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第12話 労使交渉1000回以上の実績が必要だった理由

SPECIAL

プラチナ社員づくりコンサルタント

株式会社園田コンサルティング

代表取締役 

労使交渉1千回以上の実績から、社長と社員の夢を一体化する仕組みを体系化、「プラチナ社員づくり」コンサルティングを行う注目のコンサルタント。ブラック社員をつくらず、社長の夢に共感して一緒に働いてくれる社員を独自の対話方式で生み出す仕組みづくりは、人手を多く活用する企業から熱い支持が集まる。

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私は、労使交渉1,000回以上の実績をもとに、社長と社員の夢を一体化する仕組みを体系化し、顧客に提供させていただいております。

さて、労働組合と言えば、テレビのニュースで、春闘の集会やデモに集まっている様子をご覧になった社長も多いと思います。また、労働組合のストライキの影響で、予定していた飛行機に乗れなかった・・・という腹立たしい実体験をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。

だからこそ、なぜ、”労使交渉実績”なるものが、”社長と社員の夢を一体化する仕組み”のベースとなるのか、疑問を持たれる方も多いのではないでしょうか。

そこで、2016年最初の今週の提言は、弊社の原点となっている”労使交渉と社長と社員の夢を一体化する仕組みとの関係”について、この二つが結びつくことになった背景を説明させていただきたいと思います。

私は前職にある時、企業内の労働組合に所属し、組合側の書記局(交渉窓口みたいなものです)として、経営層と交渉を行っておりました。

例えば、毎年2月になると、経営層から会社の決算見通しや来年度の事業計画について説明を受けます。それらの経営状況と組合員の生活実態などを勘案して、ボーナス等の労働条件について会社と交渉するのです。また、事業計画についても、現場社員への浸透状況などを踏まえながら、経営者からの詳細な説明を求めたり、労働組合としての改善提言をしたりするのです。

ボーナスや事業計画に口を出す?・・・労働組合は何様なんだ!と感じられる方もいらっしゃると思いますが、このまま最後までお読みいただければ幸いです。

さて、ある日の交渉で、長時間残業が改善しない理由を、経営層に質問した組合員がいました。ところが、「会社がこんなに厳しい時に、よくもまあ、そんな不平不満を言えたものだ。疑問があるならキミのところの管理職に聞きなさい!」と、逆に経営層からひどく叱責されたことがありました。

その当時の会社は、経営環境が急激に変化していたため、それに対応するため、現場社員も現場管理職も、とにかく新しい生産設備、新しい仕事の仕方、新しい勤務体制に慣れようと、大変な努力をしていたのです。にもかかわらず、”現場のことは知らない!”と、この経営者は言い放ったのでした。

「残業に至る背景、経営環境や戦略について、現場の管理職が的を得た説明ができないから、経営者に質問しただけのことだ。丁寧に説明すべきなのは、経営者の方ではないか!」

本来ならば、事務局である私が、即座にそう切り返して、質問内容に沿って経営者の発言を促すべきでしたが、「経営が苦しい時には、四の五の言わずに、上司の言うとおり黙って仕事をしていればいいのだ・・・」という私自身の潜在意識から、一言も発することができませんでした。他の組合員もまた、話の糸口がつかめなくなり、全員が押し黙ってしまいました。その結果、経営層からバカにされた、疎外された、という強烈な不信感だけを残した交渉となってしまいました。

私は、現場の課題解決のために、勇気を振り絞って質問した組合員の誠実な想いを、この現場軽視の経営者から守ることができなかったのです。交渉が終わった後、「組合役員なのに経営者に物が言えない奴。あいつは会社の犬だ!」とのレッテルを貼られたのは言うまでもありません。

実は、その当時の私は、労使交渉を、形だけ整てやり過ごそうと考えていました。現場の課題は現場で解決されるべきである。現場の管理職も経営層も、それなりに頑張っている。労働組合の威を借りて経営層に楯つくのは、社員としての責務を放棄している・・・と何となく感じていたのです。まさしく自身の役割を放棄した”会社の犬”でした。それなら、組合役員なんてやるなよ・・・という情けない話です。

そして、この交渉を切っ掛けに、”現場の課題は現場で解決すべき。解決できる。”という私の根拠のない考えが大きく揺さぶられ始めたのです。

現場の社員は、経営や仕事に関して疑問に思っていることを、”何故ですか?”と、管理職や経営層に本音で質問することができるのだろうか・・・。

現場を預かる管理職は、経営方針や現場としてやるべきことを理解し、現場社員の腹に落とし込むように、それらを伝えることができているのだろうか・・・。

経営層は、現場の社員や管理職の直言に耳を傾けて、現場と本社が力を合わせて戦略を策定・実行していく仕組みを作っているのだろうか。裸の王様になってはいないだろうか・・・。

このまま、現場社員と経営層が、お互いを理解せず、いがみ合う状態を放置していたら、ブラック社員ならぬ、”企業は社会悪”と考えるブラック組合員が労働組合を乗っ取り、不信感を徹底的に増長させて、会社、社員もろとも潰されてしまうのではないか・・・と。

その後、私は、交渉を重ねる度に、これらの疑問を自分自身に問いかけ、ある一つの考えに辿り着いたのです。

”課題は現場の力、経営の力だけでは解決できない。経営環境や戦略が大きく変化している時だからこそ、労働組合は、ヒトの体の動脈と静脈のような役割を果たすことができる。時には”動脈”になって経営層の想いを現場に、時には”静脈”になって組合員(=現場社員)の想いを経営層に届ける。そうすることで血液(想いや情報)が循環する健康な身体=会社と社員の成長の土台となる信頼関係を、次第に作りだすことができる。”というものです。

実は、その当時の労働組合の役員は、仕事が終わってから、組合員からの相談を受ける活動を行い、現場の生きた情報を把握することに腐心していました。相談内容は、経営のことから組合員の家族のことまで多岐にわたり、相談時間は深夜に及ぶことも度々ありました。経営層にとっても、組合の集約したこの情報こそが、真の現場の声だったわけです。だからこそ、”会社の動静脈としての労働組合の存在意義”を、経営層も認めざるを得なかったのです。

その後、この会社は、この動静脈(労働組合・労使交渉)を通じて、経営層の想いを現場に伝え、現場の知恵を経営層にフィードバックし、経営層は”戦略を描く力”を、そして現場は”戦略を推進する力”を得ることができるようになりました。

ここからわかることは、会社組織の中に、労働組合が担っている動静脈に似た役割を再現できれば、労働組合に頼らずとも、社長と社員の成長の土台となる信頼関係を作りだすことができるということです。

これこそが、社長と社員の夢を一体化する、弊社ノウハウの核心であり、そこに労使交渉1000回以上の実績が凝縮されているのです。

最後になりますが、私は労働組合活動というものを通じて、様々な経験と知恵を会得させていただきました。もし、労働組合に出会わず、普通のサラリーマンとして平々凡々として25年間を過ごしてきたならば、経営者と社員の夢を一体化する重要性を、腹に落とすことはできなかったし、もしできたとしても、何倍もの時間を要したのではないかと思っております。

2016年も、労働組合と経営層という2つの立場から得た知恵とノウハウを持って、皆様の組織マネジメント改革、プラチナ社員育成を支援させていただきます。どうぞ宜しくお願い申し上げます。

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