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社長の指示。「またやってない…」と嘆く前に ・・・

SPECIAL

工場の自動化経営コンサルタント

株式会社さくらブルー

代表取締役 

 社長不在でも社員だけで現場が回る仕組み構築により、社員だけで利益を出す「工場経営の自動化」のノウハウを提供する、経営コンサルタント兼2代目工場経営者。工場経営の傍ら、がんばる中小工場経営者向けに、経営コンサルタントとして工場経営の指導を行う。「工場経営の自動化」により、現場は社員に任せ、次のビジネス展開に専念する経営者を多数輩出。

ある工場の社長から、昔の体験談を聞くことができました。
その内容は、「業務が進まないのはできない社員のせいだと思っていた」というものです。
多くの社長から聞く話ですが、そうした話をいくつも見聞きする中で、ある共通点に気づきました。今日はその点について考えてみたいと思います。

【成功事例ばかりが目立つけれど】

社長の体験談が多くのメディアで発信されています。
これらはほぼすべてが、過去に起こった問題を振り返り、それをどのようにして克服してきたかというようなものです。体験談なので当然と言えば当然なのですが、克服できなかったという例は見かけません。

このような話を読み、現在進行形で同じような問題を抱えている場合、それを克服してきたプロセスを聞くことができるのは、自分がこれから取り組むにあたってとても参考になりますし、なにより困っているのは自分だけではない、自分も解決に向けてがんばろう!と奮い立たせてくれるものでもあります。
みなさんはいかがでしょうか。

そして、多くのそのような発信を見て気づかれた方も多くいると思いますが、「どのように克服してきたか」という問いに対する発信は、これもほぼパターンが決まっています。

パターンは大きく分けて二つあり、ひとつは「〇〇システムで解決しました」という体験談を装った宣伝。システムに限らず、何かを購入、サービスを利用するなどして、会社の困りごとを直接補完するものではありますが、宣伝だとわかるとなんだかさっきまで共有していた思いが冷めてしまいます。

【社員を信じるとはどういうことか?】
もう一つは、「社員を信じる」というもの。
この部分だけ聞くと当たり前のはなしだと思ったり、社員さんの様子が書かれていたりすると、「そんな優秀な社員はうちにはいない」と思ったり他人事のように捉えてしまうものですが、その当時の社長や社員の様子、気持ちなどがわかる文章を読んでしまうと、「自分は疑ってばっかりだ」と我に返ったり、自己嫌悪に陥ってしまったりすることもあります。あの社長はすごい人だから、自分にはできない、とか・・・。

よく目にする「社員を信じる」という言葉。間違いなく必要なことですが、この言葉を鵜呑みにして、何の根拠もなく社員を信じることはできません。

問題が解決していない状態の現場では、残念ながら社員を信じることができない原因があるわけです。
その現象として、次のようなことが起こっていたりします。

【現場で起きていた、信じられなくなる出来事】
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ある工場の例です。
AM8:30 朝礼で現場の管理者から社員に、前日に行われた管理者ミーティングでの内容を伝えます。
「先日の安全点検で、〇〇の設備にも踏み台があった方が安全に作業ができる」という現場からの改善提案があったので、総務部長に伝え、全設備に踏み台を追加してもらいました。昨日準備ができたので今日から使ってください。
社長は、確認するため現場に行くと、踏み台は準備されていましたが、使われた形跡がありません。

現場の作業者に聞いてみると「その踏み台がなくてもこのようにすれば危険はない」という説明する者がいて、どうやらそのやり方が現場では浸透していたようでした。また、踏み台の種類も話していたのと少し違うため使いにくいとのこと。

・・・信じて任せた分、裏切られたような気持ちになったそうです。

踏み台の購入が無駄だったことにがっかりしたのではありません。
現場社員からの改善提案を聞き、それを受け入れ現場の改善を経営側からも支えようとしていたのですが、現場側の話し合いの詰めの甘さ、改善したいという熱量、経営側への提案レベル、などなどどれもそんな状態では社員に任せられない。「社員を信じる」と言っても、指示したこともやってないのに、どの話を信じればいいんだ!!・・・・
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先にも述べましたが、メディアで発信される問題解決した工場の様子は、すべて成功事例です。
現在進行形で問題解決しようとしている状況で、何か対策を検討している、あるいは実行している段階であるなら、まだうまくいっていないわけで、前述の社長の嘆きのような状況もあることでしょう。

怒りたい気持ちは当然です。でも、まずはアンガーマネジメントで気持ちを整理して、次の一手を考えることが大切です。当然そのマネジメントで問題が解決するはずありませんので、脳みそは次に切り替えましょう。

社員がなぜ社長の意図を組んで取り組んでくれないのか、社長の指示通りに動いてくれないのか?
これを落ち着いて考えてみる必要があります。これがわからないままやり方を変えてはいけません。また同じ目に合うだけです。

例えば、
・社員はやる気がないのでしょうか?
・話を聞いていないのでしょうか?
・社長の言っていることがわからないのでしょうか?
これはどれも違います。
やる気はあります。話もちゃんと聞いています。言われていることもわかっています。
では何がいけないのでしょうか。


【仕組みがなければ、信頼も育たない】
それは、業務を変更する際の「仕組み」がないことが原因です。
・やると決めたことをどうやって実行に移すのか
・それは誰がいつどのようにやるのか
・そもそも、話し合いはどう行われ、決定されたのか
などなど、これらのことが曖昧なまま、期限が来たからと実行されれば、いざ実行となったとき効果的な実施には至りません。

「改善提案したら」とか「改善効果を出したら」評価する仕組みが必要とか言われますが、このような状況ではいくら評価する仕組みを作っても、できないものはできません。
改善活動の結果が例のような結果だった場合、提案もしたし実行までしたから評価されるよね?と言われても評価をすることに二の足を踏みませんか?

社員のやる気、能力の不足が原因だとした場合、逆に、やる気満々で能力十分な社員が採用できたとき、その社員が納得するような仕組みを準備しておくことができているでしょうか。これは現場ではなく経営者側の仕事です。

社長の思い通りの結果を出してもらうために、社員が取り組みやすい仕組みを作っていますか?
社員を信頼するには、まずは経営側からのGiveです。

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