その愚痴、社員に聞かれても大丈夫ですか?
「社員が指示したことをやってくれない」
社長から出てくる愚痴で、いちばんよく聞く愚痴のひとつです。
いきなりこのような言葉から入れば、だれでも、「社長の思ったように人が動くわけがない」「社員を信頼して任せなければいつまでもできるようにならない」といった反論がすぐに返ってくるでしょう。
確かにその通りです。しかし、現実にはどんな社長でも、自分の会社に帰れば、「頼んでいたことが終わっていない」「できなかった言い訳を聞かなければならない」など、どのようなレベルであるのかが異なるだけで、社員に任せたためにがっかりすることは少なくありません。その度にイライラしていたのでは、社長のからだが持ちません。
飲まないとやってられない!と、その気持ちをお店に持って行き仲間と飲むこともあるでしょう。しかし、解決しないまま飲みに行っても、酔っ払って一時的に忘れるだけ。
そんなことはわかっていても、ビールがおいしい季節になってきましたので、社長なのか社員なのかの区別なく、飲んで盛り上がる機会があれば、やっぱり会社の中でグズグズ考えているよりは、一旦リセットして改めて考えることも時には必要です。
話はお花見の時期に遡ります。新入社員を迎える時期でもあります。
はじめはやる気に満ちた新入社員、何かをやってくれそうで期待してしまいます。
しかし、数か月後には、
「最近の若い人たちは初任給たくさん持って行くくせにそれだけの仕事をしているのか?」と新入社員の愚痴を言い、「自分たちは就職氷河期で何とかは入れた会社で、給与も少ないのにサービス残業もさせられていたのに、若い人たちが入って、やっと次は自分たちが上に立ち活躍する番だと思いきや、やめられては困ると若い人たちの顔色をうかがい定時で退社させ、有給休暇を与え、できないところは自分がフォローして残業・・・。
就職氷河期を過ごした社長です。そんな状況に、社長自身が不満を抱えているのです。
ここまでの内容はすべて、ある工場の社長から私が聞いた愚痴です。
コンサルタントとして活動していると、当然、こうした愚痴を聞くこともあります。中には、夫婦喧嘩や親子げんかの仲裁に来たのか?と思うような場面もあります。
それは、会社を経営する夫婦ならではの理由、親子ならではの「経営者としての悩み、理由」があり、ひと言で言ってしまえば愚痴となってしまうのですが、そこには深い何かがあり、それを吐き出し解決しなければ前に進まないと思わされるような深い問題が多くあるのです。
しかし冒頭のような愚痴、
「社員が社長に頼まれたことをやっていない」
これは明らかにその経営レベルの話とは異なります。この言葉を一旦飲み込んで考えてみましょう。
社員が社長に頼まれた通りにやってくれていたら、工場はどうなるのでしょうか?右肩上がりにどんどん成長していくでしょうか。社長はそれを望んで実現に向けた取り組みをしているのでしょうか?
今の事業でヒット商品を出し一発当てようとしていますか?毎年右肩上がりの業績を目指していますか?
そのような状態を目指し考え行動している社長は、冒頭のような愚痴は言いません。なんでできないのか?と考えるより、どうやったらできるか?を考えています。
つまり、社長が愚痴を言う前にやらなければならないことは何なのか?
「社員が動けるような仕組みや環境を整えているか?」
「社員が成果を出せるような目標設定や支援ができているか?」
それ追求していかなければ、社長が社員の顔色に合わせて業務を指示しなければならなくなります。
逆に社員から見て、社長がその程度の愚痴を言っているのを聞けば、この社長でこの会社は大丈夫か?と思われるだけです。愚痴を聞かれなくても見透かされているかもしれません。
社長が社員レベルではなく社長レベルの愚痴を言わなければ、社員同士の愚痴と同じで、何も解決しません。
今の困りごとは社長だからこその困りごとでしょうか?
そのレベルで社内の課題解決をしていかなければ、社員の愚痴がなくなることもなければ、その内容が変わることもありません。
社長がやらなければならないことで悩めていますか?
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