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顧客アンケートや口コミ要望にどこまで応えるか?

  ホスピタリティビジネス 船坂光弘 SPECIAL
船坂光弘 SPECIAL

ホスピタリティビジネスコンサルタント

ザ・ホスピタリティチーム株式会社 代表取締役 船坂光弘

「お金になるホスピタリティビジネス」構築の専門コンサルタント。ホテルやウェディングビジネスのみならず、異業種のホスピタリティを軸とした新ビジネス立ち上げも指導。

最近、あるサービス関連の経営者から、

「顧客アンケートや口コミのお客様の要望にどこまで応えれば良いのか?」という質問をいただきました。

どこでも実施している顧客アンケートや、飲食、宿泊等の口コミ投稿、そこには貴重な顧客からの要望が書かれています。

その要望に対して、どこまで応えれば良いのでしょうか?

その顧客からのリクエストは多岐に亘ります。

例えばビジネスホテルであれば、

  • 入浴剤が欲しかった
  • 女性用のアメニティを入れて欲しい
  • 枕の種類を選びたい
  • 何故、何度利用しても住所を書かなければいけないのか

など多岐に亘ります。

これらの要望の全てに応えていたのではキリがありません。

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先日、ある地方の高級旅館でこのような事がありました。

その旅館は、地方の山奥にある一軒宿で、携帯電話も繋がらない自然の中で、温泉と美味しい料理で日常を忘れてゆっくり休んでいただくというのが売りの旅館でした。

それが時代と共に、顧客のニーズにも応える為に携帯電話が繋がるようにしたり、客室のアメニティ等も都内の外資系ホテルに負けないくらい充実させてきました。

その結果としてリピーター率が下がったのです。

旅館サイドとしては、顧客の声に耳を傾け、そのニーズを拾い改善を繰り返してきたにも関わらず、結果的にコアなファンを逃してしまったという結果になってしまいました。

この事例からも分かるように、顧客のニーズに応えることが必ずしも正解とは限らないということです。

私は、このような時に考え方としてお勧めしているのが、

「顧客ニーズ呼応型」から「この指止まれ型」への転換です。

これは、前述の旅館のように顧客ニーズに応えることを優先するのではなく、自社の考え方、ポリシーに共感して利用していただく、つまり「この指に止まってくれる」顧客を大切に経営するという考え方です。

事例を挙げさせていただくと、

ビジネスホテル大手のスーパーホテルは、お客様にゆっくり休んでいただく「眠り」を大切にしています。

従って、部屋に入ると靴を脱いでスリッパに履き替えてリラックスできたり、部屋の照明も暗めで、ベッドにもこだわっていて、ゆっくり眠っていただくような配慮がされています。

しかし、私のように部屋で仕事をしたい人には暗いし、デスクも小さく不向きです。

これを私のようなビジネスマンが「部屋で仕事をしたいので照明を明るくして欲しい」とリクエストして、それに応えてしまったら、スーパーホテルとして「ゆっくり眠っていただく」という大切な価値観を失ってしまいます。

もうひとつ例を挙げさせていただくと、

遊べる本屋「ヴィレッジヴァンガード」

今までの本屋の常識を覆した、品揃え、見ているだけで楽しいPOPなど、他には無い「遊べる本屋」というコンセプトで急成長をしました。

その社長の起業時の想いは「多くの人に好かれるより、一部の熱狂的な人に愛される店にしたい。」だそうです。

まさに、「この指止まれ」経営です。

しかし、結果的にヴィレッジヴァンガードは上場していますので、最初は熱狂的なファンに支えられていた時代から、そのポリシーを貫くと、新たなポジションを確立して多くの人から愛されるということを実証した事例です。

このような事例からも分かるように、アンケートや口コミをそのまま鵜呑みにして、全てリクエストに応えようとするのではなく、自社の軸、すなわち、コンセプトやポリシーに照らし合わせて判断することが重要であり、それにはお客様の期待とのミスマッチが起きないように、自社のコンセプトを明確にしてアピールしていく必要もあります。

特に、サービス業界はコモディティ化が進み、差別化が困難な時代に突入しております。

従って、差別化困難=価格訴求となり、安売りに走る企業も多くみられます。

ここで、自社をもう一度見つめ直し、自社が何をもって顧客に「この指止まってもらうか」を考える必要があります。

あなたの会社は、お客様にどんな価値を提供してこの指に止まってもらいますか?

 

【経営コラム】ホスピタリティで新ビジネスを生み出す視点
船坂光弘

ホスピタリティビジネスコンサルタント

ザ・ホスピタリティチーム株式会社代表取締役

船坂光弘

執筆者のWebサイトはこちら http://www.thehospitalityteam.jp/

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