第536号 複数店見れる店長が生まれたきっかけとなった店舗スタッフ達への工夫とは

「この会社は社員やスタッフ達にどんな接し方をしているのか」
「逆に会社はどう思われているか。」
「お店を利用しただけでわかるようになってました。」
社長のRさんがおっしゃいました。
特に驚かれていたのは、交渉先に強気の提案が出来るようになった事。
弊社ほど人の力に頼れる企業はありませんよと。
振り返ると今までは不要に遠慮していて、それがもったいなかったとのことでした。
店舗型のビジネスの経営者にお尋ねします。
「社員一人一人に、次なる解決してほしい課題はありますか。」
では更にお尋ねします。
「店舗スタッフ一人一人にまで、次なる解決してほしい課題はありますか。」
ここで返答に詰まってしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。
なぜなら、多くの場合それは店長任せです、というケースが多いからです。
店舗型のビジネスにあまり関係が無い方であれば「それの何が問題なのか?」と疑問に思われるところでしょうか。
しかし、これが問題なのです。
その理由は、各店長がそのスタッフ一人一人に対して課題提示をやってくれているか、自信を持てている企業は少ないから。
20年前。
私はまさに店舗型のビジネスにおいて、店長という役職で最前線で働いていました。
当時、どんな時代だったのか。
今とは違って、働きたい人はそこら中にいて人手に困っていなかったのではないかと言われるとそうではありませんでした。その時からすでに「どこも人手不足」という現象はそこかしこに現れていたのです。
それまで店舗型のビジネス各社は
「会社の言うことは絶対」
「嫌なら他を当たって下さい」
でした。
しかし当時はすでに違っていました。
いまだそんなスタンスを続けている会社は、スタッフのシフトが埋まらず、お店が回らなくなっていました。
ではどうやって回していたのかと言いますと、よく聞くのは
・店長や社員達による、欠けたスタッフ分のシフトフォロー
・過剰な残業
・サービス残業
・休日出勤
などです。
それから20年経過した、今。
人手不足はどうなったのかといいますと、私の感覚では「更に悪化」です。
はたして本来、スタッフ一人一人に対して課題を与える役目である店長が、もし
・シフトフォローの毎日に疲れていて
・ヘトヘトになるまで残業ばかり
・あまり残業しては会社から目をつけられてしまうからと、こっそりサービス残業をしたり
・お店が回らなくなると私の責任だ、何とかしなければとバレないように休日出勤したり
そんな状況下において、スタッフ一人一人に対して
「君は次はこれができるようになってね」
などと動いてくれているはずだ、と言えるでしょうか。
この問題は深刻です。
社長から
「各店長へ、今日からスタッフ一人一人にちゃんと課題を示すように」
と言っただけで解決できる問題ではありません。
一つ想定しておかなければならないのは、
長い間次なる課題を示されていなかった人に、急に課題を示し始めたらどうなるのか
です。
もし、各店舗のスタッフ達が、向上心がある人ばかりであるならば、その課題提示をはじめた企業はどんどん成長していけることでしょう。
彼らは新たに与えられた課題を何とか解決しようと能動的に動き、
「私は●●ができるようになりました」
「■■をやってみました。いかがでしょうか」
など、自己成長のサイクルをどんどん繰り返していけるからです。
気がついたら社内は優秀な人達だらけになっていた、ということもあり得ることです。
しかし、自社に向上心がある人が少なかったとしたら、いかがでしょうか。
これは実際にあった話です。
ある店舗だけ数字が悪い。
今度、新店をオープンするから、ここで店長達は一斉入れ替えだと計画し、実行に移しました。
その後、意外な店舗の数字が伸びることもあり、よしよしうまくいったかと思いきや問題も起きたのです。
それは、これまで人手不足とは無関係だった店舗の新任店長と社員達の残業が急激に増えたことでした。
やがて、ある社員から相談が寄せられました。
「もう辞めたいです」
何があったのか。
その原因こそ、長い間次なる課題を示されていなかったスタッフ達に、急に課題を示し始めたからだったのです。
前任の店長下では伸び伸びやれていたのに、
後任の店長からは、いきなり課題を押し付けられ始めた。
このギャップが崩壊の引き金となってしまったのです。
スタッフ達は最初は動いてくれていたものの、次第に不満が募っていき、やがて結託。
店長や社員達は猛反発を受け、正常なシフトを確立できなくなり、ついには店長がダウン。
社員達も過労を理由に会社を去ってしまうことになったのです。
店舗型のビジネスにおいて重要なこと
それは、
一人一人に次なるステップがあるか
これが無い企業は、崩れた売り場、感じの悪い接客、清潔感もなく、それが数年経っても改善されていくことができません。
一方、これがある企業は、日に日に洗練された売り場ができあがっていき、接客が苦手な人でも、数カ月で話しやすく、感じの良い人へと成長し、どうやったらこの清潔感が維持し続けられるのか、他社から注目される企業へと成長していきます。
先日、北関東にある地元小売企業では、初めて複数店店長が誕生しました。
それが冒頭でご紹介したR社長の会社なのですが、社長いわく
「スタッフひとりひとりに次なる課題が明確にあり、それが達成されていく仕組みができたからです」
とおっしゃっています。
一人一人にそれぞれ次なる課題がある。
「私はこれができるようになった。」
「次はこれに挑戦しよう。」
私はそんな企業が一社でも多く、そして早く、生まれていって欲しいと思っています。
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