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作業時間の適切な見積り(2)

SPECIAL

プロジェクトメンター(第三者俯瞰支援)の導入を伴うプロジェクト管理の仕組みづくりコンサルタント

株式会社プロジェクトメンターコンサルティング

代表取締役 

プロジェクトメンター(第三者俯瞰支援)の導入を伴うプロジェクト管理の仕組みづくりの専門家。大企業において情報制御システム及び量産製品の設計・開発に携わり、SE及びPMとして約25年にわたりプロジェクト運営・管理を経験。
システムは列車の運行管理、河川管理、ダム制御、衛星画像データ処理、医療分野、セキュリティ分野等幅広く、官公庁案件から民間案件まで性格の違う数々のプロジェクトを成功に導く。関わったプロジェクトは300以上。

 前回、作業時間の見積りというのは、単に目の前の作業の見積りをする以前の、組織に積み上げられた実績と経験により成り立つものだということをお話ししました。いまこのときから、組織の生産性の実績を再利用可能な形で蓄積し、長期的に精度の高い見積りができる様な活動を始めてほしいと考えます。

 さて、そうはいっても、そこまで過去の実績が再利用可能な形で蓄積されていない、過去の実績が役に立たない様な新規の作業を見積もる場合はどうすればよいでしょう。

 残念ながら、こうすれば正しく見積りできるという銀の弾丸はありません。初めて取り組む作業については、できるだけそれに近い経験を元に推測せざるをえないでしょう。そして、その様な場合においては、見積りと結果に大きな偏差が生じるかもしれないことを許容する胆力も必要です。

 “KKD”という言葉を聞いたことがあるでしょうか。これは”勘”と”経験”と”度胸”の頭文字を取ったものです。いわゆる暗黙知的な職人の技を表現するときに使われたりしますが、見積りにおいても適用せざるを得ないケースはあります。

 経験的に、その結果が意外に正しかったという事例を見てきていますが、そのやり方を無条件に受け入れては進歩がありません。偏差が生じた時の理由が「勘が外れた」では、次回に向けては「勘を磨く」という対策しか取れなくなってしまいます。

 なぜ偏差が生まれたのか、どこに検討漏れがあったのか、それをしっかり把握し、次に活かせなければなりません。例え言語化できない勘や経験に基づくものであっても、なぜそう思ったのか、なぜそう見積もったのか、できる限り思考過程を残す必要があります。

 そのために、見積りには必ずセットで根拠を備えてほしいと考えます。”勘”や”経験”と言っても、突然期間やコストの定量的な値が閃いてくるわけではないはずです。そこに至るまでに何らかの積み上げがあっての見積りに違いありませんので、それを可能な限り見える化しておくということです。例え後付けであっても根拠を残しておくことは、何もないよりは後からの振り返り方がまったく異なります。

 それから、振り返りをしやすくするためにもう一工夫加えてほしいのは、3点見積もりの考え方です。最初に妥当と考えて見積もった値に対し、もし問題なく順調に進んだ場合はどれくらいでできるだろうかという最小の見積りと、問題が発生し難航した場合はどれくらいかかってしまうだろうかという最大の見積りという観点を加えるということです。

 最初に妥当と考えた見積もりは、もっと帰着する可能性が高いものとしてMost Likely略してML、最小の見積りはMIN、最大の見積りはMAXと略すると、3点見積りはこれらに重み付けして最終的な見積りを例えば(MIN+4ML+MAX)/6の様に求める手法ですが、このMIN、MAXを求めるために検討したことは、後から振り返りの格好の材料になります。

 KKDで求めた見積りであっても、結果がMINとMAXの間に着地すれば、それは決して見積りとして外したものではないと言えます。

 皆さんは、どんな見積りにも必ず根拠を添えているでしょうか。管理職や決裁権限のある方は、部下のどんな見積りにも必ず根拠を要求しているでしょうか。そして、その根拠は後から振り返り、次の見積りに活かせるものとなっていますか。

 

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