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リニューアルを成功に導く商品サービス改善のポイント

SPECIAL

商品リニューアルコンサルタント

株式会社りぼんコンサルティング

代表取締役 

商品リニューアルに特化した専門コンサルタント。「商品リニューアルこそ、中小企業にとって真の経営戦略である」という信念のもと、商品の「蘇らせ」「再活性化」「新展開」…など、事業戦略にまで高める独自の手法に、多くの経営者から注目を集める第一人者。常にマーケティング目線によって描きだされるリニューアル戦略は、ユニークかつ唯一無二の価値を提供することで定評。1969 年生まれ、日本大学芸術学部文芸学科卒。

商品サービスが売れるか売れないか。それは、お客様のニーズ=需要、そしてベネフィット=便益をつかんでいるかどうかだ、ということが常識とされています。

商品サービスを見るときにもう一つの大事な視点があります。それは「商品サービスとは経営者の作品である」ということです。あえて「作品」と書いたのは皮肉ではありません。創業の原点を振り返れば、経営者は「無」から生み出し、わが子を一人前にするべく手塩にかけて育ておられるのではないでしょうか。老舗であれば世代を越えて受け継いでゆくわけです。「商いの品」である以前に、ゼロの状態から作りだした渾身の品、作品である。胸の内にはそうした誇りを持っておられるはずです。ゆえに、商品リニューアルにおける最も大事なポイントはマーケティング的な手法やブランディング、商品開発手法でもない。ずばり「経営者の考え方」と提言しております。

先日、朝の情報番組で「&HAND(アンドハンド)」というアプリが紹介されていました。まだ試作段階です。LINE株式会社が開発した無料アプリ。&HANDは、電車内で席を譲りたい人と譲ってほしい人のマッチングアプリケーションです。一週間のテストマーケティングを実施するそうですが、テスト対象は妊婦さん。スマートフォンの画面には車内の座席表が表示され、希望の席をリクエストしたり、チェックボックスに自身の体調をチェックすることができる。希望を伝えて、妊婦さんに席を譲りたい人とスマートホンでチャットすることができるそうです。社長の皆様が、これを単なるニュースとして受け止めて流すか、自社の商品サービスに引きつけて思考できるか、ここが商品リニューアル戦略、成功の分かれ道です。

このニュースを見聞きした時に、頭の中でどういう言葉が浮かびますでしょうか。

 「何もわざわざ、スマホでコミュニケーションすることないのにね」

 「目の前にそういう人がいるかどうか見ればわかるでしょ」

 「人と人とのコミュニケーションが希薄なんだね」

 「直接、声かければいいよね」等々・・・あたりではないでしょうか。

では、実際の当事者心理にフォーカスしてみます。席を譲りたいと思っている側は、以下のようにインタビューで応えていました。

 「妊婦さんなのかそうでないのか判断しにくい」

 「声をかけて違ったら気まずい

 「席を譲りたいと思っているけど気恥ずかしい

一方、席を譲ってほしい妊婦さんたちは、次のように話していました。

 「席を譲ってほしいってことを、さりげなくアピールできてすごく便利」

 「体調が悪い時でも、席を譲ってくださいとは言いにくい」

 「気づいてほしいなーと思っていても言えないからいいアイデア」

気恥ずかしい、さりげなくしたい、思っていても言えない・・・、そんな若者世代の顔が見えてくるリポートです。&HANDはそうした心理の受け皿となり、スマートホンを媒介にしてコミュニケーションが変わることを示唆しています。実際に被験者たちは、双方が笑顔になっていて「マッチングのアイデアがいい」「すごく便利」「ありがたい」「こういうアプリはすごくいい」と好感触です。

こうした小さなコミュニケーションの変化がやがて人の心の変化を生みます。もしも社長が自分の考え方中心で「今の若い人は意思疎通が下手なんだね!」と一刀両断した瞬間、思考停止となり、何の発見も進歩もありません。着眼を変えない限り、新聞雑誌を読んだり、トレンドをネットリサーチしたり、活況だと言われているマーケットの視察をすることも時間の無駄です。

経営計画にはじまり、資金運用と調達、内部体制の確立、環境整備、商品開発、マーケティング、セールス、人材育成…。商品サービ周辺では、市場戦略としてインバウンド需要、ネット通販需要などにも対応されるなど、積極的に手を打たれてきた皆様がほとんどだと思います。更に、時間とお金をかけて会社の一歩外へ出、勉強会やセミナー、マーケット見学研修等々、情報収集に努力を重ねておられます。それでも業績が上がらない。インバウンド施策も蓋を開ければ、訪日客は日本の主たる地域に集中し地元には来ない…そのようなため息も色々な方面から聞こえてきます。ネット活用においては、インフルエンサーや〇〇映えも一年後は古く感じるはずですし、今ヒットしているものには斜陽の予兆も出ていると見るべきです。

核。ビジネスの核、それは商品サービスに他なりません。コアの源は何か。100年、200年続く老舗企業で業績の良い会社はそれをしっかり掴み、柔らかく変容しながら変わらない経営戦略で攻めています。昨日とは違う今日の現象を見つけた時、翻って自社の商品サービスはどうなっているかをしっかりと考えなくてはいけません。今を生きる人たちに自社商品サービスの本質がきちんと伝わっているのか。伝わっていないのか。目新しいノウハウに逃げないで、ご自身の考え方を点検する姿勢こそが必要不可欠です。

今年も終わりに近づいてきました。年末になると様々な方面で来年の計画策定が叫ばれます。経営者がみるべきは、人の心の変化、そしてご自身の考え方です。今現在の頭の中を整理した計画づくり、その延長線上に進むべき未来はありません。時代が、日々が大きく変わっています。一歩前に出るためには、計画をはみ出す未来があることに畏れを感じることです。それは経営者として目の前の出来事に謙虚になることに他なりません。

今ここからこの時から、コアを再定義した商品サービスを引っさげ新しい道を作ってゆきましょう。前にも後ろにも道はありません。あるのは、社長が踏み出すその一歩です。

 

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