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20年目の「収穫」

SPECIAL

住宅・工務店コンサルタント

株式会社 家づくりの玉手箱

代表取締役 

住宅・工務店コンサルタント 。規格住宅を高付加価値化させ、選ばれる工務店となる独自の展開手法「シンボルハウス戦略」を指導する第一人者。
営業マンとして自分が欲しいと思わない住まいをお客様にお勧めする仕事に疑問を持ち、ある工務店でどうしても家を建てたくて転職、鹿児島へ 。15年間で173棟の住まいづくりをすまい手目線で担当。そこから編み出された、選ばれる工務店となる具体戦略を、悩める中小住宅会社ごとに実務指導中。

あこがれの「実のなる木」

 

自宅を新築をされて、庭木の話題でお施主様と盛り上がるときに「実のなる木」が登場している事がよくありました。収穫までの大変さを知らない人ほど「実のなる木」へのあこがれは膨れていくのです。

多くの住まい手は、庭のある家が初めてであったりします。鹿児島では、子供の頃育ったご実家に畑があったという方も多くいらっしゃいましたが、獲れたものを食べるのが専門で育て方に関しては「受け継いでいない」方が多いものです。

また、子供の頃に実家で採れる作物はその物量が「豊富」すぎて「食べすぎて嫌いになってしまいました(笑)」みたいな声も多く耳にしてきました。都会育ちの人にはうらやましい限りですが「農家あるある」といった話です。そういう農家育ちの人たちも、実家を離れてから「収穫」のありがたさを実感するようです。

今年、庭に植えていたキウイフルーツの花が4月末に突然咲きました。実は、これまで20年住んでいて花が咲いたのは初めてのことです。日当たりのいい土のスペースがほとんどない自宅では「実のなる木」はあきらめざるを得ませんでした。

入居後に「ダメ元」で植えてみたのがキウイフルーツでした。つる性で上へ上へ伸びていくので、ひょっとしたら日当たりのいい2階のデッキで実ができるのではと考えたのです。いま花が咲いているのは2階のデッキスペースで、ここまではイメージしていたようになりました。キウイフルーツは雄株と雌株の両方がないと果実が育ちません。もちろん両方の株を植えていましたが、雄株はとっくに枯れてありません。雌株だけがつるをの伸ばして2階までたどり着いたのです。

なぜ、今頃になって急に花がたくさん咲いたのか?「青天の霹靂」であった訳ですが、せっかく咲いた花です。ワンチャンスかもしれません。なんとか実を育てたくなりましたが、雄花がありません。「花粉さえあれば」と思いネットで検索してみると、なんとあるではないですか。

花は咲き始めていますが、まだ蕾もたくさんあります。間に合うかもしれないと早速ポチッと注文しました。もう、実がなって食べているイメージで待っていましたが、自宅への到着に5日かかってしまいました。蕾は全部開いていてかろうじて20個ほど花が開いていました。

花粉が到着したらすぐに綿棒で人工授粉を行いました。どうも授粉できる期間は雌花が開花して3日以内だそうです。それ以降は受精能力を失うので、受粉しても実にならないそうです。受粉後雨が降ってもアウトだそうです。花粉が到着した時には、開花が遅かった花でも開花後3日ギリギリでした。

 

↑20年目にして初めてたくさんの花が咲きました

 

↑人工授粉作業中(耳そうじ後のようですが花粉です)

 

 

おとなの「自由研究」

 

半分あきらめてはいましたが、受粉後「子房」と言われる花の真ん中の部分がすぐに膨らんできました。花粉は袋に残っていましたし、冷凍庫にいれておいて来年また使おうと思っていましたが、思ったよりも最初のリアクションがはっきりしていて希望が出てきました。

収穫時期は10〜11月ということなので、長い道のりです。しかし、変化が目に見えるとついついバルコニーに出て行く機会が増えます。さながら、おとなの「自由研究」です。受粉後1ヶ月ほどはどんどん大きくなっていき目が離せない感じでした。また、初夏の陽射しをやわらげるキウイフルーツの葉陰がここちよく、椅子を持ち出し見上げていました。

キウイにはビタミンCをはじめ、栄養素がぎっしり。食物繊維やカリウムなども含んでいるそうです。生のまま食べられるから、加熱に弱い栄養素や調理で失われやすい栄養素もまるごととることができます。「農薬なしでも果実が収穫できる」という記事も多く、自宅で栽培するには魅力的な果物です。

 

 

↑受粉後5日後の様子(早速膨らんできました!)

 

↑受粉後11日後の様子(早くも果実の雰囲気です)

 

↑受粉後25日後の様子(14個ほど果実が育っています)

 

↑受粉後32日後の様子(キウイフルーツらしくなってきました)

 

↑キウイフルーツ10種の重要な栄養素(Zespriホームページより)

 

 

 

「失敗」をリベンジするか

 

受粉後50日後に「異変」が始まりました。それまで順調に成長していた実が、ポトリ、ポトリと落果し始めたのです。「取らぬ狸の皮算用」もそれまでとなりました。最初は「ダメ元」でしたが、もうすっかり熟して食べられるものと確信していましたのでショックでした。

「ダメ元」の家庭栽培でもこれですから、最近の不順な天候で作物をやられた際の農家さんの気持ちは察するに余りあります。やはり、授粉時期が遅かったのかもしれません。そういえば、花粉到着の頃には既に花がくたびれていたようにも思います。

調べてみると、雌花につく雄花の花粉の量が少ないと結実したキウイの実の中の種の数も少なく、果実も小さくなりやすいそうです。キウイフルーツの果実が正常に大きくなるためには、実の中に600粒~1,300粒の種が必要で、キウイの種が600粒以下ならば、せっかく結実しても落ちてしまうこともあるとのことです。自然受粉をした実と人工受粉の実では大きさが全然違ってくるのです。

その日はちょうど、待ちきれないのでスーパーでキウイフルーツを買ってきたところでした。落ちてきた実は買ってきたのよりはぜんぜん小さいながらも、それらしい形はしています。買ってきたのと一緒に切ってみました。ポトリと落ちてデッキに当たったからか、ボコボコで中も傷んでいました。それでも悔しいので、 ダメ元で食べてみました。

 

 

↑受粉後50日後(次々に落果してきました💦)

 

↑買ってきたのと比べると。。。

 

↑切ってみました(ボコボコになって傷んでいます)

 

↑悔しいので食べてみました(言うまでもなく酸っぱかったです)

 

 

 

突然花が咲いたキウイフルーツ。フルーツの実を育て実らせるにも「失敗」はつきもの。これからどうするか?が今後の「豊かさ」を変えていくのかもしれません。

 

 

 

 

 

 

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