透明資産経営|なぜ、忙しいときに漏れ出す空気感が、お客様との一生を決めるのか?
こんにちは!企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。
透明資産とは、業績に影響する「空気感」を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた透明資産経営は、お客様との絆が深まり、従業同士の信頼関係が築きあげられ、商品・サービスの独自性が強化されます。そして、持続的成長につながる経営の仕組です。
ー 一番忙しい、あの日の「空気」を思い出してください
繁忙期の、目が回るような一日。あるいは、トラブルが重なって、現場が火の車になった、あの日。──思い出せるでしょうか。電話は鳴りやまず、対応は追いつかず、社員の誰もが余裕を失っていた、あのときのことを。そのとき、あなたの会社に、どんな空気が流れていたでしょうか。ピリピリと、張りつめた空気。苛立ちの滲む声。せかせかとした足音。「今、それどころじゃない」という、無言の圧。──その空気は、社内だけにとどまりません。ドアを開けて入ってきたお客様に、電話口の向こうのお客様に、その張りつめた空気は、言葉にする前から、まっすぐ伝わっています。
ここで、一つの厳しい事実をお伝えしなければなりません。お客様が本当に感じ取っているのは、あなたの会社の「対応」そのものではなく、その対応の奥に流れている「空気」なのです。そして、その空気が最も剥き出しになるのが、あなたが一番余裕を失っている、この忙しい瞬間です。お客様は、あなたの会社の素の空気を、まさにこのとき浴びている。そして、その空気で、付き合い続けるかどうかを、静かに決めているのです。
ー 空気は、余裕があるときは取り繕える。ないときは、隠せない
なぜ、忙しいときの空気が、それほど重いのか。それは、空気というものが、余裕のあるときはいくらでも取り繕えるのに、余裕を失った瞬間だけは、決して隠せないものだからです。暇なとき、心にゆとりのあるときなら、どんな会社でも、温かい空気をまとえます。笑顔も、丁寧な言葉も、意識すれば出てくる。──けれど、それは、演出できる空気です。その会社が本当に、体の芯までお客様を大切に思っているのかどうかは、まだ分かりません。
会社の本当の空気は、追い詰められたときに、素の姿を現します。余裕がなくなり、取り繕う力を失ったとき、日頃その組織に流れている、本物の空気だけが、むき出しになる。忙しさの極みでも、お客様への敬意がにじむ空気を保てる会社は、その敬意が、日頃から空気として染み込んでいる。逆に、忙しくなった途端に空気が荒れる会社は、平時の温かさが、余裕があるときだけの「まとっていた空気」にすぎなかったことを、露呈してしまうのです。
そして、お客様は、この空気の変化を、驚くほど敏感に感じ取ります。「忙しそうだから」と気を遣って遠慮している、まさにそのときに浴びせられた冷たい空気は、より深く、心に刺さる。「ああ、この会社は、余裕を失うと、こういう空気になるのか」と。──その一度の失望が、それまで積み上げてきた何年分もの信頼を、一瞬で覆してしまう。忙しいときに漏れ出た、たった一度の荒れた空気が、お客様との関係に、消えない傷を残すのです。
ー 忙しいときに温かい空気を保てる会社は、一生ものの絆を結ぶ
視点を、ひっくり返してみましょう。もし、あなたの会社が、一番忙しい、その瞬間にこそ、温かい空気を崩さなかったら、どうなるでしょうか。誰もが「忙しいだろうから」と遠慮している、まさにそのとき。あなたの会社が、慌ただしさの中にも、変わらぬ落ち着きと、お客様を大切に思う空気を保っていたら。
お客様の心には、深い驚きと、感動が刻まれます。「こんなに忙しいはずなのに、この会社の空気は、少しも私を邪険にしなかった」と。人は、相手が余裕を失っているときにこそ、その相手の本当の空気を見抜き、そして、そこに宿った温かさを、生涯忘れません。暇なときの百の丁寧さより、忙しいときに崩れなかった一つの空気のほうが、はるかに強く、お客様の心を掴むのです。
こうして生まれた絆は、簡単には切れません。「あの会社は、大変なときでも、空気が荒れなかった。私を、ちゃんと一人の人として見てくれた」──その記憶が、揺るぎない信頼となって、お客様をつなぎとめる。忙しいときの空気は、会社にとって最大の試練であると同時に、お客様と一生ものの絆を結ぶ、またとない好機でもあるのです。
ー 忙しいときの空気は、日頃の空気と、社長の空気で決まる
では、経営者は、どうすればいいのか。ここが、この連載ならではの肝心なところです。忙しいときだけ空気を良くしようと号令をかけても、無理です。余裕を失った瞬間に現れるのは、意識してつくる空気ではなく、日頃から組織に染み込んだ、素の空気だからです。だからこそ、平時から、お客様を大切にする空気を、社員一人ひとりの当たり前として、体に染み込ませておく必要があります。普段の空気だけが、忙しさの中でも崩れずに残るのです。
そして、忙しいときこそ、社長であるあなたの空気が、すべての起点になります。あなたが忙しさに苛立ち、張りつめた空気を放てば、その空気は瞬く間に現場に伝染し、お客様に届く空気まで荒れていく。逆に、あなたが忙しいときこそ、意識して落ち着いた、穏やかな空気をまとえれば、社員もその空気に守られ、踏みとどまれる。忙しいときにお客様が浴びる空気は、忙しいときの、社長がまとう空気が、そのまま源流になっているのです。
ー その忙しさの中で、お客様は、どんな空気を浴びていたでしょうか
最後に、お伝えしたいことがあります。お客様との関係の深さは、平穏なときの丁寧さではなく、あなたが最も余裕を失った、その瞬間に会社が放っていた「空気」によって、静かに決まっているということです。思い返してみてください。直近の、一番忙しかったあの日。あなたの会社には、どんな空気が流れ、お客様は、その空気を浴びて帰っていったでしょうか。そして、そのとき居合わせたお客様は、今も、あなたの会社と付き合い続けているでしょうか。もし、あの日の空気を思い出して、少し胸が痛んだなら、その痛みこそが、あなたが今日から整えるべきものを、教えてくれています。
このコラムを読み終えたあなたは、次に会社が忙しさに飲み込まれそうになったその瞬間、はっと思い出すはずです。「今、お客様は、うちの空気を浴びている」と。そして、余裕がないときこそ、ひと呼吸おいて、自らまとう空気を整える自分の姿が、もう浮かんでいるのではないでしょうか。忙しいときにこそ、空気を崩さない。その空気を日頃から設計しておくことが、お客様と一生ものの絆を結ぶ、最も確実で、最も静かな一手なのです。
ー勝田耕司
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