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社長の「赤字」の考え方で分かれる成功と失敗

  ダイヤモンド財務 舘野愛 SPECIAL

当社は、同族会社と社長の財産管理(お金が残る仕組みづくり)実務の専門機関なので、実に、様々な会社経営にまつわるお金の相談ごとが寄せられます。自ら会社を創業したオーナー社長さんもいらっしゃれば、二代目・三代目・四代目社長などの後継社長さんもいらっしゃいます。

後継社長さんの場合は、創業社長さんと違って、最初からたくさんの資産や負債・従業員や取引先を背負っての船出になります。世間一般からすると、後継社長さんは羨望のまなざしで見られることが多いのかもしれませんが、後継社長さん方のコトバを借りれば、地元ではいつも「〇〇さんとこのお坊ちゃん」と言われてとても窮屈に感じたり、親からは「お前が会社の跡を継ぐんだぞ」と言われたり、様々なご苦労を見聞きします。

どのような経緯があるにせよ、一度社長に就任したのであれば、社員や家族を守るために最善を尽くさなければならないのはいうまでもありませんが、実は、後継社長にとって最も難易度が高く、そして社長経験が浅い段階で「乗り越えなければならない壁」というものが存在します。

上手に乗り越えた後継社長と、壁の前を右往左往している後継社長とでは、5年後10年後の未来が大きく変わってきます。

強く永く続く会社づくりに成功している社長は、全ての思考を「未来」から逆算して考えます。「5年後の自分の会社の姿」「10年後の自分の会社の姿」を数字で明確に描き、それに必要な「投資」を積極的に行います。

また「収益に貢献しない資産」や「改善の見込みがない赤字事業」、「基本的なルールを無視する古参社員」などを「手放す勇気」を持っています。非常にシンプルなことのようですが、イザその立場に置かれてみると「情」が邪魔をして、なかなか「手放せない」「決められない」ということになりがちです。

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ここで「手放す勇気」を持てる社長と持てない社長とでは待ち受ける未来が大きく変わるのですが、ここであえて「捨てる」という表現ではなく「手放す勇気」としたのには、理由があります。

「手放す勇気」の根底には、社長としての「覚悟」や「腹の括り」が不可欠だからです。少なくとも「自分は好きで社長になったわけじゃない…」「親に言われて仕方なく社長になった…」と思っている段階では、どう考えても「手放す勇気」を持てないはずです。

その一方で、なかなか苦しい状況から抜け出せない社長は、全ての思考を「過去」の延長線上で考えます。過去の前年対比だけで「今年は、売上が増えた」「今年は、売上が減った」と、ただただ過去と比較して見比べます。赤字が出た場合は、経費削減・コストカットなどの小手先の対処療法で解決しようとします。

そもそもの経営目標が「現状維持」のため、前向きな投資を嫌がる傾向にあります。むしろ「利益が減ってしまう」「売上を増やさないと投資できない」と考えるのです。前向きな投資というものは、投資した直後だけでなく、3年・5年などの中長期で自社に還元されるものです。多くの場合は売上自体の問題ではなく、財務構造自体に問題があるのですが、その本質に気付けないため、何年も何年も同じことで悩み続けることになります。

「過去思考」から抜け出せず、また「現状維持」を経営の目標にしていたのでは前向きな投資に関する正しい考え方が磨かれず、さらに「負」の資産を手放す勇気が持てないままです。ひどい場合は「負」の資産から垂れ流されている赤字を埋めるために売上だけを追い求めるようになります。そうなれば、次第に人も組織も疲弊していきますし、資金だって枯渇していきます。

ダイヤモンド財務®コンサルタント
 舘野 愛

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