ヒットにつながる「世界観」のつくり方

  商品リニューアル 古崎千穂 SPECIAL
古崎千穂 SPECIAL

商品リニューアルコンサルティング

りぼんコンサルティング 代表 古崎千穂

商品リニューアルに特化した専門コンサルタント。「商品リニューアルこそ、中小企業にとって真の経営戦略である」という信念のもと、商品の「蘇らせ」「再活性化」「新展開」…など、事業戦略にまで高める独自の手法に、多くの経営者から注目を集める第一人者。常にマーケティング目線によって描きだされるリニューアル戦略は、ユニークかつ唯一無二の価値を提供することで定評。1969 年生まれ、日本大学芸術学部文芸学科卒。


さまざまな地域でいま2020年の東京オリンピックに向けて整備が進んでいます。

インフラだけでなく、たとえば「地域ブランディング」という言葉で表される「地域の魅力づくり」とそれをアウトプットした各種プロモーションツールなども再編されています。

わたくしへの案件も「東京五輪」に照準を当てた内容が増えています。「オリンピック商品にどうリニューアルしたら売れるでしょうか?」や「オリンピック用に東京風にデザインをアレンジしたいと考えている。どうしたらいいか?」とアドバイスを求められることもあります。

メーカーの現場で常に商品プロデュースと関わってまいりました。また一人の生活者として家庭を持ち、コンサルティングでは常にそのバランスに注力しています。当然、弊社独自の「商品リニューアルにおける分析法」を体系化しております。こうした手法は新しいことではなく、例えば、1907年ミラノ生まれのプロダクトデザイナーでありグラフィックデザイナーでもあるブルーノ・ムナーリ氏の「モノからモノが生まれる 」※ の中で提言された分析表など、後世に多くの影響を遺しています。

「モノからモノが生まれる 」が生まれるは1981年に書かれ、ムナーリ氏最後の著書です。原書原題は「企画の方法論のための覚え書」。この中でムナーリ氏が提唱する「分析法」は工業製品の分析を指しています。すべてその観点からその製品の長所と短所を知ることができる、と提言。それぞれの観るべきポイントについての詳細は原典に当たっていただくとして、御社の商品戦略において、以下のような分析観点があるかどうか、不足していないかなど検証として役立つので抜粋いたします。

「ムナーリによる分析表」

  • モノの名称
  • 作者
  • 製造者
  • 大きさ
  • 素材
  • 重さ
  • 技術
  • 費用
  • 梱包
  • 謳われた用途
  • 機能性
  • 維持管理
  • 人間工学
  • 仕上げ
  • 操作性
  • 耐久性
  • 毒性
  • 美観
  • 流行、スタイリング
  • 社会的価値 
  • 本質性
  • 前例

以上の23項目に及ぶ分析観点です。商品リニューアルにおける分析においても同源で、わたくしはこれらの観点を「商品サービスの世界観づくり」と定義づけています。

さて、この項目をどうお感じになりますでしょうか。この着眼が非常に大事です。この項目から作り手が感じなければならないことは、たった1つだけです。

「商品サービスとはしっかりと考えた尽くされた上で世に送り出すもの」ということです。

どんなに時代が変わっても、商品サービスを世の中に送り出すということは「考えぬく」ことが問われています。残酷にも消費者たちは、視た瞬間に、個人的好みで「いいね」とか「あんまり良くないね」とか「〇〇に似ている」というだけです。直感で判断し、買ったり買わなかったりしています。その事実の理由を検証するために分析項目の確認が必要となります。

ある経営者様が「先生聞いてよ、インターネットで商品のマークを依頼したら1日で30件の提案があってね、しかもデザイナーに頼む価格の10分の1! 今やデザインも安く早く手に入る時代になったんですね」と教えてくださいました。

もしもこの方が、上記のような分析観点を知っていたらどうでしょうか。「スピード納期」に対して違和感を感じるはずなのです。いったい自社商品に対して「どこまで考えてくれたのか。ちゃんと考えた仕事なのか」と。

想像してみてください。わずか1日24時間で考えられる「範囲」と「深度」がどの程度のものか。さらにそこからデザインに落とし込む時間を考えれば、24時間で出来上がってくるデザインは「何も考えていません、作業しただけです」と明言しているようなものです。少なくとも「考える」を徹底的に取り組んだことがある人なら共感していただけると思います。

むずかしいことなど何一つありません。

どんな商品サービスも「よく考えてつくる」、それだけのことです。

それは通常の主力商品であっても、催事商品であっても、オリンピック商品であっても同じです。東京であっても、北海道であっても、海外であっても同じです。商品リニューアルの視点で、分析基準を用いながら、新しい「世界観づくり」をしっかりとすること。これ以外に近道はありません

「安く早く楽に」での勝負にかけているとすれば話は別ですが、今や中小企業においては不毛な戦いであることは常識です。真逆の「しっかりと考える」を推し進め、その価値をアウトプットしてゆかなければなりません。そう考えてゆけば、冒頭のご質問のように「〇〇風」などありえない。また、オリンピックなどの図案を組み合わせただけの突貫工事ではヒットしません。

考え方=世界観の再定義をしましょう。商品リニューアルの一歩であり、これがヒットへの入口でもあり、次のステージへ行くための「出口」となります。視点をあげれば、御社の魅力を考えることは、地域の魅力を考えることです。地域の魅力を考えることは日本を考えることです。日本を考えることは、果たして「世界へ」とつながってゆきます。

伝えたいことがあるのか、ないのか。

商品は語りかけているか、誰に語りかけているのか。

伝えているか、伝えきれているのか。

世界観のリニューアルは一朝一夕で体得することはできません。

社長! 6ヶ月間じっくりと、一緒に取り組んでまいりましょう!

※参考文献「モノからモノが生まれる」ブルーノ・ムナーリ著/みすず書房/萱野有美訳

 


【社長直轄】商品リニューアルの着眼点
古崎千穂

商品リニューアルコンサルティング

りぼんコンサルティング代表

古崎千穂

執筆者のWebサイトはこちら https://rbnc.jp/

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