透明資産経営|なぜ、社長が正解を持っている会社ほど、社員が考えなくなるのか?
こんにちは!企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。透明資産とは、業績に影響する「空気感」を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた透明資産経営は、お客様との絆が深まり、従業同士の信頼関係が築きあげられ、商品・サービスの独自性が強化されます。そして、持続的成長につながる経営の仕組です。
ー社員が質問してきたとき、あなたは、すぐに答えを教えていませんか
思い浮かべてみてください。社員が、「これ、どうすればいいですか」と、あなたに、判断を仰いできた場面を。
経験豊富なあなたには、たいてい、答えが、すぐに、見えます。だから、親切に、的確に、教えてあげる。「それは、こうすればいい」と。社員は、「分かりました」と、その通りに、動く。話は、早い。問題も、すぐに、片づく。──あなたは、頼られる社長として、社員の役に立てたことに、満足を覚えているかもしれません。
けれど、思い浮かべてみてください。あなたが、答えを教えるたびに、社員が、自分で考える、その一瞬を、飛ばしていることに。あなたが、正解を持っていて、それを、気前よく、与え続けるほど、社員は、考える必要が、なくなっていく。そして、いつしか、社員は、考えることを、やめてしまう。この、社長の親切な正解が、社員から思考を奪う構図こそ、今日、お話ししたいことです。
ー「すぐに答えが手に入る空気」の中では、人は、考えなくなる
なぜ、社長が正解を持っていると、社員が、考えなくなるのか。
ここに、この連載だからこそお伝えしたい、思考と空気の関係があります。人は、自分で考えなければ、答えにたどり着けない状況でこそ、考える力を、育てる。逆に、聞けば、すぐに、正解が手に入る空気の中では、考えること自体を、やめてしまう、ということです。
考えてみてください。社員が、少し迷ったとき、社長に聞けば、すぐに、的確な答えが、返ってくる。それが、当たり前になると、どうなるでしょうか。社員は、自分で考える前に、まず、社長に、聞くようになります。だって、そのほうが、速くて、確実だからです。自分で悩み、考え、判断する、という、面倒な過程を、飛ばして、社長という「正解の出る機械」に、頼るようになる。──こうして、社長が正解を与え続けるほど、社員は、自分の頭で考える、その筋肉を、使わなくなり、やがて、衰えさせていくのです。
普通の経営者なら、「社員に、正解を教えてあげるのは、親切で、効率的だ」と考えるでしょう。しかし、透明資産の視点では、社長が正解を与え続ける空気は、目先の効率と引き換えに、社員が考える力を育てる機会を、奪い続けています。なぜなら、人が成長するのは、答えを教わったときではなく、自分で、考え、悩み、答えを、見つけ出したときだからです。社長が、良かれと思って、正解を与えるほど、社員は、その成長の機会を、失っていく。そして、考えない社員ばかりになり、ますます、社長が、考えて、答えを出さなければならなくなる。社長が正解を持つ会社で社員が考えなくなるのは、その親切な正解が、社員の思考を、静かに、肩代わりしてしまうからなのです。
ー社長が正解を与える空気が、生む、3つの依存
社長が、正解を与え続ける空気は、組織に、どんな依存を生むのか。三つお伝えします。
ひとつ目の依存は、「考える前に、聞く」ことです。社員が、自分で考える前に、まず、社長に、答えを求める。考える、という過程を、省略する。この習慣が、身につくと、社員は、自分の頭で、判断を、下せなくなっていくのです。
ふたつ目の依存は、「正解が、一つになる」ことです。社長が、常に正解を出すと、その正解が、唯一の答えに、なります。社員は、社長とは違う、別の可能性を、考えなくなる。多様な発想が、生まれず、組織の思考が、社長一人の頭の、大きさに、縛られてしまうのです。
みっつ目の依存は、「自信の、喪失」です。自分で考え、判断し、それがうまくいった、という経験がなければ、社員は、自分の判断に、自信を持てません。常に、社長の正解に、頼ってきた社員は、いざ、一人で判断を迫られたとき、何も、決められなくなるのです。
ー社員を考えさせるのは、答えを与えず、問い返す空気
社員が、自ら考えるか、考えなくなるかを分けるのは、社長の答えの的確さではなく、社長が、答えを与える代わりに、社員に、問い返す空気を、つくれているかどうかです。
社員が質問してきたとき、すぐに答えを与えず、「あなたは、どう思う?」と、問い返せているか。社員が、自分で考え、答えを見つける、その過程を、待てているか。社員が考えなくなるのは、社長が、正解を与え続け、考える機会を、奪っているサインです。答えを与えず、問い返す空気を育ててはじめて、社員は、自分の頭で、考え始めます。
ー「答え」を渡す代わりに、「問い」を返す
では、経営者は、何を変えればいいのか。正解を、知らないふりをすることではありません。答えを渡す代わりに、問いを、返すことです。
まず、社員が、判断を仰いできたとき、すぐに答えを教えず、「あなたなら、どうする?」と、まず、問い返す。社員に、自分で考える、一瞬を、贈る。次に、社員の考えが、たとえ未熟でも、それを、頭ごなしに否定せず、「なるほど、では、こう考えると?」と、さらに、問いを重ね、一緒に、考える。そして、社員が、自分で答えにたどり着いたら、その過程を、認める。──こうして問いを返し始めたあなたは、社員の中で、使われなくなっていた、考える筋肉を、もう一度、動かし始めているのです。
ーあなたは、社員から、考える機会を、奪っていませんか
最後に、お伝えしたいことがあります。社員が自ら考える組織になるかどうかは、社長がどれだけ的確な正解を持っているかではなく、その正解を、あえて与えず、社員に考えさせる空気を、つくれるかどうかで、決まるということです。
思い返してみてください。社員が、質問してきたとき、あなたは、すぐに、答えを、教えていないでしょうか。その親切な正解が、社員から、自分で考える機会を、奪ってこなかったでしょうか。もし、思い当たるなら、それが、社員が、考えなくなった理由かもしれません。
このコラムを読み終えたあなたは、次に社員が答えを求めてきたその瞬間、ふと、こらえるはずです。すぐに答えを言う代わりに、まず、問い返そう、と。そして、「あなたなら、どうする?」と、社員に考える一瞬を贈る自分の姿が、もう浮かんでいるのではないでしょうか。答えを与えず、問いを返す空気をつくる。それが、社員が自ら考える組織を育てる、最も確実で、最も静かな一手なのです。
ー勝田耕司
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