透明資産経営|なぜ、何でも数値化する会社ほど、大切なものを見失うのか?
こんにちは!企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。
透明資産とは、業績に影響する「空気感」を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた透明資産経営は、お客様との絆が深まり、従業同士の信頼関係が築きあげられ、商品・サービスの独自性が強化されます。そして、持続的成長につながる経営の仕組です。
ー数字で管理できるものだけが、大切なものだと思っていませんか
思い浮かべてみてください。あなたが、会社の状態を把握しようとするとき、真っ先に目を向けるものを。売上、利益、達成率。客数、単価、稼働率。──こうした数字を並べ、前月と比べ、目標と照らし合わせる。数字で見えれば、管理できる。管理できれば、改善できる。だから、あらゆるものを数値化し、指標で追いかける。それは、経営者として、実に理にかなった姿勢に見えます。
けれど、ここで一つ、静かに問わせてください。あなたが日々見つめているその数字は、あなたの会社の「すべて」を、映しているでしょうか。それとも、「数字にできる一部」だけを、映しているのでしょうか。──もし、後者かもしれないと感じたなら、その感覚は、とても大切です。なぜなら、何でも数値化しようとする会社ほど、数字にできない、けれど最も大切なものを、静かに見失っていくからです。
ー数字にできるものと、会社を支えるものは、一致しない
なぜ、数値化を突き詰めるほど、大切なものを見失うのか。ここに、この連載だからこそお伝えしたい、経営の盲点があります。数字で測れるものと、会社を本当に支えているものは、実は、大きくずれている、ということです。考えてみてください。あなたの会社を支えているものは、何でしょうか。お客様との、長年の信頼。社員同士の、助け合う関係。お客様を思う、社員一人ひとりの心。現場に流れる、前向きな空気。──こうした、会社の土台となっているものは、どれも、数字にはできません。信頼を、点数で表すことはできない。空気を、グラフにすることはできない。つまり、会社を最も深いところで支えているものほど、数値化から、こぼれ落ちてしまうのです。
普通の経営者なら、「測れないものは、管理のしようがない。だから、数字を追うのだ」と考えるでしょう。しかし、透明資産の視点は、ここで警鐘を鳴らします。測れないからと、それを軽んじ、測れるものばかりを追いかけていると、いつの間にか、「数字にできるものだけが、大切だ」という錯覚に陥る。そして、数字にできない、本当に大切なものを、知らぬ間に、後回しにし、すり減らしていくのです。さらに恐ろしいのは、数字を追い立てることそのものが、数字にできない空気を、破壊していくことです。数字を厳しく管理すればするほど、社員は数字に追われ、お客様を思う心の余裕を失う。数字という「見える結果」を追うほど、その結果を生み出していた「見えない空気」が、痩せていく。何でも数値化する会社が大切なものを見失うのは、偶然ではなく、必然なのです。
ー数値化がすり減らす、3つの見えない土台
数字を追うことが、どんな見えない土台をすり減らすのか。三つお伝えします。
1つ目の土台は、「お客様を思う心」です。「一日の対応件数」を数字で追われると、社員は、一件一件を早く終わらせることに、意識を奪われます。目の前のお客様に、じっくり向き合う余裕が消える。数字は上がっても、お客様を思う心という、最も大切な土台が、静かにすり減っていくのです。
2つ目の土台は、「社員同士の助け合い」です。個人の成績を数字で競わせると、社員は、自分の数字を優先し、仲間を助けなくなります。助けている暇があれば、自分の数字を上げたい。数字の管理が、助け合いという、目に見えない信頼の土台を、壊していくのです。
3つ目の土台は、「数字にならない良い仕事」です。お客様への、ちょっとした心づかい。後輩への、さりげないフォロー。──こうした、数字には表れないけれど、会社の空気を支えている良い行いは、数値化されないがゆえに、評価されず、報われません。評価されないものは、やがて、誰もやらなくなる。数字が、良い空気を、静かに追い出していくのです。
ー数字の外側にある空気に、目を向ける
会社が、大切なものを守れるか、見失うかを分けるのは、数値化の精度ではなく、数字にできない空気にも、きちんと目を向けられているかどうかです。数字という結果を追うだけでなく、その結果を生む、見えない空気を見ているか。信頼や、助け合いや、お客様を思う心といった、測れない土台を、大切に扱えているか。何でも数値化しようとするのは、測れるものにとらわれ、測れない空気を、見失いかけているサインです。数字の外側にある空気にも目を向けてはじめて、会社は、本当に大切なものを、守れるのです。
ー数字を見る前に、空気を感じてみる
では、経営者は、何を変えればいいのか。数字を捨てることではありません。数字と、数字にできない空気を、両方見ることです。まず、数字の報告を受ける前に、現場に立ち、その場の空気を、肌で感じてみてください。社員の表情、お客様との関わり、フロアの温度。数字には表れない、生の空気を、まず掴む。次に、数字にならない良い行いを、意識して見つけ、はっきりと認める。心づかいや、助け合いを、評価の中に、きちんと位置づける。そして、数字を追うことが、大切な空気をすり減らしていないか、常に問い直す。──こうして数字の外に目を向け始めたあなたは、数字の陰で見失いかけていた、本当の土台を、守り始めているのです。
ーその数字は、大切なものを、映していますか
最後に、お伝えしたいことがあります。会社を本当に支えているものは、たいてい、数字にできないところにあり、数値化に頼りきる会社ほど、その大切なものを、静かに見失っていくということです。思い浮かべてみてください。あなたが日々追いかけている数字は、お客様との信頼や、社員同士の絆や、現場の空気を、映しているでしょうか。それとも、それらは、あなたの管理の視界の外で、数字にならないまま、静かにすり減っていないでしょうか。もし、数字ばかりを見つめてきたと気づいたなら、それは、目を向ける先を、少し変えるべき合図です。
このコラムを読み終えたあなたは、次に数字の報告書を開くその前に、ふと、現場の空気に意識が向くはずです。そして、数字を追う手を少し止めて、その数字の裏で流れている空気を、感じにいく自分の姿が、もう浮かんでいるのではないでしょうか。数字と、数字にできない空気を、両方見る。それが、大切なものを見失わないための、最も確実で、最も静かな一手なのです。
ー勝田耕司
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