資金繰りを安定させる大切な考え方
会社経営の中で避けて通れない悩みの一つが、資金繰りの問題です。
「売上は増えているのに、なぜかお金が残らない…。」
「いつまで経っても資金繰りが安定しない…。」
「銀行借入が思うように減っていかない…。」
このような資金繰りの悩みは、実は「氷山の一角」に過ぎません。目に見えている部分だけを解決しようとしても、根本的な解決にはならないのです。
多くの社長が「売上を増やせばお金の問題は解決する」と勘違いしています。しかし、これは「売上至上主義」の間違った考え方です。
会社が倒産するのは、売上がゼロになった時ではありません。会社のお金が尽きた時なのです。つまり、どんなに売上があっても、お金が回らなければ会社は潰れてしまいます。
だからこそ、売上よりも「お金が残る仕組み」を作ることが、同族経営を成功させる最重要課題なのです。
資金繰りに悩む社長の多くは、問題が起きるたびに銀行借入で対処しようとします。しかし、これは対処療法。根本的な課題を解決しなければ、何度でも同じ問題が繰り返されます。
重要なのは、「なぜお金が足りなくなるのか」という本当の原因を特定すること。そして、その原因を財務の視点から解決していくことが、潰れない会社づくりの第一歩となります。
資金繰りを改善し、お金を残すために、最初にやるべき3つの重要なポイントがあります。
まず1つ目は、「入金と支出のタイミングをコントロールする」こと。多くの会社では、売上を上げるために材料の仕入れや外注費の支払いが先行します。しかし、売上の入金は後になるため、常にお金が不足する状態になってしまいます。
可能な限り、支出よりも入金が先に来るよう、取引条件を見直すことが重要です。どうしても解消が難しい場合は、銀行借入を上手に活用して手元資金を確保しますが、借入に依存しない意識を持つことが大切です。
2つ目は、「利益が出るビジネスモデルに改善する」こと。売上ばかりを追い求めた結果、実際には利益が出ていない、むしろ赤字を拡大している会社が少なくありません。
売上高から売上原価を引いた粗利が、固定費を賄えるレベルに達していなければ、いくら頑張ってもお金は残りません。この状態を放置すると、経営すればするほど資金が減っていく悪循環に陥ります。
3つ目は、「借入金の返済を適正化する」こと。お金が残らない会社の多くは、借入金の返済ペースが早すぎるか、毎月の返済額が重すぎる状態です。
銀行借入を早く返済したい気持ちは分かりますが、手元資金が枯渇していては良い経営はできません。経営の安定を図るために、一時的に返済を軽減することも必要です。資金の余裕は心の余裕であり、社長がお金の心配ばかりしていては、経営の質は向上しません。
潰れない会社を作るために最も重要なことは、経営課題を解決する優先順位を正しく理解することです。
会社経営には「ヒト・モノ・カネ」の課題が常に存在しますが、最優先で解決すべきは「カネ」の問題です。会社経営の問題は、100%お金で解決できます。お金があれば、販売不振も人手不足も、適切な投資によって改善できるのです。
逆に言えば、お金の問題さえ解決できれば、他の経営課題も次々と解決できるようになります。だからこそ、財務中心の会社づくりに取り組むことが、同族経営成功の鍵となるのです。
同族経営を何世代にもわたって続けていくためには、目先の問題解決だけでなく、本質的な経営課題に向き合う勇気が必要です。
地味で泥臭い財務の実務をコツコツ続けることで、必ず結果につながります。
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