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透明資産経営|なぜ、歓迎されて入った新人が、三か月で表情を失うのか?

SPECIAL

透明資産コンサルタント

株式会社ホスピタソン

代表取締役 

社内に「感じいい空気」を意図してつくりだし、業績を躍進させる「透明資産経営」指導のコンサルタント。大学卒業後、1993年キリンビールに入社。東名阪で飲食店向け営業を担当し、延べ2千店以上へ課題解決提案を実践。在籍17年間で社長賞を4度受賞、同社最速で部長昇格。新聞・雑誌・TV・ラジオでも多数取材される。
 2011年12月、株式会社ホスピタソンを設立、代表取締役に就任。「世界中の企業に透明資産を」というビジョンを掲げ、企業の「空気感」をおカネに変える専門家として活動中。


こんにちは!企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。

 

透明資産とは、業績に影響する「空気感」を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた透明資産経営は、お客様との絆が深まり、従業同士の信頼関係が築きあげられ、商品・サービスの独自性が強化されます。そして、持続的成長につながる経営の仕組です。

 

ー入社した日の、あの輝いた顔を、覚えているでしょうか

 

思い浮かべてみてください。新しい社員が、入社してきた、あの日の光景を。緊張しながらも、目を輝かせ、「よろしくお願いします」と、頭を下げる。この会社で頑張ろう、役に立ちたい、という気持ちが、その表情から、あふれている。あなたも、周りの社員も、温かく迎え入れた。歓迎会を開き、みんなで、その門出を祝った。──滑り出しは、申し分なかったはずです。

 

ところが、それから三か月ほど経つと、あなたは、ふと気づきます。あの日、輝いていたはずの新人の顔から、あの光が、消えている。表情が、乏しくなった。言われたことだけを、淡々とこなすようになった。あの、前のめりの姿勢が、どこにもない。──あれほど歓迎して迎えたのに、なぜ、こんなに早く、その人は、生気を失ってしまったのか。この、入社時の輝きと、三か月後のくすみのあいだにある落差こそ、今日、お話ししたいことです。

 

ー歓迎の空気は「入口」だけ。新人を変えるのは「日常の空気」

 

なぜ、あれほど歓迎した新人が、早々に、表情を失うのか。ここに、この連載だからこそお伝えしたい、見落としがあります。入社時の歓迎は、あくまで「入口」の空気にすぎず、新人を本当に変えていくのは、そのあとに続く、日常の空気だ、ということです。考えてみてください。入社した日、歓迎会の日──こうした特別な日は、どんな会社でも、温かい空気をつくります。しかし、新人が本当に浴び続けるのは、その特別な日ではなく、その後の、来る日も来る日もの、平凡な日常です。そして、その日常の空気こそが、新人の心を、少しずつ、形づくっていく。歓迎の空気が、どれほど温かくても、そのあとに続く日常の空気が、冷たく、そっけないものであれば、新人の輝きは、そのギャップの中で、急速に、しぼんでいくのです。

 

普通の経営者なら、「歓迎会も開いたし、温かく迎えた。あとは、本人が慣れるかどうかだ」と考えるでしょう。しかし、透明資産の視点では、新人が定着し、輝き続けるかどうかは、入口の歓迎ではなく、その後の日常の空気で、決まります。むしろ、入口の歓迎が温かかったぶん、日常の空気が冷たいと、新人の落胆は、より深くなる。「あの歓迎は、何だったのか」と。歓迎という入口の演出と、日常という本編の空気のギャップが大きいほど、新人は、早く、そして深く、心を閉ざしていくのです。新人が三か月で表情を失うのは、歓迎が足りなかったからではなく、歓迎のあとに続く日常の空気が、その人を、置き去りにしたからなのです。

 

ー新人の輝きを、静かに奪う、3つの日常の空気

 

歓迎のあとの日常で、新人の輝きを奪っていく空気とは何か。三つお伝えします。

 

1つ目は、「放っておかれる空気」です。歓迎会が終わると、新人への関心が、急に薄れる。誰も、気にかけてくれない。分からないことがあっても、聞ける空気がない。──「歓迎されたのは、最初だけだった」。放置された新人は、孤独の中で、心を、静かに閉じていくのです。

 

2つ目は、「意欲が、空回りする空気」です。新人が、役に立ちたくて、何かを提案したり、進んで動こうとしたりする。ところが、その前向きな意欲が、「余計なことをするな」「まだ早い」と、押し戻される。前のめりの気持ちが、行き場を失う。空回りを繰り返すうちに、新人は、動くことを、やめていくのです。

 

3つ目は、「先輩の後ろ向きな空気に、飲まれる」ことです。新人は、周りの先輩の空気を、吸い込んで育ちます。もし、その先輩たちが、愚痴や、あきらめや、惰性の空気をまとっていれば、新人も、その空気に、飲まれていく。入社時の輝きは、後ろ向きな日常の空気の中で、色あせていくのです。

 

ー新人を輝かせ続けるのは、日常に流れる、温かい空気

 

新人が、輝き続けるか、表情を失うかを分けるのは、入社時の歓迎の華やかさではなく、その後の日常に、温かく、前向きな空気が、流れ続けているかどうかです。歓迎会のあとも、新人が、気にかけられ、放っておかれない空気があるか。新人の前向きな意欲が、押し戻されず、受け止められる空気があるか。新人が身を置く日常に、後ろ向きではなく、前向きな先輩の空気が、流れているか。新人が早く輝きを失うのは、入口の歓迎と、日常の空気のあいだに、大きなギャップがあるサインです。日常の空気を、温かいものに保ってはじめて、新人の輝きは、消えずに、育っていきます。

 

ー歓迎会よりも、その後の「毎日」に、心を配る

 

では、経営者は、何を変えればいいのか。歓迎会を、より盛大にすることではありません。歓迎のあとに続く、平凡な毎日の空気に、心を配ることです。まず、歓迎会が終わったあとこそ、新人を、気にかけ続ける。「困っていることはない?」の一言を、日常の中で、かけ続ける。放置しない。次に、新人の前向きな意欲を、たとえ未熟でも、押し戻さず、まず受け止める。その芽を、大切に育てる。そして、新人が身を置く現場の、先輩たちの空気そのものを、前向きに保つ。──こうして日常の空気に心を配り始めたあなたは、新人の輝きが消えていくのを、静かに食い止め始めているのです。

 

ーあの日の輝きは、今、その人の顔に、残っていますか

 

最後に、お伝えしたいことがあります。新人が定着し、伸びていくかどうかは、入社時にどれだけ盛大に歓迎したかではなく、その後の毎日に、どんな空気が流れているかで、決まるということです。思い浮かべてみてください。この数か月で入ってきた、新人の顔を。入社した日、あの人の顔には、輝きがあったはずです。その輝きは、今も、残っているでしょうか。それとも、いつの間にか、表情から、あの光が、消えていないでしょうか。もし、消えかけていると気づいたなら、それは、あなたが、日常の空気を、見つめ直すべき合図です。

 

このコラムを読み終えたあなたは、次に新人の顔を見るとき、これまでとは違う視点を持つはずです。入口の歓迎ではなく、この人が浴びている、毎日の空気はどうだろう、と。そして、歓迎会のあとの平凡な日々にこそ、温かい空気を注ぎにいく自分の姿が、もう浮かんでいるのではないでしょうか。歓迎の華やかさより、日常の空気を整える。それが、新人の輝きを守り育てる、最も確実で、最も静かな一手なのです。

 

ー勝田耕司

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