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英文字略語の功罪:「BPR」の誤解を解きたい

鈴木純二
SPECIAL

顧客接点強化による成長型IT導入コンサルタント

ベルケンシステムズ株式会社

代表取締役 

顧客接点の強化を軸に、業績に直結するIT導入を指導するスペシャリスト。世に無駄なIT投資が横行するのと一線を画し、顧客の利便性向上、新規取引先、深耕開拓、利用促進…などを主眼に置いた、実益のIT活用と投資戦略を、各会社ごとに組み立てることで定評。

鈴木純二

とかくIT系の読み物には2文字~3文字のアルファベット略語が多用されます。海外から流入する技術や製品が多いので、横文字文化の人からすれば当然の略語がそのまま流入するわけですが、とにかく種類が多いのでIT業界の人など、毎日その略語の波に洗われている人以外の方からすると、何を言っているのかわからない、近寄りがたい、知らないとなんだかばかにされそう、というネガティブな印象を感じがちだと思います。

一方、IT業界内の人からとってみれば、バズワードを次々に開発できるマーケティング上でのメリットになっているので、新しい3文字略語を開発することは大きなチャンスに見えますし、事実それで成功している会社も人もあるわけです。

例えば、このブログのタイトルの一部である「IT」も典型的なマーケティングワードです。そもそもITを直訳すれば「情報技術」ですので、なにやらぼやっとした意味しか持ちません。しかし、世間はそれを「先進的・斬新・最先端」といった意味に捉えられるように印象操作されてしまいました。

振り返って考えてみると「IT」なる略語がはやり始めたのは1990年代後半です。それまでは、IT化などという言葉は無く「システム化」とか「ソフトウェア導入」でした。現在「IT企業」と自称他称している会社も、その当時は「ソフトハウス」とか「システム開発」といった呼び方をしていたはずです。「IT」という略語が入ってきた時、それをうまく使った企業が会社のイメージを刷新でき、世間の注目を一気に集めることができたと言えます。その典型的な例がGAFAでしょうね。それぞれ大手IT企業という言葉でくくられる前は(Fはありませんでしたが)、検索サービス、インターネット通販、パソコン屋さんだったわけですから…

前置きが長くなりました。私は昔からなるべくわかりやすく話をするため、これらの略語を使わない、もしくは使う場合は十分に説明してから使う、といった工夫をしてきたつもりですが、調子に乗って話しをしているとどうしても略語を使ってしまいがちです。IT業界では許されても、安全に関わる仕事の場合、「伝わっていなかった」では済まされませんね。

さて、その本質的意味の伝わりにくさが顕著で、これが日本のIT化を遅らせている原因ではないかと思っているのが「BPR」です。BPRはBusiness Process Re-engineeringの略称です。

これをうまく日本語に当てはめることができず、解釈する人によって「業務改革」と呼んだり、「業務を根本的に見直して再構築する」と説明したり「業務の最適化である」と唱える場合もあり、日本での説明の仕方は実にてんでばらばらです。

しかし、いずれも情報技術に関係する説明や対訳ではありません。「業務の改善や改革」を意味しているだけです。完全に企業の経営者の努力による社内改革とか業務改善活動の代名詞であり、デジタルな意味は全く持っていません。しかしIT業界でひたすら3文字で唱えられ、システム導入の目的の用語として使われてしまったが故に

 BPR = IT業界の略語

という印象が蔓延し、多くの企業経営者にとってBPRの本質を理解されぬまま20年以上も経過して日本企業のIT化を遅らせてしまった、と私は思います。Re-engineeringという英単語に対してぴったりはまる日本語単語が見当たらないことによる悲劇、と言っても良いでしょう。

当社のコンサルティングでは「成長直結型IT化」を実現することが目的となっており、BPRはその中の手法の一つでしか過ぎません。つまりBPRは目的ではなく、あくまでも企業組織があるべき姿に変革してゆくためのきっかけなのです。

誤解の無いBPRをあまねく中小企業にお伝えしたい。それによって結果的に成長に繋がるIT化を実現できるようにしたい。これがBPRという略語を巡る私の想いでもあります。

成長直結型IT導入法 5大改革セミナー(オンライン)を開催します。今回のコラムでもお話した、BPRについても織り交ぜながら、企業のIT化をきちんと成功させる、目に見える効果を出すための改革ポイントを効率よく把握できるチャンスです。詳しくはこちらをご覧ください。
 

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