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人物評価が正しければ、判断を誤らない

SPECIAL

親子経営コンサルタント

ビジネス・イノベーション・サービス株式会社

代表取締役 

オーナー社長と後継者のための、「親子経営」を指導するコンサルタント。みずから100億円企業を築くも、同族企業ならではの難しさや舵取りの大変さで苦しんだ実体験を指導。親から子へ失敗しない経営継承の極意として「親子経営」を伝授する。

人物評価が正しければ、判断を誤らない

今日は私の子どもたちに人間関係の機微を話しておこう。
第4話

【人物評価が正しければ、判断を誤らない】

私が長年、経営者として本当に難しいことだと思ったのが人物評価だ。経営者は人事が苦手だと、私がいつも言うのも、実はこれが理由だからだ。何故、人は他人の人物評価を間違えてしまうのだろう。

それには原因、理由があるという。紹介しておこう。

まず、人は誰でも愛する者に対し、溺れてしまい偏った見方をするからだ。

次に、人は自分が嫌いな者に対し、卑しんで偏った見方をするからだ。

また、人は自分が尊敬し、畏れ敬う人に対し、恐れ慄き憚(はばか)るからだ。

さらに、人は貧しく困窮する者に対し、憐(あわ)れんで偏った見方をする。

最後に、人は自分が見下す者に対し、驕り昂(たかぶ)って偏った見方をするからだ。

どうだろう。思い当たることはないだろうか。経営者が人物評価を誤ると後々いろんな大変なことになる。冷静で慎重に処したいものだ。

私は会社経営をしていた頃、この「人を見る目」の難しさを何度も痛感した。仕事がよくできる人だからといって、人として信頼できるとは限らない。

口数が少ないからといって、能力が低いわけでもない。

愛想が良いから誠実とも限らない。

逆に、不器用で口下手な人ほど、誰よりも責任感が強く、会社のために黙々と働いてくれることもある。

人は外見や第一印象に惑わされやすい。しかし、本当の人物は時間をかけなければ見えてこない。だから私は、人物評価ほど急いではならないと思っている。

中国古典の『大学』には、「心ここに在らざれば、視れども見えず」とある。心に偏りがあれば、見えているようで実は見えていないということだ。

人物評価もまさに同じである。好きだから高く評価する。嫌いだから低く評価する。その時点で、すでに公平な判断ではなくなっている。

経営者にとって最も危険なのは、「好き嫌い」で人を使うことだ。好きな人には甘くなる。多少の失敗には目をつぶる。

嫌いな人には必要以上に厳しくなる。良い仕事をしても認めようとしない。これでは組織は決して健全にならない。

社員は実によく見ている。「あの人は社長のお気に入りだから。」「あの人は社長に嫌われているから。」そんな言葉が社内で聞こえ始めたら、組織は少しずつ歪み始めている証拠だ。

本来、人を評価する基準はただ一つである。その人が誠実に仕事へ向き合っているか。責任を果たしているか。周囲から信頼されているか。そこを見なければならない。

私は経営者時代、人事で失敗したことが何度もある。期待し過ぎて失望したこともあった。逆に、「この人は駄目だろう」と思っていた社員が、大きく成長して会社を支えてくれたこともあった。

その度に、自分の人を見る目の未熟さを思い知らされた。だからこそ、一人の印象だけで判断しないよう心掛けねばならない。

一度会っただけで決めない。

一つの失敗だけで見限らない。

一つの成功だけで持ち上げない。

時間をかける。多くの人の意見を聞く。そして最後は、自分の責任で決断する。経営者とは、そういう仕事なのだと思う。

もう一つ忘れてはならないことがある。それは、自分自身もまた誰かから評価されているということだ。社員は経営者を見ている。取引先も見ている。家族も見ている。自分は人を評価しているつもりでも、実は自分自身が評価され続けているのである。

そう思えば、人を見る目も少しは謙虚になる。「私は本当にこの人を正しく見ているだろうか。」そう自分に問い掛けることができる。その姿勢が偏りを少なくしてくれる。

人は誰でも感情を持っている。だから完全に公平になることはできない。しかし、公平であろうと努力することはできる。

私はその努力を続けることが、リーダーの大切な務めだと思っている。君たちも将来、多くの人と出会うだろう。

人を信頼することもあれば、裏切られることもある。人を評価する立場になることもあるだろう。

その時は、自分の好き嫌いではなく、その人の生き方と日々の行動を見るようにしてほしい。

一時の印象は当てにならない。人の本当の価値は、長い時間の中で少しずつ見えてくるものだからだ。

そして最後にもう一つ。人物評価を誤らない一番の方法は、自分自身が常に謙虚でいることだ。「私はまだ人を見る目が十分ではない。」そう思える人ほど、人を正しく見ることができる。

人生も経営も、最後は人で決まる。

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