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第71号:ホルムズショックでこそ自社を飛躍させる!「攻め」と「守り」の補助金・助成金6選

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ファミリービジネスコンサルタント

MKUコンサルティング

代表取締役 

グループ経営の最適化により、オーナー経営を永続的なファミリービジネスに変える専門家。
 上場・非上場の企業グループオーナーの側近として、20年以上にわたり、企業グループの設計と経営、事業会社の経営、事業会社の創業、M&A、PMI、事業会社の事業承継、事業会社の撤退を手がけてきた。
 現在は、「オーナー社長のための骨太な事業成長を実現するグループ経営の最適化」についてのコンサルティングを行っている。
1969年生まれ、慶應義塾大学商学部卒。兵庫県立大学院経営研究科卒(MBA)。

第71号:ホルムズショックでこそ自社を飛躍させる!「攻め」と「守り」の補助金・助成金6選

前回のコラムの中で、

私のもとに相談に来られた健康食品の素材メーカーを経営するオーナー社長

今回のコラムでも、その社長との相談について話を続けて参ります。


前回のコラムでお伝えした制度について、

そのオーナー社長の感想は、

「北島先生が言われる制度は全て会社が黒字であることを前提にしています!」

「当社は、今回のホルムズ海峡封鎖問題を受けて、創業当初以来初の赤字に転落します!」

「そんな状況では、補助金や助成金こそが必要なのです!」

というものでした。

そこで、今回のコラムでは、

前回のコラムでお伝えした“ホルムズショックのようなショック時にこそ活用しうる政策と税制”に引き続き、

ホルムズショックのようなショック時にこそ活用しうる補助金と助成金について、

お伝えして参ります。


なお、次回のコラムでは、

ホルムズショックのようなショック時にこそ活用しうる外部資金呼び込み策について、

お伝えして参ります。


その社長のお怒りには、確かに一理あります。
黒字を前提とした制度ばかりでは、赤字に転落しかけている会社は救えない——経営の最前線に立つオーナー社長として、当然のお気持ちだと思います。

しかし、私は、あえてこう申し上げました。
「社長、補助金や助成金は、使い方を間違えれば、補助金はかえって会社を縮めます」と。


ホルムズ海峡を巡る緊張が長期化すれば、原油や天然ガスだけでなく、
電気料金、物流費、原材料価格までもが、連鎖的に上昇してまいります。

中小企業にとって本当に怖いのは、売上が減ることではありません。
これまで利益を生んでいた商品や事業が、エネルギー価格と輸送費の上昇によって、
ある日突然、利益を生まなくなることです。


このようなとき、補助金を“国からお金をもらえる制度”とだけ考えてはいけません。
補助金欲しさに、本来必要のない設備を買い、無理な賃上げを約束し、会社の方向性まで変えてしまえば、
補助金は、かえって経営の自由を奪い、首を絞めるからです。


私が数多くのオーナー企業の現場で見てきて確信しているのは、
活用すべき補助金には条件がある、ということです。

それは、①もともと進もうとしていた方向への投資を早め、②生産性向上と収益力改善を進め、③経営判断の選択肢を増やす——この三つを満たす補助金だけを選んでいく、ということです。

では、どの制度から始めればよいのでしょうか。
今回は、ホルムズショック後に、是非とも使うべき五つの補助金と、
エンジェル税制認定企業をその申請に活かす方法を、順にお伝えします。


1 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(経済産業省・中小企業庁)

ポストホルムズでは、原油高、物流の混乱、輸入原材料の高騰によって、既存事業一本に頼る会社ほど、利益を削られます。
価格転嫁だけでは限界がまいります。

だからこそ、同じ設備、同じ技術、同じ顧客基盤を使いながら、
より原材料負担が軽く、粗利益率の高い商品やサービスを持つことが求められるのです。


この制度は、革新的な製品・サービスの開発や、新市場への進出、輸出体制の強化に必要な機械・システム、建物、広告宣伝費までを支援します。

例えば、輸入樹脂を使う部品メーカーが、自社の加工技術を活かして再生材の高付加価値製品を開発するとします。
3,000万円の設備投資に2分の1の補助金が採択されれば、実質負担は1,500万円まで下がります。

大事なのは順番です。
補助金があるから新事業を始めるのではありません。
もともと3,000万円かけて行うべき新事業を、1,500万円の自己負担で前倒しする。

そうなって初めて、ホルムズショックは、会社を縮める危機ではなく、
事業を組み替える転機に変わるのです。


2 中小企業省力化投資補助金(経済産業省・中小企業庁)

ポストホルムズでは、燃料費や仕入価格の上昇に加え、賃金上昇と人手不足が同時に進みます。
売上が同じでも、材料費・人件費・物流費が一斉に上がれば、利益は簡単に消えます。
だからこそ、単純な人減らしではなく、少ない人数でも同じ売上を維持できる生産体制が求められるのです。

この制度には、登録製品を導入する「カタログ注文型」と、現場に合わせて組み上げる「一般型」があり、自動化設備、ロボット、受発注システム、検品・搬送設備などが対象です。
補助率は原則2分の1、大幅な賃上げを行えば上限は最大1億円。

例えば、5人で受注入力・在庫確認・請求処理を行う食品卸会社が、自動発注で2人分かかっていた手間を省力化します。
2,000万円の投資に1,000万円の補助を受け、浮いた人件費800万円分を営業へ振り向ければ、これはコスト削減ではなく、売上を生む人員への配置転換となります。

ここでも原則は同じです。
補助金のために人を減らすのではありません。
20人で年商5億円だった会社を、同じ20人で6億円をつくれる仕組みへ変える。
労働生産性が2割上がれば、燃料費が1割上がっても、利益を守る余地が生まれるのです。

3 省エネ・非化石転換補助金(経済産業省・資源エネルギー庁)

ポストホルムズで、まず経営を圧迫するのは、電気代、ガス代、重油代、ガソリン代です。
工場、冷凍冷蔵倉庫、ホテル、飲食店、運送会社などでは、上がったエネルギー代を販売価格へ転嫁するまでに時間がかかり、資金繰りが先に悪化します。

だからこそ、安い電力会社を探す時間的余裕はありません。
使うエネルギーの量そのものを減らすことが求められるのです。


この制度は、高効率の空調・冷凍冷蔵設備、ボイラー、産業用モーター、ヒートポンプ、エネルギー管理システムなどへの更新を支援し、
電化・脱炭素への転換では、補助率2分の1以内、上限は数億円規模にのぼります。

例えば、年間の電気・燃料費が3,000万円の工場が、設備更新で使用量を2割減らせれば、
年600万円、5年で3,000万円の削減となります。
4,000万円の投資に2,000万円の補助を受ければ、実質負担2,000万円は約3年4か月で回収できます。


しかも、ホルムズショックが収まった後も、この削減効果は毎年残ります。
これは“守り”に見えて、実は製造原価そのものを下げる“攻め”の投資でもあるのです。


4 成長型中小企業等研究開発支援事業〔Go-Tech事業〕(経済産業省・中小企業庁)

ポストホルムズでは、これまで海外から安定して買えていた素材や部品、薬品、機械が、価格上昇や輸送遅延で手に入りにくくなります。
しかし、中小企業が一社だけで代替素材や新製法を開発するには、技術者も試験設備も研究費も足りません。

だからこそ、大学や公設試験研究機関と組み、外部の知恵を自社の事業へ取り込むことが求められるのです。

この制度は、中小企業が大学などと共同体を組み、研究開発から試作、事業化までを進める取り組みを支援します。
中小企業の補助率は3分の2以内、大型枠では3年で最大3億円。

例えば、輸入原料に頼る化学メーカーが、大学と国産の植物由来原料を開発し、
3年で9,000万円の研究費に6,000万円の補助を受けるとします。
そこで、自己負担3,000万円で輸入額を年2,000万円減らすことに成功し、
新製品で年5,000万円の売上をつくれば、海外の供給網に左右されない収益源を持てるのです。


5 事業承継・M&A補助金(経済産業省・中小企業庁)

ポストホルムズでは、燃料費や原材料費の上昇で、単独では事業を続けにくくなる会社が増えます。

その一方で、顧客も、技術者も、設備も、許認可も持ちながら、後継者不足で廃業を考える会社もあります。
だからこそ、ゼロからつくるのではなく、必要な事業を買い、不要な事業を譲り、企業グループ全体を組み替えることが求められるのです。

この制度は、親族内・従業員への承継や、M&Aの仲介手数料、財務・法務調査、企業価値評価、統合後の投資、廃業費用までを支援し、
枠によっては最大2,000万円規模の支援が受けられます。

例えば、物流費の上昇に悩む食品会社が、近隣の加工会社を買収し、製造と配送を自社に取り込む。
手数料や調査、統合に2,000万円かかり、うち1,000万円の補助を受けられれば、外注加工費と物流費を年1,500万円削減でき、実質負担1,000万円は1年以内に回収できます。

ここでも、補助金を使うためにM&Aを行うのではありません。
自社だけでは持てなかった技術・設備・人材・商圏を、補助金の力で早くグループへ取り込む。
これこそが、正しい順番なのです。


大事なことなので、もう一度お伝えします。
ここまでの五つの制度は、どれも“お金をもらう制度”ではありません。
会社が本来進むべき方向へ、少し早く踏み出すための“時間を買う制度”なのです。


6 エンジェル税制認定企業の申請書類を、補助金申請へ横展開する

最後に、私が最も価値を感じている使い方をお伝えします。
ポストホルムズでは、新事業を立ち上げようとしても、原材料高、設備費高騰、金利上昇が重なり、計画づくりの段階で止まる会社が増えます。
しかも、補助金ごとに別々の計画書を一から作っていては、オーナー社長の貴重な時間が、申請作業に奪われてしまうのです。


ここで活きるのが、エンジェル税制認定企業です。
自社グループの中に、エンジェル税制の事前確認を受けた会社が一社あれば、その申請でつくった事業計画、新規性、市場規模、競争優位性、売上計画、資金の使いみち、成長シナリオが、そのまま補助金申請の土台になります。
何故なら、エンジェル税制認定企業そのものが、国が支援したい“創造的な事業活動”そのものだからです。


オーナー社長ご自身が設立に関わったエンジェル税制認定企業があれば、
日々整えるべき資料に少し手を加えるだけで、
新事業進出補助金では新規性・市場性の計画へ、
省力化補助金では人員・売上計画へ、
Go-Tech事業では研究開発計画へと、次々に転用できます。

例えば、五つの申請書を一から作れば一件50時間、五件で250時間かかります。
しかし、エンジェル税制の申請書を共通の母体とし、各制度向けに20時間ずつ手直しすれば、作業は100時間で済み、150時間を削減できるのです。

つまり、エンジェル税制認定企業の申請書類は、一度きりの提出書類ではありません。
補助金にも、助成金にも、外部資本にも、金融機関への説明にも使い回せる、“新規事業の設計図”なのです。
その本当の価値は、税の優遇だけではありません。
国が支援したい新規性・成長性・社会性を言葉にして蓄えた“運営管理自体”こそが、
資金を生み出す資産となり、“永続不滅のファミリービジネス群”を築く土台になるのです。


補助金は、会社の進路を決めるものではありません。

今回ご紹介した制度は、いずれも、会社に新しい義務を負わせ、

経営判断を縛ることを目的とした制度ではありません。


会社が本来行うべき経営判断を、国の資金を使って前倒しし、

生産性向上と収益力改善を図り、将来の躍進へと備える制度こそが、

オーナー経営が採用しうる補助金や助成金と言えるのです。


補助金ありきで会社の方向を決めれば、

補助金が終わった後に、使わない設備と守れない計画だけが残ります。


反対に、会社が進むべき方向を先に決め、

その途中に使える補助金を当てはめれば、

補助金は経営の自由を奪うものではなく、

経営の可能性を広げる資金になります。


ポストホルムズで強くなる会社とは、

原材料高やエネルギー高に耐えられる会社ではありません。


常日頃から、生産性向上と収益力改善に向き合い、

環境が変わったときに、事業、設備、技術、人員、企業グループを素早く組み替えられる方向性を持っている会社です。


補助金とは、そうしたオーナー経営が、ショック後の立ち直りを躍進に変えるため、

その組み替えに必要な時間と資金を、国に一部負担してもらう制度なのです。


なお、本コラムでお伝えした内容、

エンジェル税制認定企業を補助金・助成金と両立した戦略について、

さらに詳しく知りたい方は、ぜひ下記よりお問い合わせください。

https://www.mku-consulting.com/maximuminc/

 

一人でも多くのオーナー社長が、

ホルムズショックという危機を飛躍の契機へと変え、

エンジェル税制と補助金・助成金を両立しながら、
永続不滅のファミリービジネス群を構築されますことを、心より願っております。

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