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組織を駄目にする社長の思考

  キラーサービス(特別対応の標準化) 中川洋一 SPECIAL
中川洋一 SPECIAL

キラーサービス(特別対応の標準化)コンサルタント

株式会社キラーサービス研究所 代表取締役 中川洋一

経営革新コンサルタント。特別対応を標準化することで、ライバル不在で儲かる、「特注ビジネス」づくりの専門家。倒産状態に陥った企業の経営再建から、成長企業の新規事業立ち上げまで、様々なステージにある数多くの企業を支援。イレギュラー対応を仕組みで廻して独自の市場をつくりだす画期的手法に、多くの経営者から絶大な評価を集める注目のコンサルタント。

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「うちの社員ではそれは難しいと思います。」―――経営者に対して何か新しいことを提案したときに、このような反応があることも多いです。

確かに「戦略は組織に従う」との表現もあるとおり、戦略オプションの自由度はその実行の担い手である社員の能力に応じて制限されるという考え方はあります。

また、自社の社員に負荷をかけすぎない配慮も感じられ、昨今叫ばれている「社員を大切にする経営」ともマッチしているようにも見えます。

しかし結論から言うと、このような考えはむしろ会社も社員も駄目にします。

それはなぜか。

そもそも手順として、会社や事業の戦略を考えるときに現状がどうかということを出発点として考えること自体が戦略思考ではないと言えます。

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戦略思考とは逆算思考です。

まず最初に考えるべきは、「自社のあるべき姿」です。「できあがりの姿」と言ってもいいでしょう。たとえば3年後といった時間軸の中で、会社がどうなっているべきか、そのとき市場では自社はどのようなポジションを取っているか、といった自社のキャラクターやポジショニングのゴールをまずは設定するということです。

もちろんこれは「3年後に売上〇億円達成!」といった単なる数値目標(願望)というものではありません。市場の動向や競合の動きを考慮すると、3年後には自社はこういうことをやれていないといけない。こういう事業になってないといけない、という自社のあり方です。

そして、その自社のあり方には、当然ながら組織のあり方も含まれます。これで一丁上がり!という「あるべき姿」になった暁には、組織体制はどうなっていて、社員数は何人いて、そして彼らはどのような能力を有している必要があるのか。

そういった将来のゴールイメージを明確にもった上で、では現状はどうかと見てみる。このあるべき姿と比較して現状はどのレベルにあるのか、どれほどのギャップがあるのかを見極める。

このように、何か(ここでは3年後のゴール)と比較して、あるもの(ここでは自社の現状)を分析するというのがポイントです。ものの価値というのは、そのものだけを見ていても決まりません。あるものの価値は同じ階層の他のものとの比較でしか決まらないのです。

このように、3年後の姿を描き、そこから逆算して2年後、1年後のマイルストーンを置く。そして現状から考えると、そのマイルストーン達成のためにどんな打ち手をとる必要があるかを考えていく。これが逆算思考であり、戦略的に経営をしている経営者は普通にやっていることです。

このようにゴールが見えていて逆算思考ができる経営者は、戦略の打ち手についても自由度をもって柔軟に考えます。たとえば3年でいまの社員をあるべき姿まで育てあげることは難しいと判断した場合は、できる人間を雇う、できる外部業者に任せる、あるいはすでにできている事業を買う、といった選択肢を普通に考えますし、そこに「いまの社員でやりたい」「自分で育てない」といった実存的な感情は張り付いていません。

つまり、ゴール達成があくまで第一義であって、「いまの社員(の能力)」から発想することはない。

ではこの姿勢が「いまの社員」にとってよくないかというとそうではなく、このようにゴールから逆算する思考プロセスそのものが社員の視点を上げることにつながりますし、背伸びしたゴールへ向かうことから生まれる緊張感や熱といったものが、社員を成長に向かわせることになります。

それに対し、「うちの社員の実力」から発想する考え方は、逆算思考に対して「積み上げ思考」と言えます。つまり、いまよりも良くしていこう、改善していこうという発想です。

積み上げ思考をする経営者というのは結局視点が低いですから、遠くを見れない。つまり、現状の問題点に常にフォーカスし、その解決にひっきりなしになる。また、ゴールを設定するとしてもせいぜい1年先の目標、あるいはそれを単に引っ張っただけの3年の売上利益目標といったものになってしまう。

そしてこういう経営者が言うところの「うちの社員の実力」というのは、評価する上での比較対象となる基準がその「自分(経営者自身)」ということになりますから、自分と比べて大きく差がある社員に対して感情的になったり、あきらめの気持ちしか持てなかったり、ということになります。

社員はよくも悪くも経営トップの視点を見ているものですし、それに大きく影響されます。社長が足元の現状ばかり見ていると、社員も必然的にそうなりますし、社長が現状の組織や社員の実力に対してある種あきらめの意識をもっているとしたら、社員も自分たちのことをそう考えてしまうということです。

そして、こういった、常に足元の現状ばかり見る組織というのはたいていの場合雰囲気が良くないですし、ゴールが決まっていないために進む方向も分散し、結果、バタバタ忙しい割には会社がステージアップしていかないということになります。

人は「成長」を求める生き物です。社員が会社に求めるものも同じです。そしてその成長意欲を引き出すのは経営トップたる社長の役目です。つまり、社長がどこを目指しているかで社員の成長度合いも決まるということです。

社員の力を100%引き出すためにも、社長自ら逆算思考、そしてゴール達成への覚悟を示し、彼らを導いていきましょう。

 

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儲かるキラーサービスを つくる社長の視点
中川洋一

キラーサービス(特別対応の標準化)コンサルタント

株式会社キラーサービス研究所代表取締役

中川洋一

執筆者のWebサイトはこちら http://ksli.co.jp/

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