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社員に意見を求めすぎる会社は、忙しい割に儲かっていない。その理由は?

2020年1月16日 年商10億事業構築 矢田祐二 SPECIAL
SPECIAL

年商10億事業構築コンサルタント

株式会社ワイズサービス・コンサルティング 代表取締役 矢田祐二

指導暦18年、これまでに200社以上の実務コンサルティング実績を持つ経営コンサルタント。「10億円事業構築」に強みを持ち、直近5年では、導入後数年で年商数億が10億越えをした企業は20社以上と驚くべき成果を出している。

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N社の出来たばかりの単年度目標を拝見します。そのシートには、沢山の「目標」が書かれています。

私は、N社長にお聞きしました。
「社員に意見を求めちゃいましたか?」

N社長はバツが悪そうに答えます。
「はい。聞いちゃいました。」

私は、念を押しておりました。「社員に意見を求めてはいけませんよ。」と。これが、N社長の良い所であり、悪い所なのです。


社長、部長、課長、主任、作業層と縦の分業をしています。この縦の分業を言い換えると、『時間の長さ』の分担となります。
役割とは、「今の時点から未来へのスパン」の分担なのです。組織の中で、階層が上にいくほど、受け持つ時間は長くなります。そして、下に行くほど短くなります。

社長は、長期すなわち3年以上先を受け持つことになります。時代の流れを読み、変革の意思決定を行います。部長は、中期すなわち3年から2年というスパンになります。会社として決定した方針を実現していきます。

課長は、2年から1年という短期。そして、主任は1年から数か月。作業層は、1、2か月から数日間を担うことになります。

そして、それぞれの役割を支えるための仕組みを整備します。各役割が、その役目を全うするためには、仕組みの助けが必要です。経営計画書、行動計画、方針書、案件管理表、マニュアル、これらすべては、各役割が「時間」を担えるようにするために、存在しています。

其々の仕組みが適切に整備されないと、名ばかりの管理者や考えない社員を生むことになります。これは、いままでもこのコラムでお伝えしてきた通りです。

その沢山ある仕組みの中の一つが、『会議』になります。
社長は、長期で考えるために、一人で会議を開くことになります。世の多くの社長は、その会議を決算の数か月前に行います。ホテルなどに数日間閉じこもります。雑踏な日々から切り離して、大きな視点で考える必要があるのです。

その結果を受けて、部長との会議を設けます。決定した方針から目標設定と行動計画を作成します。そして、毎月の会議(役員会議、幹部会議、部長会議などの呼称)でその進捗を管理します。その会議の対象は、事業全体となります。

各部長は、それを自分の部に持ち帰り、部門会議を開催します。部門会議では、部の担う目標達成と仕組みづくりに対する進捗を確認します。より具体的な行動に細分化し、部下に割り振ります。

各課での会議は、具体的な案件の進捗管理が一番となります。2週間に一度または毎週の開催になります。日々起きる問題に対し議論がされるために、もっとも時間のかかる会議になります。そして、朝礼やミーティングで、微調整をしていきます。

この『会議』という仕組みが出来て初めて、各役割すなわち時間軸が『回る』ようになります。縦の分業が機能するのです。分業により、未来が作り変えられていきます。事業も時代に合わせ変化していきます。また、仕組みも良くなっていきます。日々のイレギュラーを治め、安定してサービスを提供し続けます。

その結果、会社は儲かり、かつ、強くなっていきます。そして、その会社に所属する人は、より多くの報酬を得ることになります。未来を作り変えることに貢献した者が、多くの配分を受けることができます。

この縦の分業を機能させることができなければ、どこかに大きな問題を抱えることになります。
社長や部長が長期の役割を担えないため、徐々に事業は弱くなります。「顧客から値引きを強く言われる。」、「競合に負ける」という現象が多くなります。また、集客コストも高くなっていきます。そして、同じ粗利高を稼ぐためにより多くの手間がかかるようになります。

日々の管理、すなわち、案件レベルの管理が出来なければ、日々トラブルが起きることになります。「担当間の報連相ミスでお客様からお叱りを受ける」、「納期の遅延や不良などが起きる」、その結果、徐々に顧客からの信頼を失うことになります。

社長が現場の対応に追われていると、長期的なことに手を付けられません。その結果、さらに悲惨な状態に陥っていきます。弱い営業のため、値引きで案件を獲ってきます。取り扱うメニューを増やします。作業をタダでやることを買って出ます。その結果、会社全体が、貧乏暇なし状態に陥ります。

縦の分業を機能させられない会社は、「組織が機能していない」状態といえます。事業を力ずくで回しているだけなのです。それでは、必ずいつかはダメになります。数年後、十数年後には、完全に追い込まれることになります。この状態で、規模(売上げ、社員)の拡大や維持を頑張り続ければ、崩壊を早めることになります。

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冒頭のN社長は、自社の事業にまだ確信が持てずにいました。いくつかのアイディアがあり、その構築のために動いています。

この段階で必要になるのが、「動きながら、解らないながらも書く」ということです。ターゲットをどうするのか。値段をどうするのか。解るものや考えているものを、文字にしていきます。考えては書き、また消して、書く。答えが出ない時や、まとまっていない時ほど、力ずくの文字化に何度も向かう必要があります。

その回数を積むことで、答えが浮き出てきます。自分の中で確信に近いものが見えてきます。事業に関する各方針が明確になってきます。そして、そこに社長としての覚悟が生まれてくるのです。その後もブレることが無くなります。

私は、N社長にお願いをしました。
「事業設計書の作り込みをお願いします。」

そして、もう一言付け加えました。
「社員に意見を求めるのは、まだ先にしてください。お一人で、まずは作り上げてください。」

社員と話し合って良いテーマと悪いテーマがあります。また、社員と話し合って良い段階と悪い段階があります。その正しい選択ができることが必要です。それが、N社長は、上手くないのです。

社員に意見を求めるのは、社長の中で長期的な方針が決まってからとなります。
どの事業を伸ばすのか、どの事業を落とすのか。そして、どのように展開していくのか。そこには、決断と呼べるレベルの意志決定が伴います。
そこまで決めた後に、社員に「その実現のために意見を聞くこと」になります。

もし長期の方針を決める前に、社員に意見を求めようものなら、その多くは「雑音」になります。沢山の予測できる問題が上げられます。同様に、良いアイディアもどんどん出されます。彼らは現場の人間であり、プロです。その言葉には説得力があります。影響を受け、その多くを捨てられなくなります。その結果が、いままでのN社の「忙しい割に儲かっていない」という状態なのです。

今回も、N社長は、『自分の中で答えが見つかる前』に社員に意見を求めてしまいました。いままでの癖を繰り返したのです。社員に意見を聞くのが早すぎるのです。事業設計書の「目標」を見れば、それが解ります。
そこにあるのは、長期的な方針から厳選されたものではありません。目標と呼べるものでは無いのです。それは、課題一覧であり、やることリストに過ぎないのです。長期の方針が無いために、その多くを残すことになったのです。

目標と課題リストは、全く異なるものです。また、目標とやることリストも違います。目標とは、社長が下した長期の方針を実現するために、絶対に実現すべきものとなります。そのため社員から上がって来たものの多くは、「やらない」という決定をすることになります。

明確な長期的な方針が無いと、すなわち、決定の基準が無いと、その時々で判断することになります。そして、その判断は必ず無難化します。人は、そのような時には、楽な判断をするようにできています。いままでと同様のパターン化した社長の思考で判断がされるのです。その結果、年商数億円の経営を続けることになります。

社員に意見を求めることは、非常に重要です。彼らは、実現のためのアドバイスをしてくれます。そして、力を貸してくれます。
そして、それと同等に、一人で考える時間が必要です。熟考を重ねることでしかたどり着けない世界があります。

社員に意見を求める、一人で考える。
その時々に自分に必要なものを正しく弁別することが必要です。

社員に意見を求める段階を間違えれば迷うことになります。一人で考えることをしなければ、日々何をしているのか解らなくなります。「社員に意見を求めたい」という思いを自制しなければなりません。

社長の役割を果たすのです。長期、3年以上先と未来に対する決定をするのが社長の役目です。その責任を果たす時なのです。

 

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年商10億円への経営視点

年商10億事業構築コンサルタント

株式会社ワイズサービス・コンサルティング 代表取締役

矢田祐二

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