海外ビジネス〈構造設計〉 「売れるか」だけで海外進出を判断してはいけない

「この商品は、海外でも売れるでしょうか?」
海外進出を検討する企業から、よくいただく質問です。
日本ではまだ十分に知られていなくても、海外では高く評価される商品やサービスがあります。
市場が変われば、商品の見え方も、価値の伝わり方も変わります。国内では当たり前と思われていた技術や品質が、海外では大きな競争力になることも少なくありません。
海外市場には、自社の可能性を大きく広げる機会があります。
ただし、その可能性を一時的な売上で終わらせず、継続的な事業へ育てていくためには、「売れるか」だけではなく、売れた後まで考えておく必要があります。
商品の価値は、市場が変わると大きく変わる
海外進出の魅力は、自社の商品やサービスが、これまでとは異なる市場で新しい評価を受けられることです。
日本では競争の激しい商品でも、海外ではまだ十分に供給されていなかったり、現地の課題を解決する商品として高く評価されたりすることがあります。
大切なのは、単に日本の商品を海外へ持っていくことではありません。
どの国や地域で、誰がその商品を必要としているのか。どのような価値として伝えれば、現地の顧客に選ばれるのか。
市場と顧客を見極めることで、海外ビジネスの可能性は大きく広がります。
売上を、確かな利益へ変えられるか
商品が売れることは、海外事業の大切な第一歩です。
しかし、事業として成長させるためには、その売上を確かな利益へ変えていく必要があります。
海外販売では、輸送費、関税、保険料、現地での保管費用、販売手数料など、国内販売とは異なる費用が発生します。
そのため、
「どの価格で販売するのか」
「どれだけ売れば利益が残るのか」
「どの販路を使えば最も価値を届けられるのか」
を事前に考えておくことが重要です。
これは海外進出を難しくするための計算ではありません。
むしろ、自社の商品が持つ価値を、きちんと利益へつなげるための設計です。
売れた機会を、継続的な取引へ育てる
海外で最初の注文を獲得することは、大きな成果です。
そして、その成果を一度限りで終わらせず、継続的な取引へ育てられるかが次の段階になります。
注文が増えたときにも、同じ品質と納期で供給できるか。生産、検品、梱包、輸送、通関、現地配送まで、無理なく対応できる体制があるか。
また、支払条件や決済方法を整え、確実に代金を回収できる仕組みをつくることも必要です。
供給と回収の仕組みが整えば、企業は安心して海外市場での販売を広げていくことができます。
現地の情報をつかみ、事業を成長させる
海外で販売が始まると、取引先や代理店との連携が重要になります。
しかし、すべてを相手に任せるのではなく、自社も現地の情報を把握することが大切です。
どのような顧客が購入しているのか。どの商品が評価されているのか。価格や販売方法に改善の余地はないか。
現地から得られる情報は、次の商品開発や販路拡大につながる貴重な経営資源です。
自社が顧客情報や販売状況を把握し、必要な判断を行える仕組みを持つことで、海外事業の主導権を保ちながら成長させることができます。
海外進出は、自社の可能性を広げる挑戦である
海外進出には、国内市場だけでは出会えなかった顧客や、新しい評価、新しい成長の機会があります。
自社の技術や商品が世界のどこかで必要とされ、現地の人々の暮らしや事業に役立つ。
それは、企業にとって大きな喜びであり、経営者にとっても魅力ある挑戦です。
だからこそ、「売れそうか」だけで判断するのではなく、
利益を残せるか。
安定して供給できるか。
確実に代金を回収できるか。
現地の情報をつかみ、事業を育てられるか。
売れた後まで見据えて設計する必要があります。
海外進出は、夢だけで進めるものではありません。
しかし、夢を諦めるために設計するものでもありません。
自社の可能性を、世界で持続する事業へ変える。
そのために必要なのが、海外ビジネスの〈構造設計〉です。
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