M&A/PMIと業務プロセスの可視化
当社が業務コンサルティングを生業とし、デジタル化方針の策定や、「どんなシステムをどこに入れると、どのような効果が得られるのか」を中心にご指導させていただいていることは、皆さんご存じのとおりかと思います。それでも多くのお客さまから、「DXコンサルだと思って頼んだら、業務改革はもちろん、組織改革にまで踏み込まれた。ずいぶん幅広いんですね」と、お褒めの言葉をいただくことがあります。ありがたいことではあるのですが、最近になってこのご評価は結局のところ「コンサルタントとアドバイザーの違い」を表しているのではないか、と考えるようになりました。
一般に「コンサルタント」というと経営コンサルタントを思い浮かべる方が多いのですが、「××コンサルタント」と名乗る人のなかには、その「××」という専門領域の知識しか持たず、経営の諸課題のうちごく一部でしかクライアントを支援できない人も一定数います。陰口を言うつもりはありませんが、私は、こうした「一部の分野でしか話ができない」ことを前提としたサービスは、コンサルタントではなくアドバイザーと呼ぶべきだと思っています。これに対して「コンサルタント」とは、たとえ専門領域を持っていても、経営の幅広い課題に対応できる引き出しを備えた人を指すのだと考えています。その中の一つが、M&Aコンサルタントでしょう。
前置きが長くなりましたが、今回はデジタルから少し離れ、M&Aと業務プロセスの可視化について解説したいと思います。
事業承継や企業買収など、M&Aを専門とするコンサルタントは、実に幅広い支援を提供しています。複数の会社が一つになるわけですから、事業内容はもとより、企業文化や規模まで大きく異なるケースも少なくありません。そして、M&Aのプロセスは、契約の締結や法務局への登記をもって終わるわけではありません。いえ、むしろそこが、すべての始まりと言えます。
たとえば同じ業種の二社が統合するのであれば、スケールメリットを生かせるように業務そのものを作り替えていく必要があります。そうなると、商品やサービスの統合に始まり、売り方や、売った後のプロセスまで、一つにまとめていかなければなりません。
しかしこれは、仕事の流し方がものづくり企業のように複雑な場合、非常にやっかいで、失敗しやすい作業になります。ここでトラブルを起こせば、ただちにその時点でのお客さまにご迷惑をおかけすることになりますので、慎重に進めなければなりません。そこで登場するのが、業務プロセスの可視化です。
「あれ?それはDXでも出てくる話だよね」と思われたのではないでしょうか。実はこの業務プロセスの可視化は、M&AのPMI(ポスト・マージャー・インテグレーション=M&A成立後の統合プロセス)においても、欠かすことのできないタスクなのです。可視化そのものは、当社の「簡単プロセスビルダー」を使えば比較的楽に進められますが、それでも慣れが必要でもある大変な作業であることに変わりはありません。ましてやM&Aのごたごたのなかで進めるとなると、その負担はかなり大きなものになります。
しかもPMIの場合は、可視化して終わり、ではありません。統合後の組織に合わせて業務プロセスそのものを再設計しなければならず、デジタル化を目的とした可視化よりも負担が大きく、時間もかかります。限られた時間のなかで進めざるを得ないことも多いため、作業負担は相当なものになりますし、かかわる方々の真剣さも、おのずと高いものになります。
正直に申し上げて、私は、これをPMIのなかで完璧にこなすのはきわめて難しいと思っています。デジタル化プロジェクトでの可視化とは違い、人が担っている一つひとつの細かな作業まで可視化しなければならず、そこに間違いがあると、業務を切り替えた当日に大混乱をきたすからです。デジタル化の際の可視化であれば、多少の漏れがあっても人力でカバーする、というリカバリーが効くことが多いものです。しかし、人の異動を伴うことが多いPMIでは、そのリカバリーがかなり難しくなります。
加えて、業務プロセスの可視化には、それなりの経験が必要です。「M&Aという段階に至ってから、あわてて手法を習得しようとする」のは、相当にリスクの大きい話だと思います。
となると、この問題に対する答えは一つですね。日ごろから業務の可視化に取り組み、ある程度の細かさまで可視化を進め、常にそれをメンテナンスしている状態にしておく…。これしかありません。
とはいえ私は、「あるかないかもわからないM&Aに、とにかく備えよ」などという、主従逆転の笑い話をするつもりはありません。業務の可視化はさまざまな場面で役に立つのだから、ぜひ日ごろから取り組むべきだ、と申し上げているにすぎません。ただ、そうは言っても、実際に手を動かす人には負荷をかけることになります。ですから、これは経営層から号令をかけていただくべき規模の取り組みだと思います。
そういう意味でも、「可視化には経営者が関与すべきだ」という私のかねてからの主張は、デジタル化にとどまらず、このM&A・PMIの領域にまで当てはまります。「経営者は業務プロセス可視化を経営の武器にするべきだ」・・・これが私の想いです。
当社ベルケンシステムズ(株)では、業務可視化支援をはじめとする様々なコンサルティングサービスプランをご用意しております。ご興味があれば是非当社ホームページをご覧ください。
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