一人で悩んでいた、でも自分一人では何もアイディアが浮かばなかった。ということなのかもしれません。しかし、この社長には二人だけですが幸いにも課題意識をきちんと持った社員がいたのです。この社員達を突破口として会社を改革し、2次請け脱却を進めていく。その為にツールとしてデジタルを使える部分で無理無く使ってゆく、という構想図の最初の線が引けたわけです。

DX化も企業改革も何も社長一人で考えることはありません。むしろ社長が閉じこもっていては何も進まないものです。かつ、スーパー社長でも無い限り、一人では経営改革断行はできません。頭の中で考えて何も浮かばないからと言ってそのまま放置するのでは社員も気の毒です。

今回の打ち合わせでは前半で少し血圧が上がる思いをしましたが、経営改革チームを作ることで進めそうだ、という明るい兆しが見えたので社長も心なしか安堵した様子でした。

皆さんもこのように悩んでしまっている(or 思考停止してしまっている)社長・経営者の一人ではありませんか?失礼な言い方をしてしまいご容赦頂きたいですが、課題感を持っている社員を発見し巻き込むことが一つの突破口になり得ることをご理解頂き、是非1つアクションをとって頂ければと思います。その時に検討進度が遅かったり壁にぶつかったりしたら、当社に是非ご相談ください。

 

コラムの更新をお知らせします!

コラムはいかがでしたか? 下記よりメールアドレスをご登録いただくと、更新時にご案内をお届けします(解除は随時可能です)。ぜひ、ご登録ください。